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もはや中国の勢いを止めることは難しい。SAIC(上海汽車)が2025年に第一世代の全固体電池を実用化、2026年には早くも第2世代を投入すると発表

もはや中国の勢いを止めることは難しい。SAIC(上海汽車)が2025年に第一世代の全固体電池を実用化、2026年には早くも第2世代を投入すると発表

Image:SAIC

| 欧州や日本の自動車メーカーでは「早くとも」2027年にならないとソリッドステートバッテリーは登場しそうにない |

中国勢が全固体電池を導入するとなると「価格」のみではなく「性能面」でも太刀打ちできない存在となりそうだ

さて、中国の大手自動車メーカーの一つ、SAIC(上海汽車)が「2026年に第2世代の全固体電池(SSB=ソリッドステートバッテリー)の量産を開始する」と発表。

SAICはChery、GAC、CATL、BYD、GWMなどとともに、この新しい技術競争に参入することになりますが、SAICのソリッドステートバッテリーのエネルギー密度400Wh/kgを誇るといい、これは他社の平均的な、そして現在の技術に基づくソリッドステートバッテリー(多くは第一世代)の「280Wh/kg」に比較して非常に高い密度となっていて、文字通りの「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めています。※おそらくこの搭載第一号はSAIC傘下にあるMGブランドだと見られている

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SAICはすでに「半固体電池」搭載車の予約を開始

なお、SAIC傘下のIM Motorsは2024年4月、半固体電池を搭載したIM L6電動車の先行予約を開始しており、この車両には900Vの高電圧システムを搭載した初の半固体電池パックが使用されていて、こちらのエネルギー容量は130kWhだとアナウンスされているため、やはり2026年から生産が開始される新型ソリッドステートバッテリーの「400Wh/kg」は格別と言っていいかもしれません。

上述の通りSAICは半固体電池セグメントへの進出を進める一方、純粋な全固体電池(SSB)の開発にも投資を行っていて、2023年には中国の全固体電池スタートアップであるQingTaoエナジーデベロップメントと共同で合弁会社を設立しています。

QingTaoエナジーデベロップメントによる初期の第一世代全固体電池は368Wh/kgのエネルギー密度を持ち、熱暴走がない「Level 0」仕様であると発表がなされていますが、今回発表された第2世代にも熱暴走保護機能が搭載されており、衝撃による破損や200度の高温下でも発火しない設計になっているほか、低温環境でも90%の性能を維持できるという特長を持つのだそう。※この第一世代のソリッドステートバッテリー搭載車は2025年に(やはりMGから)登場すると言われている

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中国企業は2026年に続々ソリッドステートバッテリーを投入

これまでの報道を見る限り、中国のいくつかの大手企業は、2026年に自社の全固体電池(SSB)を市場に投入する予定を持っており、Chery(チェリー / 奇瑞汽車)はエネルギー密度600Wh/kgのSSBを2026年に導入することを目指しているとされ(これが実現できれば革命的である)、GAC(広州汽車)グループでは”Hyper”ブランドの車両に400Wh/kgのエネルギー密度を持つSSBを2026年に搭載する計画が報じられています。

その他、CATL、Great Power、Sunwoda、GWM(長城汽車)、BYDなどの企業もこの分野に強い野心を持っているとされ、このままだと「もっとも進んでいる」と言われるトヨタ、日産、BMWよりも先に中国企業がソリッドステートバッテリーを実用化してしまいそうですね。

このソリッドステートバッテリー(全固体電池)は、固体電解質を使用することで体積を40%、質量を25%削減できるという利点があり、最大45,000サイクルの長寿命を実現するうえ、固体電解質は可燃性、腐食性、揮発性がないため、非常に安全で漏れのリスクも防止されるというメリットを持ちますが、その一方でコンポーネントを加圧して封入する必要があり、この工程に介在する問題を解決できずに多くの自動車メーカー、そしてバッテリーメーカーは実用化にまでこぎつけることが難しい状態であると言われています(マセラティのように、この技術を放棄した例もある)。

トヨタ
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