Sankeibizによると、中国の自動車市場で「異変」が起きている、とのこと。
記事では、まず中国の自動車市場は世界の「1/3の販売台数を占める(2800万台)」としており、これまではその中国市場におけるシェアは「欧州自動車メーカー」がトップであったものの、そのシェアが24%まで下落し、代わりに最近トップに立ったのが「民族系(中国の自動車メーカー)」とのこと。
日系メーカーのシェアは20%でさほど落ちていないとしているものの、これは欧州自動車メーカーにとっては「けっこう深刻」な問題かもしれません。
現在はシェアが減ったとしても「中国国内市場の拡大に伴い」販売の絶対数は増加する可能性がありますが、中国市場が日本やアメリカ市場のように「成熟」し販売が減少もしくは横ばいとなった時に「ジワジワとボディブローのように効いてくる」と考えられます。
実際にフォルクスワーゲンの販売台数のうち40%は中国が占めている状態ですが、これが減ってくると全体に与える影響がかなり大きい、ということに。
なお現在中国において、SUVの売り上げランキングTop10のうち、じつに6台が中国車だと報じており、これはちょっと驚き。
やはり合弁によって「先端技術を吸収した」中国自動車メーカーの実力が上がってきているとも考えられ、市場の大きさという誘惑に負けて合弁を行った「ツケ」を払う時が来るのかもしれません(それでも合弁を行わざるをえない状況であったのは間違いない)。
一方でポルシェやリンカーンといった高級ブランドの中国における販売は好調で、中国国内では将来的に「普及価格帯は国産(中国)車、高級車は海外ブランド」といった住み分けが出来るのかもしれません(この住み分けは日本と同じ)。
現在(これまで)中国では普及価格帯の車もフォードやフォルクスワーゲン、シュコダ、シトロエン、プジョーといった欧米勢が多くを占めていたものの、こういった「普及価格帯」ブランドは中国の自動車メーカーに駆逐されてしまい、中国のメーカーが作れないような高級車のみが生き残るのでは、ということですね。
もちろん一番こういった事態を恐れているのは欧州自動車メーカーのはずで、だからこそフォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツはEV(電気自動車)の中国生産を行う、という方向を選んだとも考えられます。
現在中国のEV市場は急速に伸びており、前年比+50%という成長ペース。
普及価格帯のガソリン車が今後「減少」に転じると見込み、それをカバーできるのは電気自動車しかない、と踏んだのでしょうね。
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