テスラの中古相場は「（値落ちで有名な）マセラティの3倍、アルファロメオの2倍」も下がる。さらには車種別値落ち率トップ10のうち7台がEVにて占められる

｜　EVのリセールの悪さもまたEV市場成長の妨げになるのは間違いない　｜

さらに中古市場に格安EVが溢れているとなると「新車でEVを買おうという人」が減りそうだ

さて、一時は「時代の寵児」となったものの、様々な状況がすべて悪い方へと動き始め、運命の歯車が逆転しだしたかのようにも思えるテスラ。

そして直近の調査だと、テスラのクルマは（値落ちの激しさで知られる）アルファロメオの2倍、マセラティの3倍の速さで価格が下がっていることが明らかになっています。

なお、調査では「テスラの”直販””値引きなし””販売価格のフレキシブルな変動”」がこれに大きく関係していると結論づけており、ここでその内容を見てみましょう。

テスラのクルマの販売方法は独特である

まず知っておくべきはテスラ車の販売方法で、これは通常の自動車メーカーが採用する「メーカーからディーラーへとクルマを卸し、ディーラーが独自の価格設定にてクルマを販売する」というスタイルではなく、「メーカー（テスラ）が直接顧客に販売する”直販”方法を採用している」ということ。

つまりテスラは卸先としてのディーラーを持たず、すべて自社にて直接販売しており、かつその注文は「オンラインのみ」。

ショールームとしてのテスラディーラーのようなもの（テスラではストア、もしくはギャラリーと呼んでいる）は存在するものの、実際の注文はオンラインでユーザーが直接行うこととなり、そしてこの際には「画面に表示された価格そのまま」で注文するわけですが、つまりは「値引き交渉など一切なしのワンプライス」。

ただ、テスラは市場の需要や様々な要因を考慮して車両の価格を頻繁に「上げ下げ」しており、ここもまた他の自動車メーカーとは大きく異なる方式です（一般に、自動車メーカーは希望小売価格を定め、その価格は何らかの改良が行われた際に変更するくらいであり、市場動向に合わせた販売価格変更はディーラー側で行う）。

そして今回指摘されているのが「テスラが価格を上げ下げすることが悪い方向に動いている」ということで、従来の自動車メーカーだと、そのクルマが不人気であって（ディーラー側が）安売りしたとしても、一般の人の目に触れるのは「希望小売価格」であり、そのクルマが「いくらで投げ売りされている」ということはわからないのですが、テスラの場合は価格を引き下げるとそれが誰でも閲覧できるところに出てきてしまうため、「安く売られている」という印象が（ネット上のニュースに乗って）世間に知れ渡ってしまうことに。

このイメージが先行して「テスラのクルマはどんどん価格が下がってゆく」「また値下げされたんだってよ」という印象が人々の間に蔓延してしまい、これによってテスラの中古車も価格を下げざるを得なくなる、という実情があるようです（現実的な販売価格の引き下げがあれば、中古車の相場が下がるのは当然であるが、テスラの場合は実際に引き下げた価格以上に中古価格が下がるようだ）。

そして直近の調査だと、テスラの中古車は平均して1年間に28.9％も価格が下がり、その次に下がるのはアルファロメオ（13.3％）、そしてマセラティ（9％）。

業界平均値は3.6％、そしてもっとも下がらないのは日産の1.1％（ちょっと意外）、面白いのはポルシェの中古車価格が逆に値上がりしていて（0.1％プラス）、GMCとシボレーもこれに（それぞれ0.2％プラス）続いていること。※値上がりしているのはこの3ブランドのみである

やはりEVの中古価格は「下がりやすい」

ただ、公平を期すために言うならば、テスラだけではなく「EV全般」の値下がりが大きく、たとえば「2023年から2024年にかけ、もっとも大きく値下がりしたクルマ」トップ10のうち7台がEVであり、これを見るとテスラ車の値下がりは「たんにテスラが販売価格を大っぴらに上げ下げすること」のみが原因というわけではなさそうですね。

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参照：Jalopnik