| 国としても各国産車メーカーがEVの普及に遅れを取らないようにするためには重要な措置である |
できれば政府がEV普及に対し、もっと強いリーダーシップを発揮してくれれば
さて、「経済産業省が国内に置けるEV向けリチウムイオン電池の開発・生産を促進するため、トヨタに対し1200億円の補助金を出す方針を固めた」との報道。
この背景として、政府が「蓄電池を経済安全保障上の特定重要物資に指定し、国内での開発や生産を促すため、3000億円余りの予算を設けた」ことがあるといい、すでにホンダとGSユアサが共同にて設立する工場に対しても1600億円の補助金を出すことも決定しています(ただ、これらでほぼ予算が底をつくことになる)。
なぜ政府がリチウムイオンバッテリーの生産を後押しするのか?
そして興味深いのは、松野官房長官が「日本として、蓄電池の製造に確実に取り組む」という旨のコメントを出していることで、つまりこれは「蓄電池を(経済的な)武器として使用すること、そして日本という国を守るには自国で蓄電池を製造することが不可欠」と考えていることがわかります。
現在世界はEV化へと向けて大きく動いていますが、EVの製造にあたって必要不可欠なのが蓄電池であり、今のところの主流は「リチウムイオン」。
ただ、このリチウムイオン電池の生産については、現在「世界中の需要の50%」を中国が占めているとされ、日本のシェアはわずか10%だと言われます。
つまることろ、日本含む世界の自動車メーカーの多くは「中国からリチウムイオン電池を購入せざるをえず」、その状況では価格決定権は中国にあり、そして中国がなんらかの報復措置、もしくは経済戦争の一環としてこの価格を引き上げたならば、世界中の自動車メーカーは一斉に困ったこととなるわけですね。
よって現在、世界中では「中国に依存しなくていいよう」自国でのリチウムイオンバッテリーの生産に動いており、そして日本もこの流れに追随したというのが今回の方針決定であると考えられ、つまり「トヨタの援助」というよりは「国益の保護」「危機に備える」といった意味合いが強いのかもしれません。
トヨタはEVを増産する計画を持っている
なお、トヨタは今後のEV情勢を見据え、これまでに持っていた計画をいったんリセットし、5月に新しくバッテリーEV選任組織「EVファクトリー」を発足させています。
ここでは、先日発表のあった次世代電池(全固体電池=ソリッドステートバッテリー)の実用化、新しいArene OSの開発、OTA(無線アップデート)の導入などを研究し、その集大成として2026年に次世代EVを発売すると発表済み。
加えてギガキャストの導入によって車両開発費や製造コストを削減することについても言及していますが、2030年には年間350万台のEVを生産しするとも述べていて、今回の1200億円はこれらEVに搭載されるバッテリーの開発や製造に投資されることになるのかも。
ただ、今回の政府発表について、「1200億円」は電気自動車に搭載するリチウムイオンバッテリーの開発製造の補助として供出するとことなので、「ハイブリッド」「ソリッドステートバッテリー」にはこれを使用することができないのかもしれませんね。※1200億円と聞くと凄い額のように思えるが、トヨタのこれまでの投資、テスラの投資額からすると、実はそう大きい額ではないようだ
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参照:NHK, Reuters