| ロータスには複数の選択肢を採用するだけの資金的・人的リソースが存在しない |
会社の規模によって「生き残り」にかける正しい戦略はまったく異なる
さて、欧州では「2035年に(ガソリンやディーゼルなど)内燃機関搭載車の新車販売廃止」という方向へと動いていますが、これを回避して内燃機関を継続して生産するには2つの方法が存在し、ひとつは「(パガーニのように)年間生産台数1,000台以下に留めるか」、そしてもうひとつは「合成燃料のようなカーボンフリーだと認定される燃料を使用するか」。
前者に該当する自動車メーカーはそう多くはなく、よって(1,000台を超える)フェラーリ、ランボルギーニ、そしてポルシェは合税燃料(Eフューエル)にその未来を見出しているといった状況です。
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そんな中、合成燃料に興味を示さない自動車メーカーも
ただ、そういった自動車メーカーとは異なり合成燃料についてまったく興味を示さない自動車メーカーもいくつか存在していて、そのうちのひとつがロータス。
今回、ロータス・アドバンスド・パフォーマンスのセールス&マーケティング責任者であるサイモン・クロフト氏がその理由について述べており、そしてその理由とは「資金含むリソース面」。
そもそも、合成燃料のコンセプトは、どんな内燃機関車でも改造なしでそのまま注入して使用でき、通常通り走行できるというものです。
しかし、最近EUが合成燃料の使用によって2035年以降もガソリンエンジンを存続させても構わないと認めるに際し、課せられた条件が「そのクルマは合成燃料以外で走ってはならない」という仕様の導入。
会社の規模によってその判断は異なる
つまり、2035年以降、EU内で販売される「合成燃料を用いて走る」新車には合成燃料用に開発されたエンジンを使用する必要があり、サイモン・クロフト氏によれば、これによる影響は以下の通り。
合成燃料の使用を考慮するならば、我々はこのためにまったく別のパワートレイン部門に資金を提供しなければならなくなります。理想を言えば、我々はスポーティな内燃モデルをハイブリッドや電気モデルと同居させたいと考えている。しかし、そのためには少なくともガソリン、ハイブリッド、ピュアエレクトリックという3つのパワートレイン部門が必要になります。そこに合成燃料検知エンジンを加えれば、第4の開発チームが必要になるのです。
たとえばこれが(資金が豊富で販売規模も大きい)ポルシェであれば話は別で、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、エレクトリック、そして合成燃料用エンジン、はたまた水素エンジンの開発が可能かと思われますが、いかに吉利汽車から資金を得ていると言えど、ロータスにとって「複数のパワートレーンを開発するだけの余裕はなく」、よって現在のロータスは「ピュアエレクトリック1本」に絞っているわけですね。※サイモン・クロフト氏は理想としてガソリンエンジンの存続を語っているが、それはあくまでも理想にとどまり、現実ではない
つまりロータスは、今後会社を存続させるにあたり、厳しい決断を迫られたものの、理想よりも「長期的な生き残り」を優先してガソリンエンジンを切り捨てており、そこに「中間の選択肢、それ以外の選択肢はなかった」とされています。
さらにサイモン・クロフト氏は、規制に左右されるような不安定な選択に会社の将来を委ねることは危険であり、よって明確になっている方向性(つまり電動化)を選択したことについても触れていますが、たしかにこれは規模の小さい会社にとっては重要な判断なのかもしれませんね。
参考までに、資金力のあるBMWは「すべてのパワートレインが主流になってもいいように」ガソリン、ハイブリッド、エレクトリックすべてに注力しており、かつフォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなどほかのドイツの自動車メーカーのように「完全電動化へと切り替えるタイミング」「内燃機関を廃止するタイミング」については期限を切っておらず、「状況を見てフレキシブルに判断してゆく」とも。
こういった例を見るに、電動化に対する取り組みに正解はなく、会社の規模や市場、抱える顧客によって「戦略が異なる」ということなのだと思われます。
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参照:CARBUZZ