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試乗してボクは思った。「テメラリオはウラカン後継ではない」。あまりにも技術的に大きく飛躍しすぎ、そしてまったく別の生息域にある新しいスーパーカーである【動画】

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜リア
Life in the FAST LANE.

| ランボルギーニは基本的に先代の名を継承しないが、その意味がこれほどよく分かる「後継」モデルもないだろう |

これほどの短期間で、これほどの飛躍的な進歩を遂げるとは

さて、今回はランボルギーニ テメラリオの試乗レポート”後編”。

前編ではテメラリオとはなんぞやというところに触れましたが、今回は実際に運転してみた印象などを述べてみたいと思います。

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜フロント
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この記事の要約

  • テメラリオのインテリアはスーパーカー業界で随一のデザイン性を持つ
  • テメラリオの車内は非常に高い静粛性と快適性を誇っている
  • テメラリオは電子制御満載、「新世代の」スポーツカーである
  • 実質的なテメラリオの競合車は存在しない
ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜フロント
Life in the FAST LANE.

ランボルギーニ・テメラリオに乗ってみよう

そして実際に試乗し感じたことを順に述べてみたいと思いますが、乗り込んでまず感じるのは「視界の良さ」。

フロントウインドウの端から端までが広く、ダッシュボードが低く、そしてサイドウインドウには「三角窓」があるために前方の視界は非常にクリア(フェラーリやマクラーレン、ポルシェと比較してもかなり広い視界を確保している)。

そしてドアミラーも左右に大きく張り出しているために後方の確認も比較的容易です。

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜インテリア
Life in the FAST LANE.

その一方でルームミラーによる「真後ろ」、として斜め後方の視界はかなり限られており、よって実際に走行する際には余裕を持って周囲のクルマの存在そして動きを確認し、安全を確保したうえでの車線変更などが必要になってくるものと思われます。

ちなみにシートバックとリヤバルクヘッドとのスペースはかなり広く、これはウラカン比で38ミリ伸びたホイールベース、そして(ハイブリッドシステムが詰め込まれたといえど)V10からV8へとダウンサイジングされた恩恵だと言えそうですね。

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜インテリア
Life in the FAST LANE.

ドライビングポジションも違和感なく決まり、ペダルの配置も「中央に寄る」ことなく非常に自然なレイアウトを持っていますが、ブレーキペダルとアクセルペダルとの「段差」はけっこう大きいように思います。

ランボルギーニ テメラリオのインテリア〜ステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

ちなみにスイッチ類はこれまでのランボルギーニに「輪をかけて」高いデザイン性を持っており、これもまたフェラーリやマクラーレン、そしてポルシェとも大きく異なるところですね(ウラカンからキャリーされたパーツも多い)。

ランボルギーニ テメラリオのインテリア〜スイッチ
Life in the FAST LANE.

車内はとんでもなく快適である

車両の「起動」はウラカンと同じくセンタートンネル上に設けられたフラップを開き、その奥に潜む「スタートボタン」を押すことで行いますが、テメラリオはPHEVなので起動時に爆音が発せられることはなく「無音で」システムが立ち上がることに。

そしてそのままブレーキペダルを離すとクリープとともにスルスルと車体が動き出すわけですね。

なお、ディーラーを出て高速道路に乗るまでの僅かな距離にはいくつかの段差と路面のうねりがあるのですが、ここで感じるのが「サスペンションのストロークが長く足回りが柔らかい」ということ。

ちなみにウラカン世代のサスペンションは「ストロークが短く、スプリングが柔らかく、ダンピングが硬い」というものだったのですが、テメラリオでは「ストロークが長く、スプリングが柔らかく、ダンピングも柔らかい」。

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)のホイール
Life in the FAST LANE.

つまり大きくその動作と印象が変わっており、これはウラカンの登場から今に至るまでの「サスペンションの進化」をそのまま表しているのだとも考えられ、今時のクルマらしく「よく動く」、しかし車体のピッチとロールが非常にうまく抑えられているというもの。

「ウルス」がランボルギーニにもたらした恩恵とは

ちなみにですが、この「ピッチとロールがうまく抑えられている」ということにつき、ぼくは「ウルス」の影響が大きいんじゃないかと考えていて、つまりランボルギーニはウルスという「大きく重く、重心が高くロールセンターを適正化しにくい」SUVを開発する段階において「車体を制御する技術」を身につけたのではないかと推測しており、これがテメラリオにも反映されているのではないかということですね。

参考までに、ポルシェ911の足回りと車体制御技術が大きく向上したのは「997世代(2004年)」からだと認識していて、そしてこの時期ポルシェに何があったかというと、ポルシェは「2002年にカイエンを発売」しています。

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つまりポルシェもまたカイエンという「御しがたい」体躯を持つSUVを手なづけた結果、911というスポーツカーにその技術を反映させることができたのだとも考えているのですが、同様にランボルギーニもウルス(2017年)の開発を機に大きく車体制御技術を向上させたのではないか、というのがぼくの見解です。※ウラカンの登場は2014年なので、このときはまだウルスは未完成である

ランボルギーニ・ウルスとLM002(ランボルギーニ博物館にて)
Life in the FAST LANE.

もうひとつ参考までに、ウルスが発売された時期に前後して「プレミアムSUV」が多数世に出始めており、ベントレー・ベンテイガは2015年、ロールス・ロイス・カリナンは2018年に発売されています。

ただ、これらに実際に乗ってみたところ、(当時の)ベンテイガそしてカリナンは「足回りが柔らかく乗り心地が良いものの」加速や減速時、コーナリング時には(べつに過激な運転をしていなくても)ピッチとロールが非常に大きく、つまり姿勢の変化が甚大であり、逆に快適性を損なっていたというのがぼくの認識です。

一方、ウルスは当時であっても姿勢がビシャリと安定していて「さすがランボルギーニ」だと思ったものですが(カイエンの車体制御も素晴らしい)、とにかくこの時期にSUVを不安なく走らせることができていたのはランボルギーニとポルシェだけだとも捉えており、ここからは「それだけSUVの姿勢を安定させることは難しい」ということ、「SUVの姿勢を制することができたのであれば、すなわちそれはスポーツカーの姿勢を制することにも繋がる」ということが推測可能。※そして「逆」に、ベンテイガとカリナンの初期モデルがフワフワしていたところを見るに、ランボルギーニやポルシェのようなスポーツカーメーカーがもともと持つ車体制御技術がなければSUVを安定させることも難しかったのかもしれない

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そしてこれらに続く「素晴らしい姿勢制御技術を持つ」SUVがアストンマーティンDBX(2019年)とフェラーリ プロサングエ(2022年)で、フェラーリに至っては実際に「プロサングエの姿勢制御用に開発したサスペンション=FAST」をハイパーカーであるF80にも転用しており、やはりSUVの姿勢を制御するということは「結果的にスポーツカーの姿勢を制御する」ことに繋がるのかもしれません。

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Life in the FAST LANE.
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カイエン、ウルス、DBX、そしてプロサングエはいずれもそれぞれのブランドを利益面で潤したことがよく知られていますが、実際には「金銭よりも技術の躍進という側面において」もたらした恩恵のほうが大きいのかもしれませんね(そう考えるならば、スポーツカーメーカーが大きく重いSUVを開発し発売することには多大なメリットがある)。

ちょっと話がそれたものの、とにかくテメラリオの足回りは非常に柔らかく快適で、しかしそれでいて「ボヨンボヨン」せずにビシリと姿勢が安定しており、これはやはりウルスがもたらした、あるいはウルスを発売していなければ取り入れられることがなかった技術なのだと考えられます。

ランボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜フロント
Life in the FAST LANE.

脱線ついでにいうならば、姿勢制御に重要なのは「ブレーキ」で、たとえばブレーキング時には通常ノーズダイブが生じるものの、この際にリアブレーキを「強く」動作させればノーズダイブが解消されることに(これもやはりスポーツカーメーカーが強い領域)。

そしてコーナリング時には内輪のブレーキをかけることで車体を強制的に旋回させることも可能となり、これに「電子制御サスペンション」と「トルクベクタリング」をかけあわせると「加速時でも減速時でもコーナリング時でも」物理の法則を無視したかのような「不動の姿勢」を保つことが可能となるわけですが、まさにテメラリオは「そんな感じ」。※ランボルギーニは基本的に4WDを前提に設計されているためにフェラーリやマクラーレンに比較して姿勢制御のための「手段」が豊富なのだと思われる

ンボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜リア
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電子制御はいまやスポーツカーにとっての「味方」である

なお、この「電子制御」の恩恵は他にもあって、それは「ドライブモード間でのキャラクター変化の振り幅」。

テメラリオには大きく分けて「CITTA」「STRADA」「SPORT」「CORSA」のドライブモードが組み込まれていますが、ウラカン時代に比較してそれぞれのモード間の変化幅が大きくなっており、エレクトリックメインのモード「CITTA(もちろんこれはウラカンにはない)」ではGT的な穏やかな足回りとサスペンションにハンドリング(これは今までのランボルギーニにはなかった味付け)、そしてもっともハードな「CORSA」ではウラカンよりもぐっとスパルタンに。

そして「アレッジェリータ・パッケージ」装着車だと「乗り心地の良さはそのままに」ステアリングホイールの操作性に対する反応がより正確になり「オンザレール感」が強くなるという印象ですが、こういったキャラクターの演出もまた「メカニカル」ではなく「電子制御」によるものだと思われ、テメラリオはまさに「現代ならではのスポーツカー」ということになりそうですね。

ンボルギーニ テメラリオ(イエロー、アレッジェリータ・パッケージ)〜リア
Life in the FAST LANE.

テメラリオは「安心、安定」のスーパーカーである

こういった感じで「姿勢が完全にコントロールされた」のがテメラリオというわけですが、それに起因して「920馬力も発生するとは思えない」扱いやすさを持っており、ここはガヤルドがデビューした時によく言われた「スーパーにも乗って行けるスーパーカー」というキャラクターがいまも引き継がれているということがわかります。

そしてこういった乗りやすさを強化しているのが上でも触れた「車内の快適性」で、これは逆にガヤルドそしてウラカンとは全く異なって「振動やノイズが極端に抑えられた」空間となっており、ほかのクルマの発するノイズ、自車のロードノイズ、さらには初夏の強烈な日差しまでをもシャットダウンするというサルーンのような上質な空間を演出しているわけですね。※テメラリオを試乗した後、296GTBに乗って帰る際の日差しがやたら強く感じられ、テメラリオのガラスはかなり分厚いのだと思われる(ただし見たところ、熱戦吸収ガラスではないようだ)

これはかなり意外な部分かもしれませんが、これまでの「ベビーランボ」に比較すると大きくキャラクターが変更されているようで、こういった性格を考慮するに、ぼくは「テメラリオはウラカンの後継ではなく、全く新しいゾーンに投入された新種である」とも考えています。

実際のところ、これまでのガヤルドそしてウラカンはフェラーリのミドシップモデルとライバル関係にあったものの、もはやテメラリオはミドシップフェラーリと比較できる性格のクルマではなく、これはステファン・ヴィンケルマンCEOが語った通り「競合が存在しないクルマ」なのかもしれません。※重量が増加しようとも、デザイン上やブランディング上の理由にて取り付けられているパーツがあり、これはフェラーリやマクラーレンでは見られない例である。つまりクルマづくりのプライオリティが異なる

ンボルギーニ テメラリオと296GTB
Life in the FAST LANE.

なお、試乗時には当然ながら誓約書にサインする必要があって、そこには「事故などを起こしたら自費で対応する」といった感じの文言があり、「920馬力のスーパーカーを試乗して無事に帰ってこれるかな・・・」と心配したものの、まったく何事もなく無事に戻ってくることができてホッとしています(そして何も起きそうにないほど安定したクルマであった)。

やはり「1万回転まで回る」V8ツインターボは伊達ではない

そしてテメラリオについて触れておかねばならないのがV8ツインターボエンジンの存在で、これは市販車ではほぼ例を見ない(とくに量産車では)超高回転型パワーユニット。

そしてこの高回転型キャラクターが可能となったのは「ハイブリッド(エレクトリックモーター)」の存在であり、低回転をエレクトリックモーターに任せたからこそ「1万回転が可能になった」ものと思われます。

実際のところ、このエンジンが最大トルクを発生させるのは4,000〜7,000rpmであり、これは「ノンハイブリッド」だと考えられないような(高回転)領域です。

ランボルギーニ テメラリオのエンジンカバー
Life in the FAST LANE.

似たような例であれば、フェラーリSF90系、849テスタロッサがあり、これらに積まれるV8ツインターボはF8トリブートと同じF154系ではあるものの、最大トルクを発生する回転数が3,250rpmから6,000rpmへと引き上げられており、これもやはり「低回転・低速はエレクトリックモーターに任せ、ガソリンエンジンには本来の得意領域を担当させる」という考え方。※おまけにターボラグをも補完し解消してくれる

つまるところ、これらのハイブリッドスーパーカーは「エコのためにハイブリッドシステムをプラスした」のではなく、がソリエンジンのポテンシャルを解放するためにハイブリッド化したのだと捉えるべきであり、これは「なかなか世間に理解されない」ところかもしれません(多くの人はハイブリッドシステムを邪魔者扱いするが、実はそうではない)。

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ただ、ちょっと残念なのは、テメラリオの室内での静粛性が高いこと、そして欧州を中心に導入されている騒音規制によって「運転していると、よほどエンジン回転数を上げない限り」その雄叫びを堪能できないことですが、これは「やむをえない」そして「トレードオフ」と割り切る必要があり、しかしこれについても心強い電子制御「ドライブモード」が解決してくれ、「CORSA」に入れることで十分に対応可能だとも考えています。

ランボルギーニ テメラリオのメーター
Life in the FAST LANE.

「アレッジェリータ・パッケージ」の価値はある?

今回は幸いにもテメラリオの「通常モデル」「アレッジェリータ・パッケージ装着車」の2台を乗り比べることができたわけですが、その性格にはけっこう大きな相違があり、ぼくとしては「たとえ高価でも(+700万円くらい)アレッジェリータ・パッケージを選びたい」。

その理由はやはり「入力に対する出力」が自分の感覚にフィットしているということにあり、そして高額なオプションであっても「売却時には大きくプラス評価されるだろうから」。

つまり支払った価格は「楽しさ」「売却時の評価」にて十分モトを取れるという判断ですが、このアレッジェリータ・パッケージは「たとえサーキットを走らなくても」その外観、あるいはちょっと乗るだけであっても「通常版との相違から来る満足感」を得られるところにその真価があるのかもしれません。

ランボルギーニ テメラリオのドアミラー(カーボンファイバー)
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