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ランボルギーニCEOが改めて「エレクトリックハイパーカー需要はゼロ」と断言。「フェラーリ ルーチェに先陣を切らせて市場を見極める」二番手戦略へ

ランボルギーニのエンブレム
Life in the FAST LANE.

| ランボルギーニとフェラーリは「似ているようで」全く異なる |

フェラーリはPHEVが「受け入れられず」、しかしランボルギーニはPHEV化を成功させている

世界中の自動車ファンやコレクターを驚かせた、フェラーリ初のプレミアムEV「ルーチェ(Luce)」のワールドプレミア。

元アップルのチーフデザイナーであるジョニー・アイブ氏率いる「LoveFrom」と共同開発した大胆なデザイン、そして1,000馬力を超える4モーターのスペックは大きな注目を集めたものの、市場や熱狂的なファンの間ではそのドラスティックな変化に対して賛否両論が巻き起こっています。

そこで気になるのが、このライバル企業の動向を同じ「モーターヴァレー」の地に拠点を置くランボルギーニはどのように見ているのかということで、多くの自動車メーカーが電動化へのシフトに遅れまいと急ぐ中、ランボルギーニのCEOであるステファン・ヴィンケルマン氏はメディアの取材に対し、「我々の(ランザドールの販売を遅らせたという)決断は正しかった」と自信を覗かせており、フェラーリがEV市場へ巨額の賭けに出たのに対し、ランボルギーニは「あえて立ち止まり、静観する」という極めて現実的かつ戦略的なアプローチを選んだことが示されています。

ここでは、両雄の戦略の違いから見えるスーパーカー市場の未来、そしてランボルギーニがEV導入を急がない経営的な背景について考えてみましょう。

ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン

超高級車ブランドが直面する電動化への「温度差」

  • 対照的な戦略: 先陣を切って画期的な4ドア5人乗りEV「ルーチェ(Luce)」を発表したフェラーリに対し、ランボルギーニは初の完全EV「ランザドール(Lanzador)」の市販化を2030年以降へ正式に延期
  • 需要の冷え込み: ランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマン氏は、高級車セグメントにおけるEV受容性の伸びは予想を遥かに下回り、現時点での顧客需要は「ほぼゼロ」であると分析
  • ハイブリッドでの延命: 2035年の欧州環境規制を見据えつつも、当面はV8およびV12エンジンにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)に注力する方針
  • 盤石の経営基盤: フォルクスワーゲングループ傘下で24%という驚異的な営業利益率を誇るランボルギーニは、「他社に先陣を切らせて市場を見極める」賢明なポジションを選択

顧客の需要は「ほぼゼロ」。ヴィンケルマンCEOが語る市場の本音

ジャーナリストとのラウンドテーブル(座談会)において、フェラーリ・ルーチェのデビューに対する市場の反応を問われたステファン・ヴィンケルマンCEOは、ランボルギーニ初となる市販EVの導入を先送りしたことについて明確な根拠とともに持論を展開。

ドイツの経済紙「Handelsblatt」などの報道によると、同社はラグジュアリーセグメントにおけるEVの需要動向を長年にわたり高精度にモニタリングしてきたといいい、その結果、業界の多くの専門家が予測していたような「EVへの急速なシフト」は富裕層の限定的なコミュニティにおいては全く起きていないと判断しているのだそう。

ランボルギーニは当初、2ドアの2+2グランドツアラーEVコンセプト「ランザドール(Lanzador)」を2020年代後半までに市販化する計画を掲げていましたが、しかしターゲットとなる主要顧客層の間で純粋な電気自動車(BEV)に対する購入意欲が「事実上、皆無(Close to zero)」であることを受け、市販化を少なくとも2030年、あるいはそれ以降へと正式に延期することを決定し、当面は既存のラインナップを補完する「新たなハイブリッドモデル」の開発へとリソースをシフトするという決断を下しています。

ランボルギーニ・ランザドールはなぜ「あの奇抜な」ボディ形状なのか?「現在持たない車種を投入する必要があったが、セダンは2つの理由からNOになった」

Image:Lamborghini

ランボルギーニ ランザドールはどういったクルマだったのか

ここで先陣を切ったフェラーリ「ルーチェ」と、ランボルギーニがかつて提示し、現在はハイブリッド化への見直しが進む「ランザドール」のスペックやコンセプトの対比を整理してみたいと思いますが、両者は「従来の2シーター・スーパーカー」の枠を飛び出し、実用性を兼ね備えた「複数人乗り」のラグジュアリーセグメントをターゲットにしている点で共通しています。

ただ、そのボディ形状やパワートレインへのアプローチが大きく異なっていて、これは興味深い事実かもしれません。

フェラーリ ルーチェ vs ランボルギーニ ランザドール(コンセプト時)比較

項目フェラーリ ルーチェ(市販モデル)ランボルギーニ ランザドール(EV計画時)
パワートレイン完全電動(BEV)/ 4基の独立モーター完全電動(BEV)※PHEV化へ変更を計画中
最高出力1,035 hp (ブーストモード時)1メガワット(約1,360 hp)超を標榜
0-100km/h加速2.5秒(コンセプト値:2秒台前半想定)
乗車定員・ドア数5人乗り / 4ドア(観音開き)4人乗り(2+2) / 2ドア(高地上高)
デザイン協力LoveFrom(Jony Ive / Marc Newson)ランボルギーニ・チェントロ・スティーレ
市場への投入時期2026年後半〜2027年2030年以降に延期(仕様変更)
ランボルギーニ初の電気自動車「Lanzador」正式発表。新セグメント「ウルトラGT」の創出を標榜し、そのデザインは宇宙船からインスピレーションを受ける

Image:Lamborghini

フェラーリ「ルーチェ」がもたらした衝撃

フェラーリ ルーチェは、単にエンジンをモーターに置き換えただけではなく、これまでのフェラーリのスタイリングを覆す未来的なワンボックス(モノボックス)に近いフォルム、そしてApple製品を想起させるクリーンなインテリアを身にまとっています。

フェラーリ側は「この高度な4輪独立制御とパッケージングは、EVでなければ不可能だった」と技術的優位性をアピールしますが、その先進性ゆえに伝統を重んじるコレクターの間で評価が真っ二つに割れているのが現状です。

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VWグループという巨大な盾と高い収益性

ランボルギーニがこれほど大胆に「EV化の様子見」を決め込める背景には、ブランド単体の人気だけでなく、親会社であるフォルクスワーゲングループ(VWG)内における独自の立ち位置と、極めて高い収益性が背後にあります。

フェラーリは独立した自動車メーカーとして、自社で排出ガス規制(CAFE規制など)のクレジットや巨額のクリーンテクノロジー開発費を単独でコントロールしなければならず、そのため早い段階で完全なEVのフラッグシップを市場に投入し、ブランドの「環境先進性」を証明する必要があり、一方でランボルギーニは以下の強みを持っています。

  • 巨大グループのスケールメリット: ポルシェやアウディが開発した実績のある最先端EVプラットフォームやコンポーネントを、将来的に必要なタイミングで共有・流用できる
  • 圧倒的な利益率: 2025年の通期決算において、売上高32億ユーロを記録。営業利益は前年の8億3500万ユーロから7億6800万ユーロへと微減したものの、「24%」という驚異的な営業利益率を維持
ランボルギーニ
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この強固な財務体質があるからこそ、ランボルギーニは無理に市場が未成熟なEVを投入して大火傷を負うリスクを避け、顧客が今本当に求めている「エモーショナルなサウンドを放つV8やV12のハイブリッド(PHEV)」を極限(タイムリミット)まで売り抜くという、現実的かつ賢明なポジションを取ることができるというわけですね。

2035年を見据えた「二番手戦略」の賢明さ

2035年から欧州全域で開始される「内燃機関車の新車販売禁止」の足音が近づく中、合成燃料(e-fuel)の活用や小規模メーカーへの特例措置についての議論は今なお続いています。

このような過渡期において、フェラーリのように先陣を切って「未来のラグジュアリーEVの基準」を定義しにいく姿勢はイノベーターとして称賛に値するもので、しかし同時に、初期の市場の拒絶反応や株価への影響といったリスクを一身に背負うことになるというのもまた事実。

ランボルギーニのヴィンケルマンCEOは、そのリスクを冷徹に見極めており、他社に市場の開拓(毒見)を任せ、顧客の意識や充電インフラ、そして合成燃料の法規制が完全にクリアになった段階で「最高のクオリティのEVを投入する」――。この「賢明な二番手戦略」こそが、結果として伝統のファイティングブルのブランド価値を守り、熱狂的なファンを繋ぎ止める最も確実な道だと考えているのかもしれません。

ランボルギーニ。ウルスSE(ブルー)のフロントフェンダー
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なぜフェラーリは「電動化」が許されない?

そこでもう一つ考えてみたいのが、「なぜランボルギーニは全車PHEV化しても成功を収め、なぜフェラーリはPHEV化が非難されるのか」。

これについては明確な解が見当たらず、ぼくが思うに「フェラーリのバックボーンはモータースポーツにあり、フェラーリをモータースポーツにおいて成功させてきたのは内燃機関そのものだから」。

ただし今ではF1そしてル・マンといったモータースポーツのトップカテゴリにおいては「ハイブリッド」化が進んでいるものの、それでもフェラーリのDNAの中心にあるのは内燃機関であり、電動化はその歴史に対する裏切りだと捉えられているのかもしれません。

反面、ランボルギーニを成功に導いたのは「モータースポーツ」ではなく過激なデザイン、そして(市販車分野における)技術的先進性にあると考えられ、つまり「ガソリンエンジン」がブランドバリューに占める比率はフェラーリほど高くはない、と認識されている可能性もありそうです。

ランボルギーニ・ミウラのV12エンジン(ヴェルデ・スキャンダル)
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つまり、フェラーリらしさとは(現時点で)「=ガソリンエンジン」であると捉えられており、ランボルギーニらしさとは「ガソリンエンジン(あるいはパワートレインそのもの)に依存しない」のだとも考えられ、となるとむしろランボルギーニのほうが「EVにチャレンジしても成功する確率が高いのでは」とも推測できますが(そしてこの観点からは、ルーチェはパイロットモデルとしてはランボルギーニの参考になりにくい)、そこに内包されるリスクは小さいものではなく、よってランボルギーニは「リスクを最小限にしたい」と判断したのだと思われます。

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参照:CARSCOOPS

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