| 2015年以降、空調の効いたガレージにて手厚い庇護を受け、定期的に運転されるなど優れたコンディションを維持 |
日本へと輸入したのは当時のポルシェ正規輸入代理店であったミツワ自動車
さて、先日開催された、RMサザビーズ主催のオークションシリーズ「ホワイトコレクション」にて、なんと1997年製ポルシェ911GT2が2,397,500ドル(現在の為替レートで約3億5200万円)という高額にて落札されることに。
この911GT2は993世代の911における絶対王者として君臨し、空冷世代最後のターボエンジン装着車としても知られていますが、そのアイコン性に加え、生産わずか194台という希少性によってその地位を揺るぎないものとしているわけですね。
ポルシェ911GT2はこんなクルマ
なお、このポルシェ911GT2(シャシーナンバー2077)は新車時に日本市場向けとして製造され、当時のポルシェ輸入代理店であったミツワ自動車によって輸入されたもの(その後の1997年11月にポルシェジャパンが発足し、ミツワは輸入代理店としてのポジションを失ってしまう)。
よってドア内張りにはミツワによるステッカーが貼り付けられ・・・。
ちゃんと日本語での注意書きが記されています。
搭載されるエンジンはM64/60Rで、これはGT2クラスに参戦するレーシングカーのエンジンをわずかにデチューンしたユニット(430馬力を発生する)。
もちろんこの個体のエンジン(3.6リッター・フラットシックス・ツインターボ)と6速マニュアル・トランスミッションは「マッチングナンバー」だと説明されています。
ちなみにですが、当初の呼称は(エンジンフードの文字が示す通り)「GT」であり、後に「GT2」と呼ばれるようになったのだそう。※1996年に急遽登場した911GT1との兼ね合いによるものかもしれない
たしかにリア(もちろんシートは取り払われている)にも「GT」のみの文字。
日本に納車されたのは1997年で、最初のオーナーは横浜の(著名な)企業経営者であり熱心なスキーヤーであったそうですが、RMサザビーズでは「スキーヤー」という特性がこのグレッシャー(氷河)ホワイトというボディカラーを選ばせたのではないか、と推測しています。
3ピースホイールはスピードライン製、そしてワイドなホイールとタイヤを収めるためにオーバーフェンダーが装着されていますが、そのクリアランスは最小限にとどまり、とんでもないハードサスを持つであろうことも想像可能。
フロントトランク内はほぼコンポーネントやフレームが「むき出し」。
このクルマを見るたび、「ポルシェは、ときどきトンデモナイことをしてくる自動車メーカーである」ということを思い出させられることになり、そしてまた「なにかやってくれないか」という期待をも同時に抱かせてくれます。
このポルシェ911GT2は2015年に現在のオーナーの元へ
このポルシェ911GT2は2004年から2009年までミツワ、そしてポルシェセンター目黒にて整備されていたという記録が残り、その後はドイツ、イタリアのコレクターの手を経て現在のホワイトコレクションへと(2015年に)加入することに。
その後はテキサス州ヒューストンにある空調管理された施設内にて保管されることになりますが、ほかのコレクション車両同様に、毎月始動のうえ動作温度に達するまで運転されるという徹底した管理がなされていることもあわせて説明されています。
現在に至るまでノース ヒューストンのポルシェディーラーから供給されるパーツによって外観および機能に関するメンテンスが欠かさずに行われ、時間の経過とともに色褪せることが知られているフロントフード、そしてオーバーフェンダーも再塗装によって修正済み。
ただしボディ本体と内装はオリジナルの状態を維持しているといい、さらにはオリジナルのオーナーズマニュアル、ツール、サービス履歴を示す書類も付属している、とのこと。
工場出荷時に装着されたオプションはシンプルに「スポーツ」パッケージのみで、これにはフロントストラットタワーバーと電子制御ロッキングディファレンシャル(ABD)が含まれるとされ、最初のオーナーさんはかなりスパルタンな仕様にてこのクルマをオーダーしたということがわかりますね。
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参照:RM Sotheby's