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ボルボの工場で中国・吉利汽車のクルマを生産?関税で揺れ動く米国にて「多国籍企業」ならではのメリットを活かした「100%関税を突破する解決法」が報じられる

ボルボ EX40のフロントとエンブレム

| こういった場合、「多国籍企業」は何かと有利である |

米中貿易戦争の「裏口」か、それとも「救済策」か

アメリカ政府が「中国製電気自動車(EV)から国内メーカーを保護するため」100%という異例の関税の壁を築き上げたことは御存知の通り。

しかしこの強固な防壁に「穴」を開ける存在が現れるかもしれず、それが今回報じられているスウェーデンの名門ボルボ(Volvo)と、その親会社である中国のジーリー(Geely/吉利汽車)です。

簡単に言えば、ボルボの米国工場を活用し、中国ブランドのEVを「メイド・イン・USA」として生産することで関税を回避するということになりますが、この驚きの戦略が現実味を帯びてきた背景には「工場の稼働率問題とジーリーの強い野心」が見え隠れするようですね。

この記事のポイント

  • 工場の有効活用: ボルボのサウスカロライナ工場は現在「販売不振」のEX90やPolestar 3により稼働率が低下中
  • ジーリーの米国進出: 中国のジーリーは、今後2〜3年以内での米国市場参入を公言している
  • 関税回避の切り札: 米国内で生産することで、中国製EVに課される100%の関税を合法的に回避できる可能性がある
  • 規制の壁: 関税は回避できても、中国製の「コネクテッドカー用ハード・ソフト」の使用禁止など、新たな規制が立ちはだかる
Zeekrの電気自動車(香港にて)

苦境のサウスカロライナ工場と「親会社」の救いの手

順を追って今回の状況を説明してみると、まずボルボが2018年に開設したサウスカロライナ州リッジビル工場は、当初の期待とは裏腹に苦戦を強いられているという現実があり、主力となるはずだったS60セダンは市場のSUVシフトの煽りを受けて販売失速、現在はフラッグシップEV「EX90」と「ポルestar 3」を生産しているものの、これらも高額かつ販売が伸び悩んでいるために「工場の稼働率が低いまま」となっています。

そこでボルボのホーカン・サムエルソンCEOは、この工場の余剰能力を解消するため、親会社であるジーリーの車両を生産することを検討するというコメントを出しており、もしこれが実現すれば、ボルボの工場にとっては稼働率向上、ジーリーにとっては「(関税を回避してアメリカ市場を開拓するための)米国へのパスポート」を手に入れるという、win-winの関係となるわけですね。


ボルボ・リッジビル工場の現状と生産モデル

項目詳細・スペック
所在地米国 サウスカロライナ州 リッジビル
現在の生産車種Volvo EX90, Polestar 3
今後の予定ベストセラーSUV「XC60」の追加生産
検討中の計画ジーリー(Geely)ブランドのEV生産
最大の課題稼働率の低迷と、対中規制の強化

「100%関税」という巨大な壁

この「中国製EVに対する100%関税」はバイデン政権下で決定されたもので、中国製EVが米国の路上を占拠するのを阻止するための「経済的障壁」として機能しており、これによって「中国から輸入されるEVは自動的に100%=車両と同等の金額を課税される」ため、車両価格が2倍となってしまう可能性を意味します。

しかし、米国内の工場で米国の労働者が組み立てる「現地生産車」であれば、この関税を回避できる理論的根拠が生まれることになり、今回ジーリーはこの「抜け道」を活用しようということになりますが、現トランプ政権は「本社所在地が中国であれば、すなわち中国車」といった(無理やりな)新たな制限を課す可能性も示唆されています。

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関連する新しい知識と気付き:関税の次は「ソフトウェア」が標的

様々な課題をクリアしてジーリーが関税を回避できたとしても、次のハードルは「コネクテッドカー規制」。

米国商務省は、中国やロシア製のハードウェアおよびソフトウェアを搭載したコネクテッドカーの輸入・販売を禁止する規則を最終決定していて、これは車両が収集するデータが中国側に流れることを防ぐ「安全保障上の措置」であり、たとえ米国製であっても中身のシステムが中国製であれば米国内で車両を販売できない可能性があるため、ジーリーが米国進出を果たすには、OSやセンサー類を全面的に非中国製へと入れ替える必要が生ずることに。

しかしながら、「非中国製へと入れ替えたとしても」100%の関税を課されるよりはずいぶん車両販売価格を抑えることができるものとも考えられ、米国製のパーツやソフトを使用すれば「アメリカ政府の顔を立てることもでき」、かつ生産量に比例してコストの引き下げも考えられるなど長期的なメリットも見えてくるわけですね。

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結論

「100%関税」という絶壁の前に立ち尽くす中国メーカーが多い中、ボルボという「欧州ブランドの仮面」と「米国工場」を既に持っているジーリーは”最も米国市場に近い場所”にいるのだとも考えられ、そして現在のように地政学的リスクが多様化する現代において、こういった「多国間にわたってブランドと工場を展開する企業」はそのリスクを和らげるポテンシャルを秘めているのだとも考えられます。

つまるところ、現代における自動車メーカーの運営、そして成否は「商品(クルマそのもの)」よりも「戦略」によるところがますます大きくなっているとうのが現在の状況。

いまのところ、この「ジーリーの解決策」は有効に機能しそうに思えるものの、政治家たちは「中国企業の米国進出」に対して依然として強い警戒感を持っており、もしジーリー車の現地生産が始まれば、さらなる新たな法的規制やブロック策が講じられるであろうことも想像に難くないところです。

ボルボの工場が「中国EVのトロイの木馬」となるのか、それとも「米国の雇用を守る救世主」となるのか。

いずれにせよ、今後2〜3年で米国の自動車業界はもちろん、路上の風景が劇的に変わるかもしれません。

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