
| メルセデス・ベンツはこういったクルマを「限定発売」したほうがいいのかもしれない |
メルセデス・ベンツを退任するデザイナー、ゴードン・ワグナー氏。
自身の著書『Iconic Design』の中でメルセデス・ベンツが同社のモータースポーツにおけるアイコン、「レッド・ピッグ(Red Pig=赤い豚)」の現代版を極秘に開発していたことが明かされており、そのイメージが最新のディティールとともに公開されています。
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メルセデス・ベンツの「顔」が消える?28年間同社のデザインを牽引したデザイナー、ゴードン・ワグナー氏が電撃退任、一つの時代が終わる
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この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- 極秘プロジェクト: ゴードン・ワグナー氏が退任直前に明かした、アーカイブに眠っていた秘密のコンセプトカー
- デザインの融合: 1971年の「レッド・ピッグ」をベースに、最新の「GLC EQ」などに通じる巨大なクロームグリルとLEDライトを融合
- AMGの原点: 元祖レッド・ピッグ(Mercedes AMG 300 SEL 6.3 “Rote Sau” )は、1971年のスパ24時間レースで2位に輝き、AMGの名を世界に轟かせた伝説の車両
- 悲劇の結末: オリジナル車両は航空機の着陸装置テストに使用された末にスクラップに。今回のショーカーはその魂を継承
ゴードン・ワグナーが放った最後の一手「”紅の豚”Showcar」
メルセデス・ベンツのデザイン言語「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」を築き上げたゴードン・ワグナー氏。
彼が退職後にSNSで公開したのはかつて社内で「Showcar(ショーカー)」と呼ばれていた、現代版レッド・ピッグのデジタルコンセプト。※「ショーカー」は一般的にコンセプトモデルの総称のようなイメージで、今回のレンダリングには「固有」の名は与えられていなかったようだ
このモデルは懐古趣味にひたるためのクルマではなく、メルセデス・ベンツが誇る伝統、そして未来の電気自動車(EV)デザインの橋渡しをするような、極めて重要なスタイリングスタディであるとも考えられます。
【比較】オリジナル「レッド・ピッグ」vs 現代版「Showcar」
1971年の伝説と2026年に公開されたコンセプトの違いをまとめると以下の通り。
| 項目 | 1971年 オリジナル (300 SEL 6.3) | 2026年公開 コンセプト (Showcar) |
| ベース車両 | W109 300 SEL | 独自設計(Sクラス/コンセプトベース) |
| 最高出力 | 428 hp | 非公表(EVまたは最新V8想定) |
| ヘッドライト | 垂直配置のハロゲン+補助灯 | スリーポインテッドスターLED+リングライト |
| ホイール | 15インチ マグネシウム | 20/21インチ 5本スポーク鍛造 |
| グリルの特徴 | 標準的なメッシュグリル | 巨大な「アイコニック・グリル」 |
| 役割 | 24時間耐久レースでの勝利 | デザインアーカイブの至宝 |
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なぜ「赤い豚」と呼ばれるのか?その伝説と悲劇
元祖「レッド・ピッグ(ドイツ語でRote Sau)」は、当時(メルセデス・ベンツに買収される前の)独立系チューナーだったAMGが事故車のメルセデス300 SELをボアアップして作り上げた”怪物”で・・・。
- 衝撃のデビュー: 重厚な高級セダンが並み居るスポーツカーを抜き去り、1971年スパ24時間レースで総合2位を獲得。「豚が空を飛んだ」とまで言われる
- 航空機テストへの転用: レース引退後、その大パワーと安定性から、航空機メーカーのマトラ(Matra)社へ売却。なんと、走行中にフロアを切り抜いて戦闘機の着陸装置(タイヤ)を接地させるテストに使われた
- 消失: 酷使された結果、オリジナル車両は1990年代にスクラップに。現在メルセデス・ミュージアムにあるのは、2006年に設計図を基に復元された精巧なレプリカである
Image:Mercedes-Benz
デザイン詳細:レトロフューチャーの極み
ワグナー氏が公開した現代版「Showcar」は、オリジナルへのリスペクトに満ちています。
- アイコニック・グリル: 「Vision Iconic」コンセプトでも見られた、目が眩むほど輝く巨大なグリル。これが次世代メルセデスの顔になることを暗示している(これを見るに、このレンダリングが制作されたのは比較的最近でもあるようだ)
- リングライト: オリジナルの補助灯を模した円形のLEDリングがフロントとリアディフューザーに配置され、サイバーパンクな雰囲気を醸し出している
- ゼッケン「35」: ドアに描かれた黄色いサークルと番号は、1971年のスパ24時間レース参戦時の仕様を忠実に再現したもの
Image:Mercedes-Benz
結論:アーカイブから解き放たれた「AMGの魂」
この「Showcar」は、残念ながら市販される予定はなく、しかしゴードン・ワグナー氏がキャリアの最後にこのデザインを世に放ったことは、メルセデス・ベンツが今後も「伝統(Heritage)」と「イノベーション(Innovation)」を融合させ続けるという強い意志の表れであるとも考えられます。
かつてサーキットで笑い者にされながら勝利を掴んだ「赤い豚」。
その不屈の精神は、最新のデジタルテクノロジーの中でも鮮やかに生き続けているというわけですね。
Image:Mercedes-Benz
ちなみにこの「レッド・ピッグ」は先ごろ開始されたメルセデス・ベンツ140周年記念ツアーにも帯同しており、メルセデス・ベンツ自身がこのクルマを非常に重要視していることも理解でき、もしかすると「ミトス」から少量生産車としてオマージュモデルがリリースされる可能性も考えられます。※個人やショップにおいてもこのレプリカを製作するケースが少なくはなく、かなり人気があるクルマのひとつである
Image:Mercedes-Benz
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参照:gorden.wagener(Instagram)
















