| 正直な印象では「言いがかり」にしか思えない |
それでも、「何をやっても揚げ足を取られる」のが著名人である
さて、つい先日にはドナルド・トランプ新大統領の就任式が行われ、そこへイーロン・マスク氏が登場しスピーチを行ったことが報じられています。
ただしここで同氏は「腕を胸に当てたのち、手のひらを下に向けて腕を2度伸ばすという動作」を行っており、この動作が、一部の人々から「ナチス式敬礼ではないか」と非難を受ける事態に発展しているわけですね。
ナチス式敬礼は欧州では「タブー」である
この動作がナチス式敬礼に該当するのか、それを意識したものであるのかどうかは別として、欧州のいくつかの国では「ナチスを連想させる表記や動作など」はタブーとなっており、この敬礼を含めて公の場でそれらを披露すると処罰の対象となる場合も。
たしかにこの動作は(動画を見る限り)ナチス式敬礼に近いのかもしれませんが、前後の流れを含めて判断するにイーロン・マスク氏にその意図があったとは思えず、実際に同氏は「なんでもかんでもヒトラーに結びつけようとする姿勢」「わずかなことにでも付け入って自身を批判しようとする勢力」に対しては”うんざり”だとも語っています。
一方で一(イーロン・マスク氏が最近ドイツの極右政党を支持したこともあり)この動作を意図的なものとみなす人々もや団体も存在し、英国の団体「Led By Donkeys」とドイツの「Center for Political Beauty」の2つの活動家グループがさっそくイーロン・マスク氏の動作に対する抗議行動を展開する事態へと発展し、テスラのギガファクトリー・ベルリンに対して問題の動作を映し出した画像とともに「Heil Tesla(ハイル・テスラ)」と書かれたメッセージを投影することに。
そしてこの「Heil Tesla」は、テスラの企業ロゴに似たフォントで作られているうえ、さらに、「Heil」という単語の代わりに「Boycott」という言葉を重ねて映し出し、一部の映像では「Boycott Tesla(ボイコット・テスラ)」と読めるようにという演出までを行っているわけですね。
Tesla Gigafactory, Berlin - right now!
— Zentrum für Politische Schönheit (@politicalbeauty) January 22, 2025
In cooperation with @ByDonkeys pic.twitter.com/2zQoUV0GRY
こういった一連の出来事を経てテスラの株価は前日比で2.73ドル(0.66%)下がっていますが、これは同日に発表された失業保険申請数増加などの指標を受け下落したほかの製造業に比較しても大きなものではなく(フェラーリはハミルトン加入で盛り上がっているにもかかわらず2.33%下がっている)、よって世の中の多くの人々、特に投資家はほとんど気にせず、「また言いがかりをつけているのか・・・」くらいにしか捉えていないのかもしれません。
イーロン・マスク氏のジェスチャーが単なる誤解だったのか、意図的だったのかは不明ではありますが、この出来事をきっかけに、同氏の政治的立場や行動に対する批判が再燃しているのもまた事実で、こういった抗議活動は、企業や著名人が取る公共の場での言動が「どれほど社会に影響を与えるか」を改めて示しています。
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