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試乗:ポルシェ マカン 4S「EV」。これぞ「電気」で描く究極のSUV、「食わず嫌い」「リセール」が最大の課題、これらを抜きにすると「最高のポルシェ」のひとつである

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、全景)

| マカン・エレクトリックは「ポルシェの思い描いた未来」そのものである |

しかし「ポルシェ」と「エレクトリック」とが連想させるイメージがあまり芳しくない

さて、ポルシェ マカンEVに試乗。

マカン(ガソリン)はポルシェにおけるベストセラーモデルのひとつであり、しかしポルシェは「EVまっしぐら」という目標のもとでガソリン版のマカンを廃止してしまい(サイバーセキュリティ法の関係もあった)、そのかわりに投入したのがこの完全電動モデルのマカン エレクトリックシリーズです。

しかしながら市場の反応はポルシェが期待したとおりのものではなく、そのためポルシェは急遽ガソリン版マカンの後継モデル(ハイブリッド)を計画外ながらも投入することを決定し、しかしこれは「マカン」を名乗らないとされるため、いまでは「マカン」といえばEVモデルのみを指しています。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、サイド)

そしてこのEV版マカンは上述の通り「ガソリン版のような人気を獲得できていない」のが実情で、しかし実際に運転してみると「なぜ売れないのか」と不思議に感じるほどいいクルマ。

ぼくはガソリン版マカンSにしばらく乗っていましたが、これと比べてもマカン 4S(EV)は何一つ劣るところはなく、しかし人気が出ないのは「ピュアエレクトリック」という先入観、そしてEVならではの「低リセール」が原因なのかもしれません。

ここでマカン 4S エレクトリックとはどういうクルマなのか、試乗を通じて掘り下げたいと思います。

新型マカン4Sはここがスゴい

  • 怒涛のパフォーマンス: オーバーブースト時には516PSのパワーで0-100km/h加速はわずか4.1秒
  • EVの常識を覆す足回り: 重さを感じさせない軽快なハンドリングと最新のエアサスペンションによる極上の乗り心地
  • 実用性も妥協なし: 100kWhの大容量バッテリーを搭載し航続距離と急速充電性能を大幅に強化
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ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、リア)

ポルシェ マカン4S(エレクトリック)スペック表

まずは新型マカン4Sのサイズや性能を一覧にまとめると以下の通り。

項目詳細データ
全長4,784 mm
全幅1,938 mm(ミラー収納時)/ 2,152 mm(ミラー開時)
全高1,621 mm
ホイールベース2,893 mm
車両重量(DIN)2,345 kg 〜 2,420 kg
ラゲッジ容量(リア)540 ℓ(最大 1,348 ℓ)
フランク(フロント荷室)84 ℓ
最小回転半径約 6.05 m(リアアクスルステアリング装着時:約 5.55 m)
タイヤサイズ(標準)フロント:235/55 R20 / リア:285/45 R20
価格1224万円
ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、ホイール)

なお、試乗車に装着される主なオプションは以下の通り(オプション満載)。

  • オフロード デザイン パッケージ Porsche Exclusive Manufaktur
  • ポルシェ アクティブ サスペンション マネジメント システム
  • アダプティブ エアサスペンション
  • スポーツクロノパッケージ
  • ポルシェエレクトリックスポーツサウンド
  • 1速オートマチックトランスミッション
  • マトリックス LED ヘッドライト
  • マルチファンクション GTスポーツステアリングホイール
  • パッセンジャーディスプレイ
ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック)

マカン4S(エレクトリック)のポジションは?

この「4S」は「4」とスポーツグレード「GTS」の間に位置するという”最もバランスの取れた”ある意味での「本命」グレード。

新たに開発されたPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用し、800Vシステムを搭載することで充電時間の短縮と高効率なエネルギー管理を実現し、競合となるテスラ・モデルY パフォーマンスやBMW iX3と比較しても、走行性能とブランドステータスにおいて一線を画す存在であると捉えてよいかと思います。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックに乗ってみよう

そこで実際にマカン 4Sエレクトリックを試乗してみたいと思いますが・・・。

洗練されたデザインと次世代のインテリア

インテリアで目を引くのは、最大3つの画面を備えたデジタルコクピット。

  1. 12.6インチの曲面インストルメントクラスター
  2. 10.9インチのセンターディスプレイ
  3. 助手席専用のパッセンジャーディスプレイ(オプション)

最新のAndroid Automotive OSベースのインフォテインメントシステムはレスポンスが非常に速く、Googleマップとの連携もスムーズに行われ、もはやスマホを操作している感覚に近い快適さを誇ります。

ちなみにですが、アナログメーターを廃止したことでダッシュボードの「高さ」が極端に下がり、ポルシェの「伝統」のひとつでもあった”前方視界を遮るダッシュボード”が消失し、上り坂で前方を確認する際にも「首を伸ばす」必要がなくなっています。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック、メーター)

なお、「フロアにバッテリーを敷き詰める」という構造上、明らかにフロアが高くなっており、よって乗降時の足の運び方、ペダル位置の高さがガソリン版マカンとは異なるのですが、頭上スペースはしっかり確保されており、以下の表を見てもポルシェは「EV化に際し、ほぼ何も犠牲にせずパッケージングをまとめてきた」ことがわかります。※多くの電動SUVは最低地上高を犠牲にしており、それは先行して走る車両を見るとアンダーカバーと路面とのクリアランスが小さいことで判断できる

項目マカンS(ガソリン)マカン4S(EV)
全高1,621 mm1,623 mmEVが +2 mm
最低地上高約187 mm約170 mm(標準)〜 185 mm(エアサス標準高)EVが -17 mm ~ ほぼ同等
ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(フロントシートとフロア)

ちなみに「物理ボタン」は最小限で、システムオフ時には(機能の透過発光がなくなるため)インテリア全体が「真っ黒いツルっとしたパネル」にて覆われているように見えます(この手法はポルシェの現行世代の各モデル〜ガソリン車含む〜にも大なり小なり見られる)。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック、センターコンソール)

ちなみのドアノブはタイカンや911のような「フラッシュマウント」ではなく「アイロン式」で、その理由はちょっとナゾ(マカンEV設計時には、中国のドアハンドル規制はまだ表に出ていなかった)。

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ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、ドアハンドル)

マカン 4S エレクトリックのドライブフィールは?

そして実際に試乗を開始することになりますが、エンジンの始動ならぬシステムの「起動」はポルシェの流儀に従い「センターコンソールと反対側」にあるこのボタンにて。

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ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック、スタートボタン)

そしてブレーキペダルから足を離してクリープに任せて走り出しますが、「非常に静か」ということを除くとすべての感覚がガソリン車と変わりはなく、全く違和感なく扱うことができ、おそらくポルシェはこの「ガソリン車と同じ雰囲気にする」ことに対し、大きな労力を費やしたのではと考えられます。

なお、ポルシェは「EVのブレーキ」に対して独自の考え方を持っていて、多くの自動車メーカー「ワンペダル」ドライブを取り入れるのに対し、ポルシェは「ガソリン車と同じフィーリング」を実現しており、しかし実際に従来の摩擦ブレーキが動作するのは「時速5km/h以下」の状況がメインとなるため、実際に回生ブレーキが作動するのは一般的な運転環境だと「およそ90%以上において」。

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それでもこれだけ自然なフィーリング、回生ブレーキと摩擦ブレーキとの統合をなし得たのは「ポルシェならでは」というところかもしれません。

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さらにいえば、加速やコーナリングにおいても「ガソリン車っぽく」、よってこのクルマを「EVであると」知らされずに乗せられた場合、「EVだと」判断することは非常に難しいのでは、と考えています(EVっぽい無理矢理っぽさ、物理の法則を捻じ曲げてしまうかのような過剰な演出がない)。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、正面)

なお、0-100km/h加速は4.1秒という「とんでもない速さ」を誇るものの、その加速フィーリングもまた「ガソリン車」に近いもので、つまり「エンジンの回転数に合わせて速度が伸びる」という雰囲気を出しており、一般的なEVのように「初速が凄まじい」味付けではなく、ポルシェがあらゆる面においてマカンEVをガソリン車と変わらぬように設計したということも理解できます(そもそもマカンEVはガソリン版マカンの完全リプレイスである)。

逆に「EVらしさ」を感じる点は?

一方でEVらしさというか「EVであること」に気付かされるところもあり、ひとつは「車体重量の重さ」。

出だしや走行中、加速時、そしてコーナリング時に重量を感じることはないものの、段差であったり大きな路面のうねりによって「落差」がある際には一瞬「車体が大きく沈みこむ」個とはあり、そういった際には「やっぱりこのクルマは2.5トンあるんだな」と思ったり。

ただしサスペンションの設定を「スポーツ(車高が1センチ下がる)」にするとダンピングが強化されるのでそういった印象はなく、そして「スポーツプラス」に設定すると、「スポーツ」に比較して初期のアタリもダイレクトになるようです(ぼく的には「スポーツ」がベストという印象)

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、サイド)

そのほか、EV専用プラットフォームということでAピラーが前に出されており、それに付随してドアミラーの一もおそらく前方へと移動していて、場合によっては右左折時に視界を防いでしまうことも。

ただ、これはシートポジションの調整によって改善を図れるものと考えています。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、全景)

そのほか「EVならでは」のポイントだと、オプションにて装着される「ポルシェエレクトリックスポーツサウンド」がなかなかユニーク。

これは7万円くらいにて付与できるもので、文字通り「EVっぽいサウンド」を室内に向けて発するものですが、リニアモーターカーと新幹線のサウンドを足して2で割ったようなユニークなサウンドを持っており、ぼくとしてはなかなかにユニークだと感じた装備です(マカンEVを注文する場合、間違いなくこれを選択するであろう)。

ただ、このサウンドはさほど大きいものではなく(ロードノイズにかき消されることもあるレベル)、ポルシェとしては「不本意ながら」用意したオプションなのかもしれません(ポルシェはマカンEVをガソリン車っぽくしたかったのだと思われるが、セールス的観点によってこのオプションを設定したのかも)。

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ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック、シート)

補足:ポルシェ・マカン 4S エレクトリック

サイズ感と取り回し:都市部での使い勝手は?

マカン・エレクトリックは、先代のガソリンエンジンモデルと比較してホイールベースが約86mm延長されていますが(EV専用プラットフォームを採用したことによる)、これによって後席の足元空間にゆとりが生まれ、ファミリーユースとしての実用性が格段に向上しています。

そして気になるのが「1,938mm」というワイドな全幅ですが・・・。

  • メリット: 踏ん張りの効いたスタイリングと、圧倒的な走行安定性に寄与
  • 注意点: 日本の標準的な機械式駐車場(1,850mm〜1,900mm制限が多い)では制限に引っかかる可能性があるため事前の確認が必須

しかし実際のところ、ぼくは全幅1,980ミリというランドクルーザー250に毎日乗っているものの、困ったことはまったくなく、よってマカンEVの全幅についてはさほど気にしなくてもいいのかもしれません。

なお、オプションのリアアクスルステアリング(後輪操舵)を装着すれば、狭い路地やUターンも驚くほどスムーズになり、全幅やホイールベースの「数値上の大きさ」を感じさせない取り回しの良さを得ることが可能です。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、リア)

2.4トンの重量がもたらす「重厚」かつ「軽快」な走り

マカンEVの車両重量は2,420kg(日本仕様参考値)なので、ガソリンモデルのマカンS(約1,900kg)と比較すると約500kg以上重くなっていますが、ポルシェはこの重量を「武器」に変えており、カイエン・エレクトリックにおいても同様の手法が採用されています。

  1. 究極の低重心: バッテリーを床下全面に敷き詰めることで重心高はガソリン版マカンよりも低くなっている。実際にロールやピッチはガソリン版マカンに比較すると非常に小さい
  2. PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメント): 標準装備の電子制御サスペンションが1ミリ秒単位で減衰力を調整。荒れた路面では魔法の絨毯のような乗り心地を、スポーツ走行時にはタイトな踏ん張りを生み出すことに
ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、ヘッドライト)

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電気自動車ならではの収納:フロントトランクの活用

新型マカン4Sには、エンジンがない代わりにフロントに84リットルの「フランク(フロントトランク)」が備わっており・・・。

  • 充電ケーブルやパンク修理キットなどの汚れ物を分けて収納できる
  • 旅行の際のサブバッグを置くのに最適

リアのトランクと合わせれば、キャンプ道具やゴルフバッグも十分に積み込めるキャパシティを確保しており、「スポーツカーの走りとSUVの利便性」がこのスペックに凝縮されているというわけですね。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、リア)

急速充電の進化と「e-モビリティ」の未来

マカンEVで特筆すべきは「バンク充電」という画期的な機能で、400Vの充電器しか利用できない場所であっても、800Vのバッテリーを仮想的に2つの400Vバッテリーに分割して並列充電することで効率を最大化するシステムが採用され、これによって「充電待ちのストレス」が大幅に軽減されることに。

つまりポルシェは「速いクルマ」を作るだけでなく、EVを所有するライフスタイルそのものをアップデートしようとしており、これは環境への配慮とドライビングプレジャーを両立させたい新しい現代のリーダー層に向けた強いメッセージだと言えそうです。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、リア)

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結論:試乗を終えて

マカン4S エレクトリックは「EVやSUVに乗りたいが、スポーツカーとしての走りは諦めたくない」という欲張りな願いを完璧に叶える一台。

EVとしての完成度は極めて高く、しかしEV性能以上に「ポルシェを運転している」という高揚感が勝るという印象で、たとえガソリンエンジンが発するサウンドがなくとも、ステアリングホイールから伝わる路面の情報やコーナーでの身のこなし、サスペンションの挙動やブレーキングなどすべてが「本物」であることを証明しています。

むしろ「ピュアEV化したことで」ガソリン車よりも緻密かつ高速な車体制御ができるようになっており、ある意味では「これこそがポルシェが本気で作りたかったクルマ」なんじゃないかと思ったり。

EVならではの「加速」「広くなった室内」「重さを感じさせない魔法の足回り」など、「EVにしかできないこと」をたくさん持っていて、これらすべてが、ポルシェが描く次世代SUVの理想形を体現しています。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのエクステリア(ホワイト、テールランプ)

ただ、こういった素晴らしいクルマであるにも「セールスに直結しない」理由として考えられるのは、やはり「EVのイメージとポルシェの持つブランドイメージとがが結びつきにくい」こと(上述の通り、実際にはポルシェらしいクルマである)。

そしてまだまだEVは発展途上の乗り物であり、購入してすぐに「機能や性能が過去のものになってしまう可能性があること」も購入検討者の意欲を殺いでいるのではとも考えていて、1200万円も出して購入したクルマが「すぐに機能的に劣った”旧型になる”」のは耐え難い事実であり、そしてポルシェの購入者のほとんどは「優れた機能や性能」を求めていると考えられるため、こういった現実をうまく飲み込めないのかもしれません(そしてタイカンという先例がある)。

さらに「時間とともに(絶対的かつ相対的に)劣化してゆく」という性質に起因してEVのリセールは一般に優れず、よって「買い時」を見極めようとしている人も少なくはないのかも。※つまり今の時点でEVを買う「必要」はない

これらについては「時間がある程度解決する」問題なのかもしれませんが、ポルシェがかつて思い描いたとおりにEVが売れるようになるには、「もっとEVが進化し、消費者の意識や理解が高まる」必要があるのでは、とも考えています。

ポルシェ マカン 4S エレクトリックのインテリア(ブラック、ステアリングホイール)

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