
| もともとカスタムを行ったカーレックスは「どのような車種も手掛けていたが」 |
いまではほぼメルセデス・ベンツGクラス「専門」に
メルセデス・ベンツ Gクラス(ゲレンデヴァーゲン)といえば、世界中のセレブリティやクルマ好きを魅了し続けるラグジュアリーSUVの代名詞。
しかし、今回ポーランドの最高峰カスタムハウス「Carlex Design(カーレックス・デザイン)」が発表したワンオフモデルは、これまでのチューニングカーの常識を遥かに超越するもので、そのカスタム費用はなんと300万ユーロ(約350万ドル / 日本円で約5億6,000万円)。
その最大の見所は「屋根(ルーフ)」に隠されており、ここでその詳細を見てみましょう。
この記事の要約3点
- ルーフ制作だけで3,000時間以上:アルミ板から手作業で成形し、馬の絵柄と繊細な彫刻・ハンドペイント(金・銀・黒)を施した移動する芸術作品
- ビスポークを極めた圧巻のインテリア:マルーンカラー(栗色/深紅)の上質なレザーとアルカンターラで全面張り替え、職人によるハンドエングレービング(手彫り加工)を随所に配置
- 富豪が集うアブダビで初公開:中東・アブダビで開催される国際狩猟・乗馬展示会(Hunting and Equestrian Exhibition)にてお披露目予定
ルーフ(屋根)に注ぎ込まれた「3,000時間」の狂気
Carlex Designといえば、フェラーリやマクラーレン、日産(R35)GT-R、ランドローバー・ディフェンダーなど様々なクルマの内外装を手掛けるチューナーとして知られていたものの、この数年はメルセデス・ベンツGクラスしか手掛けておらず、そしてそのカスタムの内容も「異次元レベル」に。
つまるところ、「他のクルマを手掛けている時間などない」ほどメルセデス・ベンツ Gクラスに対する、しかも高度なパーソナライズの要望があるのだと見え、マンソリーやブラバスが次々と新作を発表するのにも「納得」といった感じです。
ただ、カーレックスは以前より「派手なエアロや巨大ホイールを装着したり、カーボンファイバーを多用する」のではなく、中世ヨーロッパの甲冑のような、「重々しい金属調の」カスタムを得意としており、ここが他社との「差別化要素」ということに。
実際のところ、彼らの真骨頂は、熟練の職人による「手彫り(エングレービング)」や「ハンドペイント」によって、自動車を「走る美術品」へと昇華させる点にあり、今回のプロジェクト「G-Stallion(スタリオン=種牡馬)」はその名の通り、最も情熱が注がれたのは「種牡馬が再現された」ルーフ部分です。
伝統工芸の手法で作り上げられたルーフ
- 手作業によるアルミの叩き出し:1枚の平らなアルミニウム板から伝統的な金属加工工具と木型(ウッドバック)を用いて職人が手作業で成形。
- 緻密なハンドペイントと金箔アクセント:完璧な形状に仕上げた後、ブラックとシルバーをベースとしゴールドのアクセントを効かせたペイントを実施。
- 中央に描かれた「躍動する馬」:複雑で美しいパターンに囲まれるように巨大で雄大な馬のイラストが繊細に描かれている。
あまりに贅沢なデザインではありますが、ルーフ上部にあるため「オーナーが自宅ガレージの2階から見下ろさない限り、全貌を眺めることができない」という、なんとも世俗を超越したロマンが詰まっているというわけですね。
車両概要・エクステリア&インテリアの特徴
ルーフだけでなく、ボディ全体およびキャビン(室内)にも妥協なき仕立てが施されています。
エクステリア:迫力のワイドボディとカスタムペイント
- 専用ワイドボディキット:大幅に張り出したオーバーフェンダー、新設計のフロント&リアファシア(バンパー周り)を装着
- 独自のピンストライプ&ブランディング:ボディ全体に繊細なピンストライプとCarlexのカスタムブランディングが施され、一目で特別な個体であることを判別可能
インテリア:贅を極めたマルーンレザーとリアルメタル
- オールマルーンの豪華内装:シート、ドアパネル、ダッシュボード、ステアリングホイール、センターコンソールに至るまで、深みのあるマルーン(栗色)の上質なレザーで覆われる
- アルカンターラと手彫り金属のコントラスト:テールゲート裏側に至るまで触り心地の良いアルカンターラを採用。各所に配置された金属パーツやバックルには熟練職人によるハンドエングレービングが施されている

「G-Stallion」スペック・ハイライト
| 項目 | スペック・詳細 |
| ベース車両 | メルセデス・ベンツ Gクラス(W463A世代) |
| 車両名 | Carlex Design G-Stallion(Gスタリオン) |
| 生産台数 | 世界限定 1台(ワンオフモデル) |
| 車両価格 | 300万ユーロ(約350万ドル / 約5億6,000万円) |
| ルーフ制作時間 | 3,000時間以上(手作業による成形・彫刻・ペイント) |
| ルーフデザイン | 馬モチーフのハンドペイント、金箔・銀箔風パターン |
| 内装仕様 | フルマルーンレザー、アルカンターラ、ハンドエングレービング金属パーツ |
| 外装仕様 | ワイドボディキット、専用前後ファシア、カスタムピンストライプ |
競合比較とハイエンド・カスタム市場での位置付け
現代の自動車業界において、5億6,000万円という価格はパガーニやブガッティ、あるいはクラシックカーのオークション落札価格に匹敵し、では、なぜ現行モデル、かつSUVであるGクラスにここまでの価値が付くのか、それは・・・。
理由1:「パフォーマンス」から「アート(芸術性)」へのシフト
Mansory(マンソリー)やBrabus(ブラバス)といった既存のGクラスチューナーは馬力の向上(800馬力〜900馬力オーバー)やカーボンパーツの多用で差別化を図ってきましたが、一方でCarlex Designはエンジンの出力競争ではなく「伝統工芸や美術品としての価値」に振り切っており、3,000時間という途方もない人件費と職人技そのものが、この価格の裏付けとなっています。
そして「機能や性能にこだわれば」それはすぐに上書きされてしまうものの、「芸術性」という数値では測れない価値観は”永遠に色褪せるものではない”というわけですね。

理由2:アブダビというターゲット市場の選定
今回の「G-Stallion」が初公開される場として選ばれたのは、アブダビで開催される「国際狩猟・乗馬展示会(ADIHEX)」。
中東のアラブ首長国連邦(UAE)では、鷹狩りや乗馬は王族・富豪層の象徴的な嗜みで、さらにGクラスは砂漠から都市部まで絶大な人気を誇るフリートでもあり、「馬」をモチーフにしたデザインと最高級の仕立ては、中東のハイエンドコレクターの刺さるポイントを完璧に計算し尽くしたものと言えます。※過去にはやはり、中東で人気に高い「鷹」をモチーフとした”G-FALCON”をリリースしたこともある
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結論:5.6億円の価値は「移動する美術館」を買うことにあり
300万ユーロという価格設定に対して「高すぎる」と感じるか、「唯一無二のアート作品」として捉えるかは人それぞれです。
しかし、自動車が単なる移動手段から、所有者のステータスや美学を表現するキャンバスへと進化を遂げた現在、Carlex Designの「G-Stallion」はその頂点に位置する1台であるとも考えることも可能です。
アブダビの地でこのクルマ、つまりルーフの上に刻まれた3,000時間のドラマと職人の情熱を手にする幸運なオーナーは一体どんな人物なのかが気になりますが、超高級カスタムカーの世界が「ぼくらの想像もつかない領域へ」と進化を続けていることにも驚かされます。
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参照:Carlex











