| ランボルギーニはフォルクスワーゲングループに属するという性質上、アウディやポルシェなど他ブランドの技術にもアクセスできる |
このシステムはポルシェの特許によく似ているが、その「一歩先」を行くようだ
さて、ランボルギーニが「アクティブホイールハブをテスト中」との報道。
これは走行中に「ホイールのトーとキャンバー」を連続かつ自動的に可変させるもので、最大2.5度のポジティブキャンバーまたは5.5度のネガティブキャンバーを(ハブに)付与することができ、トー角は最大6.6度まで調整可能であり、1秒間に最大60度の頻度で調整を行うと報じられています。
なぜキャンバー角とトー角を調整するのか
なお、ランボルギーニが「キャンバー角とトー角を走行中に調整する」理由としては当然ながら ”より速く走るため” ですが、キャンバーやトーが大きすぎるとタイヤの早期摩耗の原因となるほか、日常の使用における快適性や安定性を欠く可能性があり、逆に少なすぎるとスポーツ走行時のハンドリング性能の妨げになることも。
そのため、ほとんどのクルマは、(多くの場合において公道を走るので)この2つの領域を控えめに設定し、耐久性とスポーツ走行性能とのバランスを取っているわけですね。
ただ、今回ランボルギーニが検討しているのは、こういった「妥協」を行うことなく日常領域での快適性、そして極限状況下でのスポーツ走行時におけるパフォーマンスの両立を図るというもので、実際にこの機能を装備することでナルドサーキットにてで2.5秒、イモラサーキットで2.2秒、ニュルブルクリンク(ノルドシュライフェ)で約5秒速くなることがわかっており、コーナリングフォースが最大25パーセント向上する、と述べています。
そして驚かされるのは「このシステムはまだ開発の初期段階である」という事実で、まだまだの微調整を段階を通過していないこと。
しかし今後12カ月から18カ月以内にランボルギーニのスーパーカーに採用される可能性があるといい、そしてこれが最初に搭載されるのはウラカン後継モデルとなる可能性が高いものと思われます。
なお、「トーとキャンバーを変化させることでアライメントを走行中に調整する」という発想は新しいものではなく、しかしクルマが動いている間にキャンバーとトー値の両方を制御するという複雑さゆえに、これまで実現できなかった、というのが実情です。
ちなみにポルシェもこのランボルギーニの新システムに近い特許を出願していますが、こちらには「トー角」の調整が含まれておらず、少し目的が異なるようですね。
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ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサー、ルーヴェン・モア氏によれば、このシステムは、ホイールアセンブリ全体の傾きと回転の両方を変化させるために動作する2つの非同軸シリンダーを備えた新しいリアホイールハブによって実現されるそうですが、この技術におけるハードルは「ハードウェアではない」。
じゃあ何がハードルなのかというと、それは「ハブをスタビリティコントロールやアクティブエアロダイナミクスといった他のソフトウェアシステムと協調動作させる」という制御面だとされ、今後数カ月をかけ、この解決に取り組むと述べています。
なお、ランボルギーニはこのシステムを48ボルトのシステムにてコントロールしており、プラグインハイブリッド車やバッテリー式電気自動車(BEV)の400ボルトシステムを利用できるようにアップグレードする予定であることにも触れていて、ハブアセンブリには、キャンバーとトー調整を制御する回転フランジが収められ、このアセンブリはトランスミッションとホイールハブから伸びるハーフシャフトに接続されているのだそう。
この機構につき、ルーヴェン・モア氏が(ランボルギーニに異動する前に在籍していた)アウディに在籍していた時期にはすでに考案されていたそうですが、今にになってテストを行っているという背景について「当時は実現不可能な技術であったが、車両の電動化を前提とすること(出力の高い電気駆動システムが装備されるようになった)により可能になった」のだとも考えられます。
つまりは ”電動化ありき(前提)のテクノロジー” であり、先日ポルシェが新型パナメーラに採用される「ポルシェアクティブライドサスペンション」について語ったように、「(大きなバッテリーを積んでいない)ガソリン車では、そもそも検討すること自体が意味をなさない」技術なのかもしれませんね。
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参照:Car and Driver