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ブガッティ・リマックCEOが「簡単な対中国車戦略」を提示。「なんのことはない。中国車っぽい巨大画面をやめて戦う土俵を変えればいいんです」

ブガッティ トゥールビヨンのインテリア
Life in the FAST LANE.

| ブガッティ・リマックCEOが提言する欧州自動車メーカーの対中国戦略とは |

たしかに「中国で受けようとする」と中国車にはとうてい敵わない

急速な電動化とデジタル化の波のなかで、中国の自動車メーカーが圧倒的なコストパフォーマンスと先進的な車内テクノロジーを武器として世界市場での存在感を急速に高めているというのがいま現在。

これに対し、厳しい戦いを強いられているのが伝統ある欧州の既存自動車メーカーです。

多くのメーカーが高額なコンサルティング費用を投じて打開策を模索するなか、ハイパーカー界のビジョナリー(先見の明を持つ経営者)として知られるブガッティ・リマックCEOのメイト・リマック(Mate Rimac)氏が、自身のInstagram投稿で極めて明確なアドバイスを投げかけた、というのが今回のニュース。

ここでは彼が語った「中国車との戦い方」における問題意識、そして欧州車が本来目指すべき独自の価値づくりについて考えてみましょう。

中国車(ファーウェイ)
Life in the FAST LANE.

この記事の要約

  • ブガッティ・リマックのメイト・リマックCEOが、中国勢の台頭に苦しむ欧州自動車メーカーへ向けてSNSで提言を行う
  • 「大型ディスプレイや物理ボタンの削除、充電速度などで中国車と同じ土俵で戦うべきではない」と警告
  • 本物のレザーやクラフトマンシップ、排他性(特別感)を重視し、高利益率を誇るスイス時計産業のビジネスモデルに学ぶべきだと主張
  • 量販ブランドへの直接適用には課題もあるものの、安易な模倣からの脱却と伝統的な強みの再評価を促す提案として注目されている

メイト・リマック氏が提唱する欧州自動車産業の脱・中国模倣戦略

メイト・リマック氏は、クロアチア発のEVハイパーカーブランド「リマック・テクノロジーズ」の創業者であり、現在は仏名門ブガッティと統合した「ブガッティ・リマック」のトップを務める人物です。

同氏は自身のInstagramに投稿した動画のなかで、膨大な資金をコンサルタントに支払う欧州メーカーの現状を指摘した上で、「彼らの真似をして同じ土俵で戦うことだけは絶対にしてはならない」と強く訴えかけ、これが大きな注目を浴びているわけですね。

中国メーカーが圧倒的なスピードとコストで強みを発揮している領域(超大型ディスプレイの搭載、物理ボタンの徹底的な削減、急速充電性能の過酷なスペック競争など)で追いかけっこをしても、欧州メーカーに勝ち目はないという厳しい現実を示した形であり、たしかにこれは「完全なる正論」かもしれません。※そして同氏の発言は、欧州の自動車メーカーが「すでに中国車を追いかける立場、模倣する立場となったことを表している

本物の素材と「スイス時計産業」に学ぶ差別化手法

リマック氏が提案するのは、現代のテクノロジー競争に走るのではなく、クラシックなロールス・ロイスに見られるような「本物の素材と質感(リアル・マテリアル)」への回帰であり・・・。

項目中国メーカーが得意とするアプローチリマック氏が推奨する欧州車の方向性
車内インターフェース巨大液晶画面・物理ボタンの排除本物のレザー、削り出し金属、触感の豊かな操作部
競争の軸充電スピード・車載ソフトウェア・価格競争圧倒的なクラフトマンシップ・伝統・排他性(エクスクルーシビティ)
ビジネスモデル薄利多売・大量生産でのシェア獲得高付加価値・高利益率の限定的生産(スイス時計モデル)
ブガッティ トゥールビヨンのセンターコンソール
Life in the FAST LANE.

同氏はその例えとしてスイスの高級時計産業を挙げることに。

「スイスの時計産業は、世界で生産される腕時計の数量ベースではわずか5%程度に過ぎません。しかし、業界全体の利益の90%以上を稼ぎ出しています。『すべての人に向けたクルマ』で競うのではなく、圧倒的な価値と排他性を追求することこそが利益の源泉になるのです」

ブガッティ リマックCEO メイト・リマック

実際、彼が手掛けた最新ハイパーカー「ブガッティ トゥールビヨン(Tourbillon)」では、ダッシュボードの中央に巨大な液晶画面を設置する代わりとして「スイスの時計職人が手作業で組み上げた、チタンやサファイアガラス製のパーツを持つアナログメーター」を採用しており、自らの哲学を製品で直接体現しているという現実も。

ブガッティ・トゥールビヨンのメーター
Life in the FAST LANE.

競合比較と市場における現実的な課題

リマック氏の主張は、伝統的な高級車ブランドやハイパーカーメーカーにとっては非常に示唆に富むものではありますが・・・。

  • スーパーカー・ラグジュアリーブランド(フェラーリ、ポルシェなど):フェラーリのようにブランド価値と排他性を極限まで高め、高い利益率を維持する戦略はリマック氏の考えと完全に一致。過剰なデジタル化よりも、エンジン音や走りの質感、仕立ての良さを求める顧客層に対して絶大な効力を持つことに
  • 大衆向け量販メーカー(フォルクスワーゲン、ステランティスなど):一方で全ラインナップをスイス時計のような高価格・高利益率モデルに切り替えることは「絶対に不可能」。大量生産を前提とする大衆車ブランドにおいては、コスト競争力やバッテリー性能、ソフトウェアの利便性も無視できない要素である
中国車のインテリア(ダッシュボード)
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しかし、大衆車メーカーであっても「他社の真似をしてデジタル画面を大きくするだけ」の製品づくりでは、コストパフォーマンスで勝る中国勢に勝つことはできず、「中国車の劣化、かつ高価なコピー」となってしまい、まったく(とくに中国の人々にとっては)買う理由を見いだせないクルマとなる可能性も。

自社の歴史やデザインのアイデンティティをどこに残すかという視点は、すべての欧州メーカーにとって共通の課題といえ、そして一部の自動車メーカーは「自社のヘリテージ」を活用し、中国社にはない「歴史」「ストーリー」を全面に押し出す傾向も見られるようになり(シトロエン 2CVはその最新の例)、これはら「その手法は異なれど」メイト・リマック氏の主張する理論に合致するものではないか、とも考えています。※新型2CVだと、初代2CVの開発時のコンセプト「農道を走っても、積んでいる卵が割れない」という乗り心地の良さを視覚的に示すべく、「卵」をティーザー画像に用いている

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画面肥大化への反発と「触覚」の再評価という気付き

近年、多くの自動車ユーザーや自動車メディアからも「カーナビやエアコン操作までタッチパネルに集約され、運転中の操作性が損なわれている」という不満の声が上がっていたのもまた事実。

今回のリマック氏の発言は、そうしたユーザーの潜在的なストレスを代弁する形となり、自動車業界全体で大きな共感と議論を呼んでいるというわけですが、こういった背景もあり、単に「新しいテクノロジー=優れたクルマ」という時代は終わりを告げつつあるのがいま現在。

技術で先行する競合と同じ機能を後追いして追いかけるのではなく、「自社にしか提供できない独自の価値や歴史、触感(フィール)」を再発見することこそが激化するグローバル市場で生き残るための最大の武器となる、ということが認知されつつあることも直近の自動車業界の一つの傾向であり、例を上げるならば、ポルシェは「ポルシェにしかない」モータースポーツの歴史を武器として中国勢と戦う方向性へとシフトしています。

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結論

欧州自動車産業が直面する「中国問題」に対し、メイト・リマック氏が提示した処方箋は「自らのルーツと本質への回帰」ともいうべきもの。

デジタル画面の大きさやスペック競争に終始するのではなく、触れるたびに高揚感を覚える本物の素材感、そして所有すること自体の誇りを提供すること。

すべての自動車メーカーがハイパーカーを作れるわけではありませんが、「安易な模倣を捨て、自らの強みで勝負する」という彼の教訓は、今後の自動車開発において非常に重い意味を持つことになりそうです。

ファーウェイの展開する中国製EVのインテリア
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参照:CARBUZZ

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