| その希少さゆえ、フェラーリF50としてはもっとも高額な部類の予想落札価格が算出されている |
フェラーリF50は「アナログスポーツカー」最後の世代として今後も価値を上げ続けるだろう
さて、生産わずか31台のみだとされるジャッロ・モデナのフェラーリF50がオークションに登場予定。
今では信じられないことですが、フェラーリはかつてスペシャルモデルについてボディカラーの制限を行っており、たとえばF40だと1,314台の生産全てがロッソコルサ、そしてこのF50でも「限られた顧客のみがロッソコルサ以外を選べた」とされ、しかしそれでも自由にボディカラーを選べたわけではなく、このイエローやシルバー、ブラック等、ごく限られたカラーのみに絞られます。
事実、349台が製造されたうちの302台がロッソコルサ、8台がロッソ・バルケッタ(レッド)、そして31台がジアッロ・モデナ(イエロー)、4台がアルジェント・ニュルブルクリンク(シルバー)、4台がネロ・デイトナ(ブラック)だとも言われていますね。
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ジャッロ・モデナの予想最高落札価格は6億7200万円
なお、フェラーリ=レッドというイメージがあるものの、実際のところレッドはフェラーリのモータースポーツ部門である「スクーデリア・フェラーリ」のチームカラーで、自動車メーカーとしてのフェラーリのカンパニーカラーはエンブレムが示す通りイエローであると言われます(ただ、近年ではイメージを統一するためか、ヴィジュアルの多くがレッドで彩られている)。
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よってこのジャッロ・モデナもまた、ロッソコルサ同様に伝統的なフェラーリのカラーということになりますが、なにぶん生産台数が少ないがゆえに予想落札価格はなんと最高で6億7200万円という超高額エスティメイトが出されることに。
この個体は現在香港のコレクターが保管していますが、新車時には欧州のオーナーへと納車され、その後複数のオーナーの手を渡り歩いた後、現在の香港のコレクターが保管することとなっています(10年間このコレクターが良好な状態をキープし続けている)。
走行距離は現在9,100kmだそうですが、非常に詳しい整備記録やレポートも公開されており、イエローという希少色を抜きにしても「望ましい」個体だと言えそうですね。
ちなみにシリアルナンバーは349台のうちの313番なので「かなり後の方」に製造されたということに。
搭載されるエンジンは4.7リッターV12(アラン・プロストとナイジェル・マンセルの手によってフェラーリのに6勝もの勝利をもたらしたF1マシン、641のエンジンをデチューンして載せている)、出力は513馬力、車体構造はカーボンモノコックにエンジンをストレスマウントするというF1マシン同様の構造を持っています(F50のコンセプトそのものが”公道を走るF1”である)。
なお、このエンジン(ティーポ036、650馬力/許容回転数は12,750rpm)はそのままロードカーに搭載すると、まともに運転できないシロモノとなってしまうので、フェラーリのエンジニアは排気量を4.7リッターに拡大し、レブリミットを8,500回転に引き下げることで「路上でも扱いやすい」仕様へと変更しています。
F50の出力は現行型F40より”わずか”40馬力向上しただけではあるものの、最先端の可変長インレットマニホールドとバタフライバイパスバルブ付き6-2-1エグゾーストのおかげでピークパワーとピークトルクはより低回転域で発揮されるようになり、その結果としてレース用エンジンのようなキャラクターを持ちつつも、F40のV型8気筒ツインターボには欠けていた扱いやすさをも併せ持つこととなったわけですね。
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フェラーリF50の細部には霊が宿る
そしてこのフェラーリF50のボディパネルはカーボンファイバー製。
ホイールはフェラーリのスペシャルモデル特有の「センターロック」。
フェラーリ各モデルへのオマージュも取り入れられており、サイドインテークの中にはF40に採用されたNACAダクトが隠されています。
ドアインナーパネルもカーボンファイバー製で・・・。
パーキングブレーキレバーのグリップや・・・。
エアコン吹き出し口のフラップもカーボン製。
シフトノブもカーボン製、そしてトップにはフェラーリのエンブレム入り。
ペダルボックスはほぼレーシングカー。
ルーフはデタッチャブル式で、内張りはゴージャスなキルティング仕様。
シートはブラックレザーにイエローのアルカンターラ。
付属品も揃っており・・・。
こちらはデタッチャブルルーフを外した時のスピードスターカバーとロールフープ(このトップはオーナーが簡単に脱着することはできず、取り外しと装着の際にはフェラーリのサービス工場へと持ち込まねばならない)。
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取扱説明書やサービスブック、スペアキーも付属。
現在「31台」のうち、どれくらいのイエローのF50が残っているのかはわかりませんが、今後ますますF50そのものの価値が上昇することも想定され、さらには「レッド以外」の希少カラーのフェラーリの人気が高まっている今、今回の出品には大きな注目が集まることになりそうです。
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