
メルセデス・ベンツはかねてより「外部に対する意思表示」を重視
表示したい情報を「どうやって選ぶのか」には興味が尽きない
自動車の発明から140年の歴史を誇るメルセデス・ベンツ。
今回また一つ未来のモビリティ像を現実のものとしようとしており、同社は2026年11月、研究開発の最前線から「次世代のディスプレイ技術とEV向け高電圧技術」の発表を行うことに。
「Welcome home(我が家のような安心感)」を掲げる同社が提案する、安全性を高める車外コミュニケーション機能、そしてEVの効率を劇的に高める新パワーコンバーターの先進性について見てみることとしましょう。
この記事の要約
- メルセデス・ベンツが、車外コミュニケーションを可能にする「インテリジェント・ディスプレイ・イン・グラス」やフロントガラスを活用する「ホログラフィック・ディスプレイ」などの革新技術を発表
- ウィンドウガラスにMini/Micro LEDを直接ラミネート加工し、通常時はほぼ無色透明でありながら、必要な時だけ後続車への警告やナビ情報を表示
- EV向け新技術としては、バッテリーセル単位で高電圧(最大800V)を自在に制御・出力し、AC/DC変換やV2H/V2Gにも対応する「パワーコンバーター」技術を提示
Image:Mercedes-Benz
メルセデス・ベンツが目指す次世代技術の概要
今回発表されたイノベーションは大きく分けて「ウィンドウガラスを活用したディスプレイ技術」と「800V対応の次世代パワーコンバーター」の2点です。
従来の車両では単なる遮音・保護用の透明な部材であったガラス面を「周囲や搭乗者と対話するためのインターフェースへと置き換え」る試みが進められており、また、EVパワートレインの心臓部においては「ソフトウェア制御による電力変換アプローチ」を採用することで”より柔軟な設計”を可能としています。
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この「ガラス面をコミュニケーション手段として」という手法は非常に興味深いものではありますが、表示内容を選択することに気を取られてしまって事故を起こしたり、情報が誤解されたりといった懸念も考えられ、すでに一部が導入されていた中国では「むしろ禁止」の動きが広がっているという情報も(中国の場合は前後ランプ内に情報を表示する)。
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先進技術のスペックと詳細メカニズム
今回公開された主要技術のスペックと仕組みは以下の通りとなっていて・・・。
| 技術名称 | 搭載部位・技術仕様 | 主な機能・特徴 |
| Intelligent Display in Glass | ガラス合板内にMini LED / Micro LEDを組み込み | 通常時はほぼ透明。必要時にリアガラス等へブレーキ警告や交通情報を表示し、後続車へ安全伝達 |
| Holographic Display | ダッシュボードのプロジェクター+フロントガラスのHOE(ホログラフィック光学素子)フィルム | 日光下でも鮮明。特定の視野角からのみ視認可能なため、運転席・助手席で異なるコンテンツ表示が可能 |
| Power Converter | セルレベルでプログラム可能なマイクロコンバーター(最大3kW出力 / 800V対応) | セルの劣化や充電状態に左右されず定常高電圧を出力。AC/DC変換やV2H/V2G(双方向充電)を統合 |
「Intelligent Display in Glass」だと、「大面積のリアウィンドウにはMini LED、高解像度が求められるエリアにはMicro LED」を採用することにより、非表示時にはデザインを損なわない完全な透明感を実現しています。
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また、「Holographic Display」ではプロジェクターの光を特殊フィルムで高効率に反射させる構造によって直射日光下でもクリアな表示を可能としているといい、運転席からは見えず助手席からのみ映像が見えるといった制御も可能なため、エンターテインメントの可能性拡張ついても言及されることに。
他社技術との比較・市場における位置づけ
車外に向けたLEDコミュニケーションに関しては、過去にもコンセプトカーなどで一部試みられてきたという歴史がありますが、メルセデス・ベンツのアプローチは「ガラス自体に素子を埋め込み、非表示時は完全に存在を消す」という意匠面と視界確保を徹底している点が特徴です。
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さらに注目すべきは「Power Converter」で、従来のEVでは、高電圧バッテリパック全体を直列に繋ぎ、巨大なインバータやオンボードチャージャーを個別に配置する必要があったものの、メルセデス・ベンツの新技術は個別のバッテリーセル群ごとにプログラム可能なマイクロコンバーターを分散配置し、ソフトウェア制御によって一定の800V高電圧を生成することに。
これによりバッテリーセルの経年劣化による出力低下の影響を受けにくくなるほか、重く場所をとるパワーエレクトロニクス部品を1つのモジュールへ統合できるため、EVやPHEVの軽量化・航続距離延長に大きく貢献する、と説明されています。
Image:Mercedes-Benz
今後の展望
メルセデス・ベンツの開発担当副社長であるアイダ・ウルフ(Ida Wolf)氏によれば、「モビリティの未来は口約束ではなく、精密で実証されたエンジニアリングによって作られる」。
これらの技術が単なる見せ球ではなく、実生活における利便性の向上を目的として作られていることを強調していて、これまで「情報を表示する画面」は車内の液晶パネルに限られていたところ、ガラス全面が情報ディスプレイと化すことにより、将来の自動運転時代における車外歩行者や後続車とのコミュニケーションが大きく様変わりすることになるのかもしれません。
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結論
メルセデス・ベンツが提示した「窓ガラスのディスプレイ化」と「セル制御型800Vパワーコンバーター」は、安全性の向上とEV駆動システムの高効率化という”現代の自動車開発における最重要課題”に対するスマートな解答ともいえるもの。
実用化へ向けたアプローチを着々と進める同社の技術が今後の市販モデルにどのように落とし込まれていくのか、大いに期待が高まろうというものですね。
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