
| インフレによって車両価格が高騰していることも間違いないが、それ以上に富裕層の誕生の速度のほうがずっと早い |
そしてこの傾向は「2極化」を生んでいる
さて、アメリカの自動車市場において「6ケタ」つまり100,000ドル(現在の為替レートだと約1,500万円)のプライスタグを誇るクルマの販売が大きく伸びている、とのこと。
実際のところ、2025年1-2月だけで52,000台以上が販売され、この数字は昨年の46,000台から13%の増加だそうですが、2020年の「12,000台」と比較すると驚異的な333%の増加ということに。
これは「クルマの価格が高くなった」という事実に加え、実際に高額なクルマを購入する人が増えているということを意味します。
いったいなぜ高額なクルマが売れているのか?
統計を見てみると、「6ケタのクルマ」でもっとも売れているのはレンジローバーであり、2025年2月だけで月間3,800台以上が販売されることに。
ブランド別の伸び率だとポルシェの「12%」がもっとも大きく、依然として北米で高い人気を誇ることがわかります(平均購入価格は116,111ドル)。
一方、新車市場全体の平均取引(購入)価格(ATP)は48,039ドルとなって1月からは1.3%の減少、昨年同時期と比べると1%の増加。
人気だったのは高級車のセグメントで、フルサイズSUV(106,332ドル)、高級車(121,129ドル)、高性能車(121,322ドル)などがATPを引き上げていると報じられていますが、すでに報じられているとおり「安価なクルマ」の人気も高く、三菱のATPはさらに低くなって30,410ドル(全ブランド中でもっとも低い)、日産もさらに平均販売価格が下がって32,262ドル。
参考までに電気自動車(EV)の平均ATPは55,273ドルで、1月から1.2%減少したものの昨年比では3.7%増加しており、つまりは高額なEVの選択肢が増えていることも推測されます。
現代では富裕層が続々誕生している
こういった現象につき、コックス・オートモーティブのエグゼクティブアナリスト、エリン・キーティング氏は、「現在、多くの家庭にとっては経済的な負担が大きくなる一方、6ケタの価格を提示するクルマは依然として売れ続けており、2020年初頭と比べて4倍の販売数を記録しています」と述べ、その理由としては高額所得者層や「プライム」や「スーパー・プライム」という”優良な”クレジットスコアを持つ人々が続々誕生し、主な需要を支えているからだと指摘しています。
なお、この数年はコロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱など様々な問題が生じており、そのため「前年比」「前月比」といった統計の妥当性に狂いが生じていますが、エリン・キーティング氏は「2025年2月は、世界的なCOVIDパンデミック前の最後の『クリーン月』から5年目の記念月」だとも述べていて、ようやくすべてが正常に戻りつつあり、そして統計に信憑性がもたらされる時代に突入したということなのかもしれませんね。
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参照:CARSCOOPS