
| テスラの販売が欧州で崩壊的下落、EV需要増でも失速が止まらない |
テスラの欧州戦略は岐路に立たされている
アメリカ・テキサス州オースティンに本社を置くテスラ(Tesla)が、2025年4月のドイツおよびイギリス、そして欧州全体での販売台数において壊滅的な結果を記録したとの報道。
ドイツでは前年比46%減、イギリスでは62%減という深刻な数字となり、もはや統計上「なにかの間違いでは」とされるほどの水準に陥っています。
ドイツでの販売は885台、4か月連続で販売減
まずドイツでは、2025年4月の販売台数がわずか885台。
これで4か月連続の販売減となり、2025年序盤は惨憺たるスタートとなっていますが、ロイターによると、年初来累積での販売は60%以上減少しており、テスラの存在感は急速に薄れつつあることがわかります。
イギリスではさらに悲惨、前年同月から840台減
さらに厳しいのがイギリス市場。
テスラは2025年4月にわずか512台しか販売できず、前年(1,352台)から840台も減少していますが、これにより市場シェアは12.5%から9.3%へと急落することに。
スウェーデンとフランスでも販売暴落
ドイツ・イギリスにとどまらず、スウェーデンでは80%減、フランスでは59%減と、ヨーロッパ全体でテスラ離れが顕著。
欧州自動車市場を専門に研究するシュミット・オートモーティブ・リサーチのマティアス・シュミット氏は次のように分析しています。
「今回の販売低迷は単なるモデル切り替えではなく、テスラが抱える根本的な問題が表面化した結果です。そしてその原因の多くはイーロン・マスク氏にある」
中国メーカーが台頭、BYDは驚異的成長
一方、テスラとは対照的に、中国のEVメーカー「BYD」はヨーロッパで存在感を盛大に拡大中。
ドイツでは755%の販売増、イギリスでは311%の増加を記録しており、EUでは中国製EVに27%の関税が課されているにもかかわらず、この伸びはまさに驚異的なレベルです(関税が課されたとしても、まだ価格競争力があるということなのかもしれない)。
モデルYのフェイスリフト効果は?6月以降に販売回復の兆しは見えるか
現在、テスラの公式サイトではフェイスリフト版「モデルY」の納車開始が(欧州では)6月頃を予定していると記載されていますが、このモデルチェンジが販売回復の起爆剤となるかはまったく未知数。
そもそもイーロン・マスク氏の政治的スタンスが、特にドイツの極右政党「AfD」への支持などにより、欧州の消費者離れを招いているという指摘もあり、やはり販売失速の原因はイーロン・マスク氏に負うところが大きいのかもしれません。
フェイスリフトだけではもう足りない?
テスラがこの販売低迷を打破するには、軽微な外観変更や5年前のモデルの小改良では不十分であることは日を見るよりも明らかで、さらに、ステンレス製の巨大なサイバートラックの投入がユーザーの共感を得られるかも疑問視されています。
ヨーロッパでのEV市場は確実に成長していますが、テスラだけが取り残されているのが現状で、政治的発言、競争の激化、消費者心理の変化にどう対応していくか。
テスラは今、大きな転換点に立っています。
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参照:Jalopnik, CarNewsChina