
| とくにハイパフォーマンスカーにおいて「馬力」「最高速」の次に来るのが「0-60マイル」「0-100キロ」加速である |
この数値は絶体的な性能を示す指標として有効に機能しているが
さて、スポーツカーやスーパーカー、ハイパーカーにおいて”非常に”EV重視されるのが「0-60マイル」「0-100キロ」加速。
現代ではこれを記載しないハイパフォーマンスカーはほぼ存在しない(ただし伝統的に日本車はこの数値を示さないことが多い)というのが実情ですが、これには知られざる起源があるもよう。
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記事の要約(この記事のポイント)
- 生みの親は一人のフリー記者: 1946年、トム・マッケーヒルが「勝手に」始めたテストが業界標準になった
- きっかけは「潜入取材」: 鉄道員を騙して新型車を勝手にテストしたのが、世界初のロードテスト記事の始まり
- なぜ「60マイル」なのか: 当時のアメリカの制限速度が60マイル付近だったという、実用的な「ノリ」が理由
- 現代の加速競争は「異次元」へ: 1.6秒台に突入した現代、0-60mphはもはや性能の指標として限界を迎えつつある
誰もが口にする「ゼロヒャク」加速、そのルールを作ったのは誰?
「このマクラーレンは0-60mph(時速約96.6km)加速が2.3秒だ」
クルマ好きの会話やカタログスペックで当たり前のように使われるこの指標。
なぜ「時速50マイル」でも「時速70マイル」でもなく、「60マイル」が世界共通のモノサシになったのか?
その答えを知るには、1940年代のアメリカ、自動車ジャーナリズムの黎明期まで時計の針を戻す必要があるといい、ここでそのルーツを探ってみましょう。

【詳細】伝説の記者トム・マッケーヒルと「嘘」から始まったロードテスト
この測定法を考案したのは、アメリカ人ジャーナリストのトム・マッケーヒルだとされ、彼は現代の『トップギア』で知られるジェレミー・クラークソンのような破天荒な人物であったのだそう。
1940年代当時、自動車メーカーは「外部の人間に車をテストさせる」という習慣がなく、しかしマッケーヒルは驚くべき行動へと出ることに。
- 強引な取材手法: 写真家を装って鉄道員を騙し、輸送中の1946年型ビュイックを勝手に降ろさせてテストを敢行
- 世界初のレビュー記事: その結果を雑誌『Mechanix Illustrated』に掲載。これが世界初の「第三者によるロードテスト」となる
- 0-60mphの導入: 彼は記事の中で、必ず停止状態から時速60マイルに達するまでの時間を計測し、これが読者に受けてメーカー側も機材を提供せざるを得ない状況になった
なぜ「60マイル(約96.6km)」だったのか?
マッケーヒル本人が「なぜ60マイル」を指標としたのかについて、その理由を語った記録はなく、しかしいくつかの有力な説があって・・・。
- 当時の制限速度: 1950年代のアメリカでは、州の制限速度が概ね50〜60マイル。つまり「公道で出す最高速度までどれだけ早く到達するか」という実用的な指標だった説
- メートル法との親和性: 60マイルは時速約96.6km。ヨーロッパで一般的な「0-100km/h(約62マイル)」に非常に近いため、世界的な基準として定着しやすく、この数値を採用した説※となると、欧州ではこの時点ですでに「0-100km/h加速」が一つの指標として定着していたということになる

現代の加速スペック比較:0-60mphの現在地
かつては「5秒を切ればスーパーカー」と言われたこの指標ではあるものの、2026年現在のスペックはもはや異次元の域に達しており、「2秒以下」も珍しくない状態に。
1946年、トム・マッケーヒルがテストした最初のクルマのタイムは以下の通りではありますが、「まさか2秒以下で走る市販車が登場するとは思わなかった」はずで、これを考慮するならば、現在の「2秒以下」というタイムすら過去のものとなる日が来るのかもしれません。
| 車種 | 0-60mph 加速時間 | 備考 |
| シボレー コルベット ZR1X | 1.68秒 | ハイブリッドの力で驚異の1秒台へ |
| マクラーレン 750S | 2.3秒 | 純ガソリン車の限界に近い速さ |
| ポルシェ カイエン(EV版) | 3.0秒前後 | 現代ではSUVがかつてのハイパーカーを凌駕 |
| 1946年型 ビュイック | 約15〜20秒 | マッケーヒルが最初に測った時代の基準 |

参考:「1フィート・ロールアウト」とは?
最近の(アメ車の)カタログ値の多くは、クルマが動き出してから約30cm(1フィート)経過した後に計測を開始する「ロールアウト」ルールを採用しています。
これにより「完全停止状態」からの計測に比較して”コンマ数秒”タイムが短縮されることになり、停止状態からの計測を行う「0-100km/h加速」に比較するとコンマ数秒の差異が生じるわけですね。
結論:加速の数字は、もはや「酒の肴」に過ぎないのか
現代は「ポルシェのファミリー向けSUVが、10年前の数億円するハイパーカーを加速で追い越す」時代です。
よって、0-60mphのタイムは、もはや「性能の証明」というよりは、ネット上でクルマ好きが議論するための「エンタメ的な数字」になりつつあるのもまた事実。
しかし、80年前に一人の記者が始めた「勝手な測定」が、今もなお世界中のエンジニアを熱狂させ、ぼくらをワクワクさせている事実に変わりはなく、トム・マッケーヒルには感謝しなくてはならないのかもしれません。

知っておくと通ぶれる?「0-60マイル」と「0-100キロ」の微妙な、しかし大きな差
アメリカで採用される「0-60mph(96.6km/h)」と欧州・日本の「0-100km/h(62.1mph)」は”わずか3.4km/h”の差ではありますが、この「最後の数キロ」でシフトアップが必要になるクルマも少なくはなく、このシフトチェンジによってタイムに0.1〜0.3秒の差が出ることも。
さらには上述の「ロールアウト」といった要素もあって、「重量が重いクルマ」「多段シフトを持つクルマ」など様々な条件によって「3.4km/h」以上の差が生じるケースも存在し、両方のタイムが公表されている場合、「両者の差」について考察してみるのもまた一興かもしれません。※0-60マイルのタイムが同じでも、0-100キロタイムが異なる例が存在する
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参照:Motor1











