
| かつては「不人気」とされたスポーツクーペがここへ来てまさかの「人気化」 |
世の中、何があるかわからない
かつては一世を風靡し、自動車メーカーの「看板」ともなりえたスポーツクーペ。
しかし時代の変化とともに電動化やSUVへのシフトが進み、数々のアイコン的なクーペモデルが静かに各自動車メーカーのラインナップから姿を消していったのがこの十数年間に起きた出来事です。
そして通常、生産終了となったモデルは時間の経過とともに陳腐化し、中古車市場での価値も下がっていくのが一般的で、しかし、現在のプレミアム・パフォーマンスクーペ市場では全く逆の現象が起きており、メーカーが生産を終了させた「2ドアクーペ」こそが中古車市場で最も価値を維持し、時にはプレミアム価格で取引される「投資的価値を持つ逸品」へと変貌を遂げている、という現象が発生しています。
この記事の要約
- 新車市場から姿を消したコンパクトクーペの中古車リセールバリューが異例の高水準を保持
- アウディTT RSやBMW M2は5年経過後も約67.8%の価値を維持し、ブランド内No.1の残価率を記録
- ピュアEVやSUVへのシフトが進む中、個性的な内燃機関(直列5気筒・直列6気筒)やマニュアル車の希少性が急上昇
- ポルシェ718ケイマンや911など、軽量・高出力な本格スポーツカー全般が値落ちしにくい「投資的価値」を獲得

アウディとBMWの残価率トップを独占する「絶版クーペ」たち
自動車市場調査会社「iSeeCars」が実施したリセールバリュー調査によると、アウディ車の中で最も値落ちしにくいモデルのトップ3は、すべて北米市場で販売終了となった「2ドアクーペ」。
アウディのフラッグシップSUVやセダンではなく、小型スポーツクーペが最も高い価値を維持しているという結果は、現代の中古車市場におけるユーザーの欲求を如実に表しています。
アウディ残価率トップ3(5年経過後の残価率)
- 1位:アウディ TT RS(残価率:67.8%)
- 2位:アウディ TT クーペ(残価率:67.5%)
- 3位:アウディ RS5 クーペ(残価率:67.4%)

一般的な高級輸入車が5年で新車価格の半分以下まで下落することも珍しくない中、約3分の2(67%以上)の価値を保ち続けているのは驚異的な数字であり、アウディは2022年にTT RSの米国向け販売を終了し、続いてTTクーペやRS5クーペも撤退させましたが、市場の需要は衰えるどころか高まり続けているのが現在地。
そしてアウディが「売れないから」として生産を終了させたクルマたちが上位を占めているのはなんとも皮肉な話ではありますが、これはある意味で「ないものねだり」をよく表している事象かもしれません(価格帯を考慮すると、コレクターではなく「実際に自分で運転する」層が購入しているのだと考えられる)。
いま市場では何が起きているのか
この現象はアウディだけに留まらず、ライバルであるBMWにおいても、ブランド内で最もリセールバリューが高いモデルは最小のMモデル「M2」(5年残価率 67.8%)であり、M4クーペ(64.5%)、2シリーズ クーペ(63.6%)と続いていて・・・。

代表的パフォーマンスクーペのスペック比較
そこで市場で絶大な価値を誇る代表的な2モデル、「アウディ TT RS」と「BMW M2」のスペックを比較してみましょう。
| 項目 | アウディ TT RS(最終型) | BMW M2(現行型) |
| エンジン | 2.5L 直列5気筒 ターボ | 3.0L 直列6気筒 ツインターボ |
| 最高出力 | 394 hp (約399 PS) | 473 hp (約480 PS) |
| 最大トルク | 354 lb-ft (約480 Nm) | 406 lb-ft〜 (約550 Nm〜) |
| トランスミッション | 7速DCT | 6速MT / 8速AT |
| 駆動方式 | クワトロ(4WD) | FR(後輪駆動) |
| 0-60mph(約96km/h)加速 | 3.6秒 | 3.9秒(8AT) / 4.1秒(6MT) |
| 5年経過後 残価率 | 67.8% | 67.8% |
目を閉じてもわかる「独自の官能性」とパッケージング
アウディ TT RSがコレクターズアイテム化した最大の理由はその独特な2.5L 直列5気筒ターボエンジンにあり、「1-2-4-5-3」という点火順序が奏でる独特の排気音は、姿が見える前に「TT RSが来た」と分かるほどの存在感を放つスポーツカー。
さらに、初代モデル(米国向け2011-2013年型)に設定された6速MTモデルや、最終記念車「Heritage Edition」(限定50台)などは、新車価格を上回るプレミア価格で取引されるケースも増えています。

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ポルシェ911、718ケイマンは「もっとも値落ちしにくい」スポーツカー
そしてポルシェのスポーツモデルにおいてもこの傾向が当てはまっており、同じくiSeeCarsの調査だと、もっとも値落ちしないクルマはポルシェ911だとされ、新車購入から5年後の価格維持率は80.5%、718ケイマンだと78.2%となっており、非常に高いリセールを誇ります。※TT RS、M2と比較しても圧倒的である
なお、718ボクスターは70.4%の残価維持率なので「同じ718でも」ケイマンより低く、これは中古車市場の「オープンモデルのほうが価格を維持しやすい」というセオリーとはまた異なるもの。
そしてこの理由としては「よりハードコアなスポーツカーを求める傾向が強い」からだと考えられ、市場全体がより「本格派」志向へとむかいつつあることがわかりますね。

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最新の統計では「スポーツカーの価値が最も下がりにくく」ポルシェ911や718ケイマンが価値残存率上位に。ちょっと前では考えられない様相である
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スポーツカー全体が値落ちしにくい時代へ:EVとの明暗
こういった特定モデルのみではなく、クーペやスポーツカー全般に関するリセールバリューの高さは市場全体のデータからも裏付けられていて、やはりiSeeCarsが約95万台の中古車データを分析したところ、全車種の平均5年後残価率58.2%であるのに対し、スポーツカーカテゴリーは群を抜いて低い下落率を記録していることが判明し、一例を挙げると以下の通り。
スポーツカー・人気モデルの5年後残価率
- シボレー コルベット:81.3%
- シボレー・カマロ:80%
- フォード マスタング:70.8%
- スバル BRZ / マツダ ロードスター / GRスープラ:いずれも市場平均を大幅に上回る高残価率を記録
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「スポーツカーは値が落ちる」は昔の話?5年経っても「値落ちしない」最強のスポーツカーTOP10。ポルシェは不動の1位、スープラやロードスター、BRZは?
| ちょっと前だと「スポーツカーは値が下がる」というのが常識ではあったが 自動車は「負の資産」か?それとも「賢い投資」か? 「新車を買った瞬間に価値が3割落ちる」といわれる自動車市場。 しかし一部の熱 ...
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EV(電気自動車)と高級大型セダンの厳しい現実
対照的な動きを見せているのが、急速に普及が進んだEV(電気自動車)やハイエンドセグメントの大型ラグジュアリーセダンであり、EV全体における5年間の平均値下がり率は57.2%にも達して新車価格の半分以下に急落し、例えば、ハイテク装備を満載した高級EVセダンである「BMW i7」の場合、5年後の想定残価率はわずか26.4%(73.6%の下落)にとどまると予測されています。

テクノロジーの進化が早いEVや大型セダンは「数年で型落ち」になりやすい一方、機械的な魅力やサウンド、操縦フィールが魅力のコンパクトクーペは「二度と作られない希少品」として価値が上がっていくという、明確な二極化が起きているというわけですね。
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結論:なぜ今「絶版クーペ」が投資価値を持つのか
アウディTT RS、ポルシェ718ケイマン、BMW M2をはじめとする絶滅クーペたちが中古車市場で価値を高めている理由は単に「(限定というわけではなく、新車時にそれほど売れなかったことに起因して)中古市場でのタマ数が少ないから」だけではなく・・・。
- 音と感覚で記憶に残るフィーリング(直5ターボや直6NA/ターボ、ミドシップなど)
- 軽量かつコンパクトな2ドアボディ
- 時代に流されないアイコン的なスタイリング
これらが揃ったモデルは、新車カタログから消えた瞬間から「二度と手に入らない現代のクラシックカー」へと昇華することとなり、実際のところアウディは現在もRS3セダンに直列5気筒エンジンを搭載し続けていますが、2ドアクーペという特別なスタイルとパッケージングは失われてしまい、じき5気筒も「失われてしまう」存在です。
こういった状況、そして効率性や電動化が求められる現代において、自分の感性を揺さぶる「純粋な走り」を求めた結果、多くのカーマニアやコレクターがこれら絶版クーペへと辿り着いているというのが今現在で、もし状態の良い絶版スポーツクーペの購入を検討しているならば、今が手に入れる最後のチャンスなのかもしれません。

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参照:iSeeCars, CARBUZZ











