
| 海外プレミアムブランドからの「流出」が止まらない |
一方で「ニッチ」な輸入車は高い人気を誇っている
日本自動車輸入組合(JAIA)が発表した2026年5月の外国メーカー車新規登録台数データによると、輸入乗用車の総登録台数は17,770台(前年同月比98.4%)となっており、全体としては「微減傾向」。
しかし、ブランド別の内訳を見ると「ドイツ御三家などの量産ラグジュアリーブランドの苦戦」と「ポルシェやフェラーリをはじめとする超高級・スポーツカーブランドの驚異的な躍進」という明確な二極化トレンドが浮き彫りになっており、ここではこの最新データから読み解く輸入車市場の現在地、そして今後の動向について考えてみましょう。
2026年5月の海外メーカー車新規登録動向:二極化が進む輸入車市場
- 市場全体の動き:5月の総登録台数は17,770台(前年同月比98.4%)と、ほぼ横ばいながら前年割れ
- 王者の苦戦:メルセデス・ベンツ(89.8%)、BMW(81.4%)、VW(90.2%)と、主要ドイツブランドが揃って前年同月比でマイナス
- スポーツカーの躍進:ポルシェ(111.6%)、フェラーリ(124.5%)が前年を大きく上回る大健闘
- 最大のサプライズ:アルファロメオが前年同月比217.5%と驚異的な伸びを記録

2026年5月 輸入乗用車新規登録台数ブランド別ランキング
まずは主要なブランドの登録台数と前年同月比(シェア上位および注目ブランド)を表で確認してみましょう。※本年1月からの累計台数順にピックアップ
| ブランド名 | 当月登録台数 (台) | 前年同月比 (%) | 1月からの累計 (台) | 累計前年比 (%) |
| Mercedes-Benz | 3,671 | 89.8% | 18,549 | 91.4% |
| BMW | 2,132 | 81.4% | 11,493 | 81.2% |
| VW (フォルクスワーゲン) | 2,220 | 90.2% | 10,535 | 73.6% |
| Audi | 1,535 | 73.5% | 7,797 | 85.5% |
| BMW MINI | 1,282 | 83.7% | 7,724 | 88.7% |
| Porsche | 671 | 111.6% | 4,714 | 101.6% |
| Volvo | 824 | 105.5% | 4,496 | 103.8% |
| Jeep | 627 | 105.9% | 2,734 | 78.5% |
| Peugeot | 552 | 144.5% | 2,447 | 97.4% |
| BYD | 363 | 87.3% | 1,124 | 160.0% |
| Alfa Romeo | 137 | 217.5% | 763 | 227.1% |
| Ferrari | 122 | 124.5% | 681 | 123.8% |
| Lamborghini | 74 | 92.5% | 415 | 122.1% |
市場の勢力図変化:勝者と敗者を分けた要因とは?
1. ドイツ御三家・量産ブランドの足踏みと「買い手」の心理
長年、日本の輸入車市場を牽引してきたメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、そしてフォルクスワーゲンが軒並み前年割れとなっていて、特にアウディ(前年同月比73.5%)の落ち込みが目立つのがこの5月。
これは、近年の世界的な車両価格の高騰(インフレや為替の影響)に対し、ボリュームゾーンの一般ユーザー層が買い控え、あるいは国産高級車(レクサス等)や中古車市場へ流れている可能性を示唆しています。
そしてもう一つ考えられる要因としては「日本ブランド」への流出で、上述のレクサスのほか、トヨタやホンダへと流れている可能性も否定できず、クラウンやアルファード、シビックやプレリュードへなどへと「これまでの輸入車の顧客が」流れているのでは、とも考えているわけですね。

2. ポルシェ・フェラーリの「超ハイエンド層」は揺るがず
一方で、ポルシェ(111.6%)やフェラーリ(124.5%)、ランボルギーニ(122.1%)といったスポーツカー・スーパーカーブランドは非常に強い数字を残していて、富裕層の購買力は依然として旺盛であり、これらのブランドが持つ「資産価値の高さ(リセールバリューの強さ)」も不透明な経済情勢下で選ばれる大きな要因となっているのかもしれません。
特にフェラーリは単月で122台、1月からの累計で681台と、スーパーカーとしては異例のハイペースを維持しています(ただ、フェラーリはほぼすべての新車が受注生産なので、現在の数字は過去1-2年の間の受注である)。
3. アルファロメオの「爆跳び」とプジョーの復活
今月の台風の目となったのがアルファロメオ。
前年同月比217.5%(137台)という驚異的な伸びを記録していて、新型SUV(フェイスリフトされたトナーレ、新しく登場したジュニアなど)の供給が本格化したこと、そして魅力的な限定車や特別仕様車の投入が熱熱なファン(アルフィスタ)だけでなく新規顧客の心を掴んだ結果と言えそうです。
さらにプジョーも144.5%と大きく盛り返していて、このあたりを見るに「個性的な、あるいはニッチな」輸入車は常に生存領域を確保している(侵食されにくい)ということなのかもしれません。
知っておきたい新しい知識:「EV・少量生産メーカー」の現在地
今回のデータで密かに注目すべきは、電気自動車(EV)をメインに据える新興勢力、少量生産メーカーの動きであり・・・。
- BYDの足踏みと累計の強さ:今月は363台(前年同月比87.3%)と単月では前年を割ったものの、1月からの累計では前年比160.0%(1,124台)と依然として急成長を遂げている
- ヒョンデの安定感:ヒョンデもBYDと同じく、5月こそ前年割れを記録しているが、今年の累計だと前年比144.5%を記録し好調を維持
- マクラーレンやロータスの供給サイクル:マクラーレン(15.0%)やロータス(33.3%)は今月大幅なマイナスとなっているものの、これは日本への配車・船積みのタイミング(供給サイクル)による影響が大きいため、一概に人気凋落と言えるものではなく、スーパーカーブランドを見る際は単月だけでなく「累計(c/d%)」でトレンドを追うのが鉄則

結論:今の輸入車選びは「リセール」と「個性」がキーワード
2026年5月のデータが証明したのは、「無難な高級車」から「明確な価値を持つ車」へのシフトです。
誰もが乗っている定番モデルが苦戦する一方、ポルシェやフェラーリのように「乗って楽しく、売っても高い」ブランドや、アルファロメオのように「強烈な個性とデザインを持つ」ブランドが選ばれているというのが直近の傾向であり、これから輸入車を検討する方は、単なる知名度だけでなく、「そのクルマが持つ独自の価値」や「将来のリセールバリュー」に注目してみると、後悔のない満足できる愛車選びができるのかもしれません。
そしてメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンの販売が減っていることについては、「明確な価値、つまり積極的に選ぶ意味を失ってしまった」のだとも考えられ、国産含むほかブランドが追い上げる中、その価値が相対的に下がってしまったのだとも考えられます。
合わせて読みたい、関連投稿
-
-
フェラーリが2025年度の決算を発表。売上は前年比+7%、利益は前年比+12%、一方の販売台数は13,640台(-112台)。希少化、1台あたりの高利益化が鮮明に
| フェラーリの堅調な成長に対して市場は高く評価したようである | 決算発表後、ルーチェの発表もあってフェラーリの株価は上昇 イタリアを代表するスーパーカーメーカー、フェラーリが2025年度通期決算( ...
続きを見る
-
-
ランボルギーニが3年連続で販売台数「1万台の壁」を突破し過去最高を記録、1台あたりの利益を最大化することで利益率はアウディの約5倍に
| ランボルギーニは今後も強い成長を見込んでいる | ランボルギーニのラインアップは「すべてPHEV」へ 2026年3月19日、アウトモビリ・ランボルギーニが2025年度の財務結果を発表(すでに速報値 ...
続きを見る
-
-
ポルシェが挑む「脱・拡大路線」。販売台数「3割減」を許容、しかし利益を守る異例の“反資本主義的”大改革とは
Life in the FAST LANE. | ポルシェの新CEO、マイケル・ライタース氏が驚異の判断 | ただし市場がそれについてくるかどうか、民主化したしたポルシェの動向には注目が集まる 近年の ...
続きを見る
参照:日本自動車輸入組合(JAIA)











