
Image:Callum Designs
| 【ジャガーEタイプ再び】伝説の名車が現代の感性で蘇る? |
【ICE搭載も視野に】ジャガーEタイプのレストモッドは内燃機関での再誕か
ジャガーEタイプ──その美しさは世界中で称賛され、エンツォ・フェラーリでさえ「世界で最も美しい車」と評したとされる伝説の一台。
そんなEタイプに現代的なアレンジを加えることは、ある意味で"禁断の挑戦"と言えそうです。
しかし今回、その挑戦に立ち上がった人物が登場し、それが元ジャガーのデザイン責任者 イアン・カラム(Ian Callum)。
彼は自身のSNSでEタイプを再構築した現代版デザインを公開し、大きな注目を集めています。
【デザイン界の巨匠】イアン・カラムとは何者か?
イアン・カラムは、アストンマーティン・ヴァンキッシュ(初代)やフォードRS200などを手掛けた英国の名デザイナー。
20年にわたってジャガーのデザイン責任者を務め、ジャガーFタイプのデザインを指揮した人物でもありますが、このFタイプは、Eタイプのコンセプト的後継車とされており、イアン・カラムは“現代のEタイプ”を誰よりも理解する人物であるとも言えそうです。
-
-
フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当
Image:Evoluto Automobili | このフェラーリF355レストモッド「355 バイ エボルート」はデザイン、機能、パフォーマンスなど全てにおいてオリジナルのF355を尊重している ...
続きを見る
Image:Callum Designs
なお、同氏は現在自身のデザイン事務所”カラム・デザイン”を開設しており、自身が過去にデザインしたクルマの「再解釈版」、さらにはジャガー Mk IIやフェラーリF355のレストモッドなど様々なクルマをリリースし、あるいは各プロジェクトへの参加が報じられ、「積極的に活動している」人物でもありますね。
-
-
アストンマーティンV12ヴァンキッシュ開発時の試作車「プロジェクト・ヴァンキッシュ」が中古市場に。存在するのは1台のみ、デザイナーの思いが詰まった歴史的価値の高い一台
Image:Classic Mobilia | V12ヴァンキッシュはイアン・カラムによるはじめてのアストンマーティンであり、その後の方向性を決定づける一台に | 初代V12ヴァンキッシュは新世代のデ ...
続きを見る
【オリジナルへの敬意】Eタイプの美しさを継承するスタイル
イアン・カラムが公開した現代版Eタイプは、オリジナルの流れるようなラインを忠実に再現していますが、一方で、インテリアには現代的な要素が盛り込まれており、新旧の美学が見事に融合。
ホイールデザインはオリジナルとは異なるものの、ワイヤースポーク風の意匠が取り入れられ、クラシックな雰囲気を醸し出しているところにも注目です。
-
-
ジャガーのデザインを20年率いたイアン・カラム退任。今回は韓国や中国からの引き抜きではなさそう。その人物とは?
| 今後は「別のデザインプロジェクトを模索することになる」 | 20年という長きに渡ってジャガーのデザイン部門を率いてきたイアン・カラム氏。そのイアン・カラム氏が退社することになったとジャガーが発表し ...
続きを見る
Image:Callum Designs
【ジャガーEタイプのレストモッド構想】現代の技術で蘇る名車
このデザインは、新車としての再構築というよりも「レストモッド(Restomod=クラシックカーを現代の技術でアップデートする手法)」の方向性を示唆しており、上述の通り「実績」のある人物だけにいっそうの期待が高まります。
なお、今回の投稿でも、「このEタイプもCallum Designsで製品化すべきか?」とフォロワーへと問いかけており、プロジェクトの実現可能性を探るとともに、その意思が存在することを示唆しているようにも感じられます。
なお、イアン・カラムはSNSでのコメントで、今回のEタイプ”レストモッド”は内燃機関(ICE)仕様を想定していると明言しており、実際にデュアルエキゾーストを持つことからもガソリンエンジンの存在がうかがえます。
-
-
2010年にジャガーによって描かれ”実現しなかった”夢、悲運のC-X75が公道走行な仕様をもってリメイクされ販売される。これを成し遂げたのは当時のジャガーのデザイナー
Image:callumdesigns | ジャガーC-X75はボクにとっても「心に残るコンセプトカー」のひとつである | 現在の自動車市場においては「少量生産車」「ワンオフ」がかつて無いほどの盛り上 ...
続きを見る
Image:Callum Designs
【気になる製造方法】ドナー車ベースでの開発か?
この現代版Eタイプは、おそらく(新規に車両を製造するのではなく)オリジナルのEタイプをベースとしたドナー車を用いて開発されると見られていますが、クラシックカーを再構築することに否定的なファンもいるものの、既に複数の企業がEタイプをベースにしたレストモッドを展開しているほか、ジャガー自身もいくつかの「公式レストモッド」を顧客へと納車済みで、つまりこの分野では一定の支持が得られていると考えていいのかも。
しかも今回のレストモッドを手掛けるのがイアン・カラムとあれば、その価値は「オリジナルに手を加えることで下がる」より、むしろ上昇するのかもしれません。
興味深いことに、ジャガー自身は2026年登場予定の超高級EV「Type 00」を発表済みですが、このモデルもEタイプのプロポーションやサイドラインが反映され、今回のイアン・カラムの提案とどこか共鳴するものがあるように思います。
まとめ:現代に蘇る「E」の遺伝子
イアン・カラムによる現代版ジャガーEタイプは、美の再定義とも言えるプロジェクトでもあり、クラシックな美しさを現代の技術と感性で磨き上げ、再び公道に蘇らせる可能性に多くのファンが胸を高鳴らせています。
カラム・デザインの手により、このデザインが実車化される日が来るのか──その行方に、今後も注目ですね。
We thought we would try our hand at doing an E Type at CALLUM. pic.twitter.com/oxdtsr4uCV
— Ian Callum CBE (@IanCallum) May 13, 2025
あわせて読みたい、ジャガー関連投稿
-
-
ジャガー「新しいブランド戦略によって、我々は既存顧客の85%を失うでしょう」。なぜそこまでしてブランドを変えようとするのか、その危険な賭けの真意とは
Image:Jaguar | ジャガーはガソリン時代の顧客の大半を失おうともブランドシフトを成し遂げる | 歴史上、ここまでの大胆な変革を試みた自動車メーカーは存在しないだろう さて、様々な自動車ブラ ...
続きを見る
-
-
まさかの「ジャガーXJ220のレストモッド」誕生。XJ220はボクがもっとも好きなスーパーカーではあったが、ブガッティEB110やマクラーレンF1に囲まれ輝きを発揮できなかったことが悔やまれる
Image:Khyzyl Saleem | それでも現在は当時受けるべきであった「正当な」評価を受けている | そして今でもファンが多いスーパーカーでもある さて、先日は「ジャガーによって量産されるこ ...
続きを見る
-
-
ジャガーの盟友、TRWがXJSをレストモッドし「スーパーキャット」として発売。限定台数は88台、その外装はレンダリングアーティストによるデザイン
Image:TWR | さすがにジャガーのレストモッドを注文するにはそうとうな「ジャガー愛」がなければ難しい | TWRスーパーキャットの価格は4400万円、内容を考えると「格安」である さて、ジャガ ...
続きを見る