
| 日産エルグランドは実に「16年ぶり」のフルモデルチェンジである |
新型エルグランドの印象は「サイバーヤンキー」
さて、新型日産エルグランドを見てきたので、その印象につきお伝えしたいと思います。
2026年7月に発売された新型エルグランドは実に16年ぶりのフルモデルチェンジとなる日産のフラッグシップ・プレミアムミニバンで、「アルファード/ヴェルファイア一強」となっていた国内高級ミニバン市場へと日産が満を持して投入した戦略車であり、新世代e-POWERとe-4ORCEを組み合わせた走りを武器としていることが特徴です。
しかし実車を見てみると、その「走り」意外にも様々な見どころが存在し、ここでそのディティールとともにエルグランドのポジショニングなどを見てみましょう。

現在のミニバン市場
現在の国内高級ミニバン市場は以下の2車種が圧倒的なシェアを占めていて・・・。
- トヨタ アルファード
- トヨタ ヴェルファイア
2025年には両車合計で年間約10万台規模を販売しており、高級ミニバン市場では事実上の独占状態となっています。
その一方、
- エルグランド(旧型)
- ホンダ オデッセイ
は商品力の面で苦戦しており、新型エルグランドは以下の点を大幅に強化して「走りのプレミアムミニバン」という新しい価値を提案しているというわけですね。
- 高級感
- 電動化
- 走行性能
- 運転支援

新型 日産エルグランドはこんなクルマ
パワートレイン
エルグランドに積まれるパワートレインは全車共通で以下のスペックを持っており、よってグレード展開は基本的に「装備や見た目」の相違によって分けられます(今回画像にて紹介するのは「G e-4ORCE」)。
発電用エンジンは約140PS、駆動モーターはフロント205PS・リア136PS相当となり、発進加速や高速安定性を重視したセッティングとなっています。
- 第3世代 e-POWER
- 1.5L VCターボ発電用エンジン
- e-4ORCE(4WD)
- 2モーター式
- 燃費(WLTC):16.8km/L

ボディサイズとそのデザイン
| 項目 | サイズ |
|---|---|
| 全長 | 約5,000mm |
| 全幅 | 約1,920mm |
| 全高 | 約1,815mm |
| ホイールベース | 約3,000mm |
| 最低地上高 | 165mm |
特徴としては「アルファードよりややワイド」「存在感のあるスタイル」「低重心デザイン」という感じではありますが、アルファードとヴェルファイアを「モロに」ターゲットにしつつも明確に異なる路線を採用しており、たとえばエルグランドは「直線的」なディティールが目立ちます。

サイドのプレスラインも「直線」で・・・。

そしてドアハンドルも「(キーホイール周辺まで含めて)直線的」ですね。

ただしフロントの「押し出し」は明らかにアル / ヴェルを意識したものと思われ、しかしテクノロジーを感じさせるデザインに。
なお、日産はちょっと前に一連の「ハイパー」系コンセプトカーを発表しており、それ以降の市販車はそれらのデザイン原語を引き継いだ内外装を持っていて、このエルグランドもその例に漏れず・・・。

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とくにリヤの「ロングテール風」ルーフエンドにサイド部分がその象徴(ここだけ見るとスーパースポーツ系コンセプトカーのようでもある)。

そしてリヤバンパー下部もそうとうに尖っており、「絶対にここは当ててしまうだろうな」という印象。
室内空間を最大化すべく、ボディサイズ「ギリギリ」までをキャビンに充てているのはアル / ヴェル同様ですね。

そしてエルグランドは明らかに「ヤンキー」を狙ったであろう意匠が少なくはなく、「至極(シゴク)」というパープルっぽいボディカーラーがあって、このグレードにはフジドーンなるゴールドっぽいカラーを組み合わせた(マイバッハのような)2トーンが存在し、これはけっこう人気化するかもしれません。

さらには「VIP」なるドンズバのグレードも展開され、ドアカーテシーランプはそのまま「VIP」。

インテリア
そしてインテリアもやはり「狙った」であろう意匠が随所に見られ、内装カラーはなんと「パープルが中心」。

そしてカラー名も「紫檀(シタン)」や「銀雪(ギンセツ)」など、ある種の層に刺さるネーミングが採用されています。

パーフォレイト、ステッチ、パイピングなど様々な手法が「これでもか」と取り入れられ・・・。

「わかりやすい」高級感が演出されており(レザーの質感と光沢もちょっと”やらしい”感じのものが意図的に選ばれているようだ)、このあたりは「テック素材を用いてカジュアルなスニーカーを演出した」新型キックスとは異なっていて、つまり日産は新型エルグランドについて「一定のコストをかけて一定のターゲットに響くカラーやネーミング、素材、仕様」を盛り込んできたということになりますね。
企画会議にかなりの時間を費やしたであろうことが理解でき、このエルグランドは実際に「とんでもなく」細部まで練り込まれたクルマであるというわけですが、日産が「ターゲットによって」これだけ多彩な表現を行うことができるようになったということには驚かされ、やはり今後の日産には期待しかありません。
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そう考えるならば、この「セミグロス」仕上げの木目っぽいパネルはちょっとミスマッチかもしれず、ここはもっと「露骨な」テカテカ仕上げのバーズアイやマホガニーを持ってきたほうが良かったのかも。
なお、意外なことに「ピアノブラック」が使用されておらず、その理由は不明です。

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グレード構成
新型エルグランドは全車7人乗りとなっており、最上級VIPではショーファーカーに近い豪華装備を採用しています(駆動系やシートレイアウトを統一することでコストを大きく押し下げることに貢献しているのだと思われる)。
| グレード | 価格(税込) |
|---|---|
| X e-4ORCE | 689万7,000円 |
| G e-4ORCE | 757万9,000円 |
| AUTECH LINE | 717万9,700円 |
| AUTECH LINE G-SPEC | 778万4,700円 |
| AUTECH | 824万7,800円 |
| VIP | 869万8,800円 |

なお、エルグランドの「基本」はヤンキー向けであり、「ヤンキーっぽいのは嫌だ」という場合は必然的にオーテックラインを選ばねばならない、ということに(ブラックインテリアはオーテックラインでしか選べない)。
主な装備
新型エルグランドにつき、全車標準となるのはざっとこういった装備で・・・。
- 両側電動スライドドア
- e-4ORCE
- 12.3インチ液晶メーター
- プロパイロット
- 電動シート
- キャプテンシート

上級グレードではいかが標準またはオプションとして設定されることに。
- 14.3インチディスプレイ
- BOSEプレミアムサウンド
- 後席モニター
- ベンチレーションシート
- 1500Wコンセント
- プロパイロット2.0

新型日産エルグランドの「ライバル比較」
やはり新型エルグランドの「直接の」ライバルとなるとアルファードにヴェルファイアということになりそうですが、それらを上回るベース価格に設定したところに「日産の矜持」を見て取ることができ、果たして日産が「練りに練ったであろう」武器がターゲット(ヤンキー)に刺さるかどうかは非常に気になるところでもありますね。
| 車種 | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日産 エルグランド | 690〜870万円 | 走行性能・e-POWER |
| トヨタ自動車 アルファード | 510〜1,060万円前後 | ブランド力・リセール |
| ヴェルファイア | 670〜1,080万円前後 | スポーティな高級感 |
| 本田技研工業 オデッセイ | 480〜520万円前後 | 低床設計・価格競争力 |
| レクサス LM | 1,500万円超 | ショーファーカー |

エルグランドの強み
① e-POWERならではの静粛性
高速巡航ではエンジン介入が少なく、EVに近い滑らかな加速が特徴。
② e-4ORCE
前後モーターによる高い安定性は雪道や雨天、高速道路で特に効果を発揮する。
③ 運転支援
プロパイロット2.0による高速道路でのハンズオフ支援は、アルファードとの差別化要素となっている。

新型エルグランドの課題
一方で新型エルグランドにはいくつかの課題も存在し・・・。
- 価格は690万円からと高額
- 全車4WDのみで選択肢が少ない
- 全車7人乗りのみ
- アルファードほどのリセール実績はまだ未知数
価格だけを見るとアルファードより高く感じられるグレードもあり、そして現時点で日産が残価設定ローンで設定するのは「3年で60%」なので、ここもアル / ヴェルの「実際」よりも弱いところだと思います。

市場評価と販売見通し
発売直後は「16年ぶりの全面刷新」という話題性もあり好調な立ち上がりを見せていると報じられ(発売を待たずに仮オーダーを入れていたエルグランドファンも多いとのこと)、しかし一方でアルファード/ヴェルファイアの牙城を短期間で崩すのは容易ではなく、当面は「走行性能を重視するユーザー」や「日産ブランドのファン」を中心に販売を伸ばす展開が予想されます。
総評
新型エルグランドは、旧型から大きく進化したプレミアムミニバンであり、第3世代e-POWERとe-4ORCEを核とした「運転して楽しい高級ミニバン」という独自性が最大の魅力です。
一方で価格帯は690万~870万円とかなり高く、ブランド力やリセールで優位なアルファード/ヴェルファイアとの競争においては走行性能や先進技術をどれだけ訴求できるかが成功の鍵となり、それでも高級ミニバン市場における有力な、そして新たな「アル/ ヴェルに代わる」選択肢として注目される一台だと考えられ、その行方には「自動車業界」全体が固唾をのんで見守っているというところなのかもしれません。

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