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メルセデス・ベンツの新技術が「リアブレーキを車からなくす」?ブレーキ兼用超小型モーターが自動車の常識を覆す

メルセデス・ベンツの新技術が「リアブレーキを車からなくす」?ブレーキ兼用超小型モーターが自動車の常識を覆す

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| 同社傘下にあるYASAが画期的な技術を開発 |

この記事のハイライト:YASAのモーターがブレーキシステムをどう変える?

  • 衝撃の提案: メルセデス・ベンツ傘下にあるYASAは、リアのフリクションブレーキ(摩擦ブレーキ)を完全に排除できる可能性を示唆
  • 技術の核: YASAが開発するのは「アキシャル・フラックス・モーター(Axial-Flux Motor)」と呼ばれる超薄型・高出力モーター
  • 圧倒的なスペック: 新型モーターはホイール内に収まり、わずか12.7kgながら最高1,006馬力、連続536馬力を出力
  • 軽量化効果: モーターと関連部品の排除により、既存車で最大200kg、新設計車では450kg以上の大幅な軽量化を実現
  • 環境と性能の両立: ブレーキダストによる環境汚染の低減や、オフロード車におけるサスペンション設計の自由度向上など、多大なメリットを提供
【驚異の出力密度】重量わずか13kg、出力738馬力の次世代EVモーターが登場。開発元はメルセデス・ベンツが買収した「Yasa」
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EVの「回生ブレーキ」が摩擦ブレーキを不要にする時代へ

電気自動車(EV)が持つ最大の利点の一つは、モーターが駆動だけでなく、クルマを減速させる「回生ブレーキ」としても機能し、同時に電力を回収できる点。

これにより、従来のフリクションブレーキ(ディスクブレーキなど)の使用頻度は激減し、「ワンペダルドライブ」といった運転スタイルも可能となっています。

しかし、安全基準や急制動への対応から、フリクションブレーキが完全に排除されることはなく、しかしこの常識を打ち破ろうとしているのが、メルセデス・ベンツの子会社である英国のモーター技術企業YASA。

YASAが開発する次世代モーター技術は、従来のブレーキシステムを劇的に小型化、あるいは後輪ブレーキを完全に不要にする可能性を秘めています。

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Image:Mercedes-Benz

アキシャル・フラックス・モーターの衝撃的な性能

YASAとは?フェラーリも採用する超高性能モーターの雄

YASA(ヤーサ)は、一般的なEVで使われるドラム型(ラジアル・フラックス)モーターとは異なる「アキシャル・フラックス・モーター」を専門に開発するメーカーで、その製品はフェラーリやランボルギーニにも採用されるほどの革新的性を持っています。

ここではその技術の仕組み、そしてそれが自動車設計、環境、そして自動車の運転にもたらす未来について見てみましょう。

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モーターの種類形状特徴採用例
ラジアル・フラックスドラム型(円筒形)多くの量産EVで採用。-
アキシャル・フラックスパンケーキ型(薄型)圧倒的な小型・軽量化高出力密度を実現。ケーニグセグ、フェラーリSF90/296 GTB、ランボルギーニ・レヴエルト/テメラリオ

YASAは2021年にメルセデス・ベンツの傘下に入り、すでにAMG GT XXコンセプトなどの開発に貢献していることでも知られていますが、エレクトリックモーターのパワー密度で世界記録を樹立するなど、その技術力は折り紙付きです。

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Image:Mercedes-Benz

ホイール内に収まる「モーター・イン・ハブ」技術

YASAが現在LinkedInで公開した最新開発は、このアキシャル・フラックス技術をさらに進化させ、ホイールハブ内に収まる超小型モーター。

この超小型・超高出力モーターの最大の特徴は、その強力な回生(減速)能力に集約され、YASAの創業者兼CTOであるティム・ウールマー氏は、これらのモーターの回生能力は、熱耐性も十分にあり、「劇的なブレーキハードウェアの小型化、あるいは一部のブレーキハードウェアの排除」を可能にすると主張しています。

YASA新型ハブモーターのスペック(1基あたり)

項目数値特筆事項
重量12.7 kg(28ポンド)驚異的な軽量設計。
最高出力750 kW(1,006馬力)ピーク時。市販車向けとしては破格の出力。
連続出力349~399 kW(469~536馬力)連続的な高出力を確保。
インバーター重量7.5 kg(16.5ポンド)駆動に必要なインバーターも非常にコンパクト。

リアブレーキが消える可能性とそのメリット

車が減速する際、慣性により車体の荷重は前方に移動するため、制動の大部分(一般的に7割以上)はフロントブレーキに依存します。

YASAのモーターが後輪に搭載された場合、その強力な回生能力だけで(残る3割の)後輪の制動をほとんど賄えるようになり、結果としてリアのフリクションブレーキが完全に不要になる可能性があるわけですね。

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駆動系とブレーキシステムの軽量化効果

さらにはモーターの小型化とブレーキ、ドライブシャフトなどの部品削減により、以下の効果が期待でき・・・。

  • 既存車への搭載時: 最大で200kgの車体軽量化
  • 専用設計車: 車両設計の初期段階からこのモーターを前提とした場合、最大450kg以上の軽量化

一部バネ下重量の増加はわずかに発生するものの、車体全体の軽量化効果がそれを遥かに上回り、EVの航続距離、運動性能、そしてスペース効率を劇的に改善するとも説明されているため、これが実現できれば「バッテリー以外の部分で」大きくEVの重量を削減でき、重量バランスの改善、設計の自由度向上など、EVにおける「革命」の可能性を秘めています。

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Image:Mercedes-Benz

環境とオフロード性能への波及効果

1. 環境負荷の低減:ブレーキダスト汚染の解決

ブレーキダストは、タイヤの摩耗粉と並び、自動車からの非排気ガス排出物(Non-Exhaust Emissions)として、都市部の大気汚染の原因となっています。

フリクションブレーキの使用が激減するか、リアで完全に排除されれば、ブレーキダストの発生が大幅に削減され、環境負荷の低減に貢献する可能性が出てきます。

アウディ
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2. オフロード車設計の自由度向上

独立懸架式のオフロード車にとって、車軸にある「CVジョイント(等速ジョイント)」は、大きなトルクがかかったり、サスペンションの角度が大きくなったりした際の弱点となることも。

一方のハブモーターは、モーターが直接ホイールと繋がるため、CVジョイントが不要になり、これによってサスペンションの可動域や車高を大幅に引き上げることができ、オフロード性能が飛躍的に向上することも考えられ、そしてこのエレクトリックモーターは(車軸を用いず)ケーブルで接続するだけで良くなるため、設計の自由度が劇的に高まるというわけですね。

結論:自動車設計の常識を塗り替えるYASAの技術

YASAによるアキシャル・フラックス・モーターとハブモーター技術は、単なるパワートレインの進化ではなく、自動車の設計思想そのものを根底から覆すポテンシャルを秘めています。

ブレーキシステムを排除できるほどの強力な回生能力、そして驚異的な軽量化と省スペース化は、未来のEVが「より速く、より遠くまで、より環境に優しく」なることを約束しており、ハイパーカーからオフロード車まで、自動車の未来はYASAによって大きく変わろうとしているという現実がもうすぐそこまで来ているようですね。

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参照:YASA

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