
| 【調査結果】テスラのブランド人気が世界中で下落中 |
この状況が「進行」するのか、あるいは「テスラ復権」が訪れるのかはナゾである
長年EV市場のトップを走ってきたテスラ(Tesla)ですが、UBSが実施した最新のグローバル調査によって、かつての圧倒的なブランド力が揺らいでいることが明らかに。
世界的に見ても、テスラを「最も欲しいブランド」として挙げた消費者の割合は18%へと落ち込み、2022年の23%から大幅に減少していますが、特に中国と欧州での失速が顕著です。
地域別:テスラのブランド人気推移
地域 | テスラを最も支持する割合 | 変化 |
米国 | 38% → 29% | ▼9pt |
欧州 | 20% → 15% | ▼5pt |
中国 | 18% → 14%(2020年は30%) | ▼16pt |
UBSのアナリストは、「中国ではテスラが技術的リーダーと見なされていない」「欧州ではイーロン・マスク氏の政治的発言がブランドイメージを損ねている可能性がある」と分析していますが、とくにテスラが大きく依存する中国市場でのブランド力失墜は「取り返しがつかない」事態を招く可能性も。
なぜテスラは中国でブランド力を失ったのか?
技術的優位性の失速
テスラはかつて、自動運転や加速性能で先行していましたが、現在ではシャオミやBYDなどの中国メーカーが同等以上の性能と装備を低価格で提供しており、中国の消費者としては「高いお金を出してテスラを購入する理由がなくなった」ということなのかもしれません。
なお、現在テスラについては(ニュース価値が高いので)販売低下、シェアの喪失、中古市場での相場暴落など様々な問題が報じられ、しかし冷静に考えると「(中国では)ほとんどの自動車メーカーのEVは、テスラよりも悪い状況」へと陥っていて、とくにポルシェは新車販売と中古車のシェア両方において「壊滅的状態」であるとも報じられています。
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そして中国市場において日米欧のEVが売れないのは上述のような「中国車が魅力を増したから」ではあるものの、もうひとつ考慮すべきは中国勢の「値引き合戦」。
直近だとBYDが30%超の(一部車種に対する)値下げを行い、これに追随する形で奇瑞汽車(チェリー)、Li Autoも最大で40%の値下げを行っており、もともと安価な中国車が「さらに」安くなったことで、中国の消費者が日米欧のEVに魅力を感じなくなったのだとも考えられますが、この中国勢の”過剰な値下げ”については長く続くとは考えられず(過剰在庫がなくなれば終了し、かつ中国当局も”健全な市場の成長を阻害する”として規制に乗り出している)、よってしばし時間が経過した後は値引き幅が縮小し、さらには多くの新興EVメーカーが淘汰されることで日米欧の自動車メーカーの競争力が相対的に回復する可能性も。
今の段階では将来を予測することは非常に困難ではありますが、とにかくテスラ含む既存の海外自動車メーカーにとっては「忍」の一文字しかない、といった状況なのかもしれません。
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