| 記録の達成は文字通り「一瞬」で終了 |
今回の記録はギネスによって正式に認定される
さて、昨年10月には0−100km/h加速1.461秒という驚愕の記録がシュトゥットガルト大学のグリーンチームによって達成されていますが、今回はスイスのチューリッヒ工科大学とルツェルン応用科学芸術大学により、なんと0.956秒という記録が達成されることに。
この記録達成に使用されたマシンはメイヘム(Mayhem)と命名されたシングルシーターで、車両そのものの重量は140kg、そしてドライバー(軽量な女性)を含んでも180kgに収まっている、と紹介されています。
超軽量俊足EV、メイヘムはこんなマシン
そこでまずこのメイヘムから見てみると、シャーシとボディワークは、カーボンファイバーとアルミハニカムの組み合わせで作られており、動力源となるのアカデミック・モータースポーツ・クラブ・チューリッヒ(AMZ)に所属する学生たち自身が開発した4つのホイールハブモーター。
なお、4つのエレクトリックモーターを合計すると326馬力という驚異的なパワーを発揮します。
つまりこのメイヘムのパワーウエイトレシオはドライバーを含めても0.6程度に収まっており、これはどんなハイパーカーであっても、そしてドンカーブートやアリエル、BAC、ケータハムのような軽量性を売り物とするスポーツカーメーカーであっても絶対に達成が不可能とも言えるレベルです。
この学生たちはこのEVをメインに研究しているわけではなく、あくまでも本来の履修科目や研究課題に加えてこのEVプロジェクトに取り組んでおり、責任者であるヤン・ベルナール氏によれば「学業と並行してプロジェクトに取り組むのは、とてもハードでした。それでも、他の学生たちと協力して常に新しい解決策を生み出し、授業で学んだことを実践するのはとても楽しかった。そしてもちろん、世界記録に携わるというのは、絶対にまたとない経験です。ひとまずは昨年の記録である1.46秒を下回ることが目標です」とコメント。
なお、このAMZチームがこの世界記録を達成するのは今回で3度目だといい、2014年には一度記録を達成し、2016年にも再度記録を更新。
しかしながら上述の通り昨年にはシュトゥットガルト大学に最速の座を奪われてしまい、今回は王座奪還をかけた挑戦ということになります。
そして挑戦に際してはギネスへと事前に申請し、ギネスのスタッフ立会のもとで厳粛に行われることに。
そしてドライバーはケイト・マゲッティさん。
逆算すると装備込みで「体重40キロ」ということになりますが、このすさまじい加速でポキっと折れてしまわないかちょっと心配になってしまいますね。
そしてメイヘムへと乗り込んで準備を整えます。
時速100キロまでの加速に要したのはわずか12.3メートル
メイヘム号とケイトさんがスタートラインに並び・・・。
ドキドキのスタート直前。
なお、スポイラーやウイングがない「ダウンフォースを考慮していない」仕様を持つもよう。※シュトゥットガルト大学のグリーンチームが製作したE0711-11 EVOではダウンフォースが強化されていた
そしてメイヘム号が脅威のスタート!
100km/hに達するのに要した時間はわずか0.956秒という驚きのもので、1.46秒を大きく短縮することとなっていますが、その記録はわずか12.3メートルで達成されており、時間としても「1秒以下」なのであっという間です。
そして記録を見たケイトさんもびっくり。
挑戦するまでの間、心臓がドキドキしっぱなしでした。しかし、ひとたび "やり遂げる "と、それはまるで "ジェットコースターに乗っているような、本当に、本当に速いスタート でした。
なお、上述のとおりこの記録は毎年更新されていて、来年はまた別のチームが驚きの記録を叩き出すことになるのかもしれません。
スイスの学生チームによるEVが驚愕の0−100km/h加速0.956秒を達成する動画はこちら
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参照:ETH Zürich