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石油メーカーはEV時代でも利益を確保できる?石油のかわりにリチウムを採掘・精製しEV用バッテリーの材料として供給するビジネスを検討中

2023/07/30

石油メーカーはEV時代でも利益を確保できる?石油のかわりにリチウムを採掘・生成しEV用バッテリーの材料として供給するビジネスを検討中

| 石油採掘のノウハウはそのままリチウム採掘にも活かせるらしい |

現在、EVそしてバッテリーを巡る環境は目まぐるしく変わっている

さて、自動車産業においては現在のところ想定よりも速く電動化が進んでいるという状況ですが、そこで気になるのが「オイルメーカー」。

いわゆる石油メジャーと言い換えることもでき、シェルやBP、シェブロン、トタル、エクソンモービルなどの会社を指していますが、自動車がガソリンを使用しなくなったり、トランスミッションが不要になってエンジン/トランスミッションオイルが要らなくなったらどうするんだろうな、と考えたりするわけですね。

もちろん石油メジャーの収益源は自動車用の燃料や油脂類だけではなく、繊維や樹脂などの化学製品もあり、燃料についても航空機や船舶等では継続して石化燃料が使用されるであろうことから「致命的」な打撃を受けるわけではないだろう、ということも理解しています。

意外なことだが石油産業はEV産業と「遠くはない」

そして今回報じられたのが「EVに欠かせないバッテリー生産において、将来的には石油メジャーがその材料を提供することになるだろう」というニュース。

現在は(おそらく)まったく関係が無いように見えるこの二者が”どうやって結びつくのか”疑問に感じると思いますが(ぼくも疑問に思う)、電気自動車の台頭は石油会社にとって存亡の危機ではなく、むしろ化石燃料コングロマリットにとっては、長期的には利益になるかもしれないのだそう。

シェブロン社のマイク・ワースCEOによると、地球からリチウムを抽出するプロセスは、石油やガスを抽出することから遠く離れておらず、同社の「コア能力(つまり採掘能力)」は、EVのバッテリー製造に不可欠な元素を掘り出すことに転用できる可能性がある、とのこと。

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これによってシェブロンは将来的に成長するEV産業に加わることができるようになり、そして興味深いことにほぼ時を同じくしてエクソンモービル社のダレン・ウッズCEOもこの計画について言及していて、実際にリチウム生産を模索していることも触れています。

ただし石油会社によって考え方は様々

しかしその一方、ヨーロッパの石油会社はリチウム採掘と精製についてはまったく検討しておらず、その代わり、風力発電や太陽光発電のようなクリーン、しかし過渡的なエネルギー源に焦点を当てているのは面白く、このあたりはそれぞれの会社の「成り立ち」が影響しているのかもしれません(欧州の石油会社は商社的な背景を持つものの、アメリカの石油会社は自ら石油を掘ってきた歴史を持つとおおまかに解釈している)。

そしてシェブロンに話を戻すと、同社は以前、「風力発電や太陽光発電プロジェクトは利益をもたらさない」と明言しており、その理由は「これらのプロジェクトは投資収益が低く、競争が激しすぎるから」。

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よってシェブロンはリチウム採掘に活路を見出しているということになりますが、その一方ではリチウムに代わる可能性のある物質がいくつか現れ始めており、例えば日本の科学者チームは「マグネシウム(Mg)をベースにした化合物がリチウムよりもエネルギー密度が高い可能性がある」という論文も発表済みです。

参考までに、現在のところリチウムイオンバッテリーの製造に関し、中国に大きく依存していることが問題となっており、これが原因で中国のEVメーカーに圧倒的な優位性を(日米欧の自動車メーカーが)許してしまっていて、しかし中国以外でのリチウム採掘・精製が進んだり、バッテリーにおける「脱リチウム」が進むとなると、より健全な競争がもたらされることになるのかもしれません(米国政府は中国製リチウムイオン電池への依存につき、重大な懸念を示している)。

石油会社は代替燃料(Eフューエル)に興味を示さない

なお、いつもぼくが不思議に思うのが「なぜ石油会社は代替燃料(Eフューエル)に興味を示さないのか」。

代替燃料については「ガソリンと同じように、既存の車両に使用できる」ということから大きな注目を浴びており、現在ポルシェやランボルギーニがこれに取り組んでいることが知られています。

ポルシェが合成燃料について語る。「環境を改善するには、新車をクリーンにするよりも既存のクルマをクリーンにする必要があります」。加えて精製プロセスも紹介
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ただ、代替燃料についても課題は多く、その製造コストの高さ、そして流通網の整備が挙げられており、自動車メーカーレベルの生産量ではコストを下げることが可能な規模に至るまでの生産量を確保できず、そして製造した燃料を輸送し流通させる手段を持たないことが指摘されているわけですね。

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その一方、石油会社であれば既存工場を代替燃料製造用に転用したり、既存の流通網を活用して燃料を輸送することが出来るので、現在ポルシェの抱える問題を解決できる可能性も。

それでも「石油会社は代替燃料にあまり興味を示していない」のが現実であり、その理由は明かされてはいないものの、太陽光や風力発電同様に投資効率が低く、ビジネスとして採算には乗りにくいという判断なのかもしれません。※いくつか、自動車メーカーと共同にて代替燃料を研究しているという事例はある

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参照:Automotive News

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