| ちなみにシャープは3年前からテスラに対し、特許の正当な対価を払うように要求していたらしい |
さて、ロイターによると(家電の)シャープがテスラの日本法人を特許侵害で東京地裁へ提訴した、とのこと。
どういった特許侵害なのかは詳細まで明らかにされてはいないものの、シャープはテスラ車の輸入差し止めを求めているといい、「穏やかではない」状況です。
ちなみにシャープの言い分だと、テスラ(モデルS、モデルX、モデル3)に搭載されているモバイル通信機器がシャープの特許を侵害しているとのことで、シャープそしてテスラからのコメントは現在ナシ。
さらにロイターによると「最近、シャープは積極的に特許侵害訴訟を起こしている」とのことで、米TVブランドのビジオ(Vizio)、中国のスマートフォンメーカーであるOPPOに対しても同様に提訴を行っているようですね。
参考までに、ビジオだと70インチディスプレイに採用される技術のうち12がシャープの特許を侵害し、OPPOではLTEに関する技術がシャープの特許を侵害していると言われています。
シャープは一歩も「譲る気はない」?
なお、シャープが訴訟を「多発」していること、輸入の差し止めを請求していることを鑑みるに、シャープはここから譲る気はなさそうで、特許使用料を徴収するライセンス契約を締結するといった和解案は無いのかも。
一方のテスラについても、イーロン・マスクCEOは「あの調子」なのでシャープに屈するとも思われず、全面戦争となる可能性も高そうです(ただ、訴訟は”最大”の要求から始めるのがセオリーなので、まず最大限の要求をぶつけ、最終的にはライセンス契約という落とし所へと誘導するのかも)。
この件に関してちょっと調べてみると、シャープはこの(テスラが侵害しているという)特許技術について、同様に特許を侵害している他社とはライセンス契約を結んでいるものの、テスラについては3年以上前から契約を申し出たにもかかわらず「テスラが応じなかった」としており、水面下においても両者の対立構造が出来あがっていたとも考えられます。
なお、自動車は「特許の塊」でもあり、多くの自動車メーカーは大なり小なり他社の特許を使用することになって、そのためのライセンス契約を締結したり、おたがいの特許を利用しあうクロスライセンス契約を結んでいる場合も(自動車メーカー中、ポルシェがもっとも多くの特許を保有し、そのためポルシェは特許収入が相当な割合にのぼると聞いたことがある)。
さらに近年では「エレクトリック技術」「自動運転」「コネクティビティ」など、これまでの自動車業界にはなかったジャンルもクルマに取り込まれることになり、これがいっそう自体の複雑化を招くことに。
つまり、そういった技術を「他社から買ってきたり」「他社の特許を、お金を払って使用せねばならない」ケースが多々出てくるということですが、これもまた近年のクルマの価格が高騰するひとつの理由なのかもしれません。
VIA:Reuters, yahoo!Japan