■そのほか自動車関連/ネタなど

なぜ最近はYouTubeやインスタで「金額を全面に押し出す例」が増えたのか?「ドラマ性、ネガティブさ、富の誇示」がインプレッション獲得にもっとも有効だからとの調査結果

なぜ最近はYouTubeやインスタで「金額を全面に押し出す例」が増えたのか?「ドラマ性、ネガティブさ、富の誇示」がインプレッション獲得にもっとも有効だからとの調査結果

| たしかに「金満」アピール、「故障」アピール動画やコンテンツはインプレッションを稼げるが |

その一方では品位を貶める危険性もはらんでいる

さて、この数年の自動車業界における大きな変化が「インスタグラムやYouTubeでの人気動画や投稿につき、”価格”が全面に出てくるものが多くなった」。

いったいなぜかというと、SNSにおいて「価格」は人々の関心を引くフックであり、クルマに興味がない人であっても、その動画のサムネイルやタイトルに価格が含まれることで「こんなに高額なクルマが存在するのか」「こんなに維持費や修理費用がかかるのか」という興味を喚起でき、動画の視聴につなげることができるわけですね。

そこではクルマの機能や性能には注目されない

そしてそれら動画で示されるのは「そのクルマがどれだけ高価であるか」であり、そのコストの理由が「どういった機能や構造、素材に由来するのか(ゴールドなどラグジュアリーな素材であればまた話は別である)」に触れることは少なく、それはこういった動画の多くが「クルマ好きではなく、高額なものを所有する人に興味があったり、そういった人に憧れる人の視聴を前提にしたものだから」なのかもしれません。※つまりはクルマ好きが見る動画ではなくひとつの”クルマを題材にした”エンターテイメントである

たとえばスーパーカーブロンディ(チャンネル登録車2040万人)や・・・。

マニー・コシュビン(チャンネル登録車数168万人)の場合はそのチャンネル登録車の大半が「ラグジュアリーな生活に憧れる人、彼女もしくは彼のファン、あるいは彼らのようになりたい人」なのかもしれません。

実際のところ、ダニエル・マック(チャンネル登録車326万人)のように、「スーパーカーやハイパーカーに乗る人に(どうやってそのお金を得たのか)職業を尋ねる」ことで人気を博したユーチューバーも。

こういった傾向はインスタグラムに端を発する?

そしてこういった傾向はインスタグラムに端を発するという説があり、調査会社によると「現実逃避とナルシシズムは、Instagram Reel の消費量の増加と正の相関関係にあることがわかっている」。

ナルシシズムと社会的比較(ルッキズムやステータス)は、インスタグラムの使用や高級品の探求、さらにはトレンドセッターを追い求める欲求、さらには承認欲求と強く相関していることが明らかになっていて、インスタグラムで富を誇示することが「正しいライフスタイルである」と認識されるようになり、つまりはスーパーカーやハイパーカーがその「道具」になってしまったということなのかもしれません。※パリス・ヒルトンあたりがその起源なのかもしれない

インスタグラムのアルゴリズムは大部分がブラックボックスであるため、アプリがこの傾向を明示的に奨励しているかどうかを知ることはできませんが、インスタグラムを頻繁に使用すること自体が物質主義やインフルエンサーとの同一視の予測因子となり、ここから虚栄心が強く、物質主義的でナルシシズム的な視聴者に訴求できるよう、より派手で富に焦点を当てた動画が生まれるわけですね。

ただし意図的に「それ」を避けるユーチューバーも

かくして多くのユーチューバー(自動車系であってもそうでなくても)はより多くの視聴者の興味を引くように「金額(富)を強調し、視聴者の虚栄心や成功に対する憧れをおある」ようになるわけですが、これに反対するユーチューバーも。

たとえばマット・ファラー(チャンネル登録者109万人)はその一人であり、彼はロサンゼルスにある高級ストレージおよびカーケア施設「ウエストサイド・コレクター・カー・ストレージ」のオーナーでもあるため、スーパーカーとインターネットの視聴者の両方をよく知っています。

そしてマット・ファラーは自分のチャンネルをソーシャル メディア アナリストに調査してもらったところ、エンゲージメントを高めるための推奨事項はシンプルで、「ドラマ性、ネガティブさ、そして最も重要なのは富を誇示すること」。

やはり「一般人が知らないセレブの世界」「世の中にはこういった価格のクルマが存在する」「カネが物を言う世界がある」といった手法が有効であることが示されていますが、マット・ファラーはあえてそれらの方法を用いず、エンゲージメントと視聴率を犠牲にしてでも、公開する動画においては富を誇張するクリックベイトタイトルやキャプションを避け、代わりにクルマを作品の中心に据え続けています。

「どうやら、人々が物の値段、儲けや損失、支出について語る動画や インスタグラムクリップは、インターネット全体でエンゲージメント率が最も高いようです。ですが、私にはほんの少しのプライドがあります。私のブランドがお金やドラマ、ネガティブなことについてばかり語るのは嫌なのです。」

なお、数字を全面に出すといっても、「富の誇張」ばかりであるとは限らず、「その価格がそのクルマにマッチしているか」「修理費用にこれだけかかる」といった動画も人気の一つ。

前者においては自動車系ユーチューバーが好んで取り上げるネタではありますが、これによって多くの「自動車に興味のない人」でもそのクルマに興味を持つようになることも。

当然ながらこれもクリックベイト的な要素を含みますが、「クルマに興味を持たせる」には有効かもしれず、(自動車コミュニティにとって)ネガティブな要素だけを含むわけではないのかもしれません。

実際のところ、スーパーカーというと、これまでは一般の人にとって「未知の世界」「関係のない世界」ではあったものの、様々な芸能人やユーチューバーがそれらを自身のSNSにて紹介するようになったいま、「フェラーリやランボルギーニに乗ってる」というと、「(インスタやユーチューブで)誰々が乗っているのを見ましたよ。あれ(維持費や故障、燃費など)って本当なんですかね?」と返す(そこまでクルマに興味がない)人も少なくはなく、着実にスーパーカーが身近になってきている、と思います。

合わせて読みたい、関連投稿

北米第一号のパガーニ・ウトピアが億万長者のもとへと納車。アクセントカラーはティファニーブルー、その息子にしてユーチューバーが実車を紹介【動画】
北米第一号のパガーニ・ウトピアが億万長者のもとへと納車。アクセントカラーはティファニーブルー、その息子にしてユーチューバーが実車を紹介【動画】

| パガーニ・ウトピアの価格はおよそ3億円からに設定されているが、いずれの個体も相当額のオプションを追加氏ていることは間違いない | その出力は864馬力、トランスミッションはMTもしくはオートマチッ ...

続きを見る

やはり修理するのは難しかったのか・・・。ユーチューバーが「修理を試みる」とし購入した事故車のレクサスLFAがジャンクヤードに放置、野ざらしになった姿が報じられる
やはり修理するのは難しかったのか・・・。ユーチューバーが「修理を試みる」とし購入した事故車のレクサスLFAがジャンクヤードに放置、野ざらしになった姿が報じられる

Image:Copart | 修理を断念した理由は「高額な修理費」だと考えてよく、その理由はパーツ代の高さにあるものと考えられる | このレクサスLFAの場合、ボディパネルだけでも「ほぼすべて交換」の ...

続きを見る

走行するスーパーカーの上を飛び越える肉体系ユーチューバー登場。なんとランボルギーニ・ウラカン、マクラーレン750Sを「立て続けに」ジャンプする【動画】
走行するスーパーカーの上を飛び越える肉体系ユーチューバー登場。なんとランボルギーニ・ウラカン、マクラーレン750Sを「立て続けに」ジャンプする【動画】

| その姿はまさに獲物を狙う野獣のようである | そしてこのユーチューバーの身体能力には驚かされるばかりである さて、これまでにも「スケートボードでジャンプしてフェラーリ・モンツァSP1の上を飛び越え ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , ,