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水没したマクラーレンP1が“P1 Evo”として再誕。YouTuberが「1400馬力」「400km/h超え」に挑む世界最速のマクラーレンプロジェクト【動画】

水没したマクラーレンP1が“P1 Evo”として再誕。YouTuberが「1400馬力」「400km/h超え」に挑む世界最速のマクラーレンプロジェクト【動画】

| すでにここまでに2年の歳月を要し、「水没車を復活させるのは容易ではない」ことがわかる |

廃車となったP1が蘇る。“P1 Evo”はマクラーレン史上最速を目指すワンオフ・ハイパーカー

人気YouTuber「Tavarish(タバリッシュ)」ことフレディ・ヘルナンデスが手がける今回のプロジェクトは、ハリケーン・イアンで浸水被害を受けたマクラーレンP1(車体番号348番)を再生するというもの。

このP1は「購入まもなくハリケーンに見舞われ、なすすべもなく廃車になってしまった」ということで大きな話題となった個体です。

  • 購入価格は57.5万ドル(約9,000万円)
  • 元オーナーが納車からわずか1週間で水没
  • 修復までに2年以上、すでに16本の動画を公開中

YouTuberタバリッシュが挑むP1レストモッド計画

今回のP1「復活計画」は、かつてのマクラーレンのデザインディレクターであり、実際にP1をデザインしたフランク・ステファンソンとともに再設計・再デザインが進められるというもので、「P1 Evo」として新しく生まれ変わろうとしています。

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現在メンバーの間で様々な協議が進められていますが、検討されているのは以下の通り。

  • 新設計のエアロボディ
  • 安定性向上のためのリアフィンとルーフスノーケル
  • 巨大ディフューザーとベンチュリートンネル
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このP1 Evoはフランク・ステファンソンのデザインスタジオ「frankstephenson Design」の特別プロジェクト第1弾としても位置づけられており、今後もバイクや四輪車のワンオフ企画が続く予定だとも説明されています。

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なお、デザインの検討においてはF1やスピードテールなど過去や現在のマクラーレンが引き合いに出され・・・。

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様々な案が検討されることに。

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マクラーレン“P1 Evo”はただの修復プロジェクトではない

この「P1 Evo」は最近よくある「レンダリングアーティストの作成したCGを再現する」という手法とは異なり、実際に数々の名車そしてレーシングカーのデザインを行ってきたフランク・ステファンソンが参加するということもあって「見かけをアップグレードするだけ」という類のものではなく、実際に機能や性能の向上を視野に入れたもの。

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オリジナルのP1は3.8LツインターボV8+エレクトリックモーター(合計903馬力)にて構成されるPHEVシステムを搭載していましたが、P1 Evoではこれを大幅に変更する予定であると説明されています。

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P1 EvoのエンジンはV8を刷新、目標出力は1,400馬力

そして現在ではマクラーレン720Sからエンジンを拝借する計画を持っており、「1,400馬力オーバー」を目指すこととなるようですね(ハイブリッドは非搭載となるようだ)。

  • エンジン:マクラーレン720S由来の4.0LツインターボV8
  • 出力目標:1,400馬力
  • ターボ:P1用を改良したTachyon製ハイパフォーマンスターボ
  • 電動システム:非搭載(現時点では純ガソリン仕様)
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P1 Evoの最終目標は「世界最速のマクラーレン」

そしてこのP1 Evoで目指すのは「世界最速のマクラーレン」であり、実際に走行させその実力を証明する計画もあるもよう。

  • 最高速度目標:250mph(約402km/h)超え
  • 比較対象:マクラーレン・スピードテール(2019年、250mph達成)
  • 試験場所:ケネディ宇宙センター(フロリダ)の滑走路
  • お披露目予定:2025年SEMAショー(11月)
McLaren-P1-Evo

デザイナー×クリエイターが拓く新しいクルマ文化

上述の通り「レンダリングアーティストの作品を現実に」という”2次元と3次元の融合”がすでに始まっているのが現在のカスタム業界ですが、最近ではフェラーリF355のレストモッドのように「本職のデザイナーがレストモッドにかかわる」というプロジェクトもいくつか登場。

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さらにはポルシェ928のレストモッド、ランボルギーニ・ディアブロやガヤルド、ジャガー各モデルのレストモッドのように「デザイナーとファンが直接協力する新たなクルマづくり」という形も示されており、これはひとつの新しい流れであるとも考えられます。

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そして今回のマクラーレンP1 EVOもそういった「新しい流れ」の最新プロジェクトであるとも考えられ、クルマを「自動車メーカー以外のデザイン事務所とともにコーチビルド(あるいは再構成)する」といった潮流の魁となるのかもしれません。

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今回のP1 Evoについて、フランク・ステファンソン氏は以下のように語っていますが、一定の時を経て自身の作品を「進化」させることができる機会は同氏の言う通り「稀」であり、その機会に恵まれたデザイナーはもちろん、そのクルマを手にすることができるオーナーにとっても”これ以上無い幸運”なのでしょうね。

「過去の作品を再び進化させられる機会は稀。このP1 Evoは、私たちの可能性を広げる第一歩となる。」

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なお、現在のところまだP1 Evoのデザインは固まっていないようで・・・・

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ハイダウンフォース版やローダウンフォース版も検討されているもよう。

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マクラーレンP1を「P1 Evo」として再構築してゆく動画はこちら

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参照:Tavarish(Youtube)

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  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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