Image:Mitsubishi
| 現在の自動車業界では自身の強みを最大限に生かさねば陣地を守ることが難しい |
三菱は「メジャー」よりも「ニッチ」を選ぶという賢い判断を行ったのかもしれない
さて、現在日産とホンダは経営統合に向けて様々な課題解決を模索中ですが、つまりまだ「合併が決定したわけではない」状況です。
そしてかねてより注目されていたのが「ここに三菱が加わるかどうか」で、しかし最新の報道によると、三菱は「日産とホンダに合流しない」という判断を行ったもよう。
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三菱はホンダ・日産への合流を「見送る」
仮に日産とホンダとの経営統合が実現すれば、両者は持株会社を設立し、その下に日産とホンダそれぞれが存在することとなるわけですが、三菱は「柔軟性を重視し」ここには加わらず、自社の強みである東南アジア市場への強化を図るとされています。
かつて日産が「再建計画」を掲げた際、日産そして三菱、ルノーは「それぞれの強みを活かした」展開を行うと発表しており、その中で三菱は「東南アジアにおいて、低価格コンパクトカー」「オフローダーやトラック」という強みを活かしつつ、この分野そして東南アジアという地域において”リーダー”を務めるという役割が設定されていますが、今回三菱は自社単独でその役割を継続し推進するということなのかもしれません。
つまるところ、三菱は「ホンダや日産の(今後共有されるであろう)資産を活用してメインストリームに打って出る」つもりはなく、あくまでもニッチで勝負しようということなのだと思われますが、現在の自動車業界においては「自分の陣地を確保する」ことが年々難しくなっており(”広く浅く”よりも”専門性”を持つほうが強い)、よって「すでに確固たる陣地を持っている」三菱がそれを守ることを中心とした戦略にシフトするのは正しい判断なのかもしれません。※メジャー市場で戦うには多額の資本が要求され、競争があまりに厳しい。よって「量」ではなく「質」へとシフトし、多様化する嗜好の一部を拾うことに特化するのはいい判断だと思う
そしてこの判断によって「ホンダや日産のリソースを用いた”新型”ランサーエボリューション」の登場は望めないかもしれませんが、より魅力的な新型デリカ、さらには新型パジェロについては逆に期待がかかるところですね。
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