| たしかに1980年代のポルシェには「全く知られていない」カスタム車両が存在すると言われているが |
それにしてもなぜ911ターボを購入せずに(おそらく)911ターボ以上のコストをかけて改造したのかは謎である
さて、ポルシェは古くから裕福な顧客の求めに応じて様々なカスタム車両を製作していたことでも知られており、それらの中には「今までまったくその存在や、そういった仕様があることすら」知られていなかった個体も存在します。
そして今回オークションに登場したのがそういった「知られざるポルシェ911」のうちの一台で、簡単に言うならば「ターボボディとターボ専用のブレーキや足回りを装着し、そこからターボウイングを取り外した」NAの911カレラであり、驚くべきはこれらがすべて「ポルシェによって行われた」こと。
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このポルシェ911カレラ「ターボルック」はこんな仕様を持っている
このポルシェ911カレラは1987年製、搭載されるエンジンは3.2リッター・フラットシックス。
ボディカラーはグランプリホワイト、インテリアはブラックという仕様を持ちますが、米国向けに用意された「M491」ターボルックパッケージを装着し、その上で「M470」スポイラーデリート(除去)パッケージが装着されることに。※ナンバープレートが「87 M470」
さらには16インチフックスホイール、電動サンルーフ、パワーシート運転席、ヒーター付きドアミラー、エアコン等が含まれていますが、このM491パッケージは1984年に初めて導入され、911ターボと同一のフロント / リアのスポイラー、ワイドなフロントとリアのフェンダー、ターボ仕様のブレーキ、アンチロールバー、トレーリングアーム、トーションバーなどが含まれます。
さらに16インチのフックスホイールにはチタン製ラグナットが装着されるなど、細部に至るまで手が入った一台ということになりますが、ふと疑問に思うのは「なぜ911ターボを購入しなかったのか」ということ。
当時のポルシェは現在に比較して「非効率的な」生産方法を採用していたため、こういったオプションの装着に際しても「まずはノーマルの車両を製造してから」その後に必要な部分を分解して組み込んでいたとされ、よってフラットノーズ(スラントノーズ)の装着には車両価格の60%くらいのコストが追加でかかったとも。
よって今回のM491パッケージの装着に際しても「とんでもない金額」がかかったはずであり、おそらくは容易に911ターボを超えるくらいのコストが請求されたはずですが、そうせずになぜ「普通の911カレラ」をこの仕様に(多額の費用を投じて)コンバートしたのかはまったくのナゾ。※現在のオーナーは2019年にこのポルシェ911を中古車両として入手しており、過去のことについては不明である。もちろん搭載されるエンジンはターボ仕様ではなく通常のカレラの217馬力バージョン
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このポルシェ911カレラ「ターボルック」はこんなインテリアを持っている
そしてこちらはこのポルシェ911カレラ「ターボルック」のインテリア。
ブラックレザーを基本とし電動調整式バケットシート、クルーズ コントロール、エアコン、パワー ウィンドウに集中ドアロック、インフィニティ製スピーカーにブラウプンクト製カセットステレオなどが装備されています。
トランスミッションは5速マニュアル(G50)、現在のオーナーの所有下にてシフターブッシュが交換されており、そのほか直近ではオイル交換、バルブ調整、エアフィルター、DMEリレー、酸素センサー、ドライブベルト、バッテリー、フード断熱パッド、ディストリビューターキャップとローター、点火プラグとワイヤーの交換などが行われたことも説明されています。
出品に際しては工場出荷時のカラー含む仕様とオプション装備がリスト化された、ポルシェによる生産仕様書が付属している、とのこと。
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