| 最近のスーツ専門店は侮れない |
さて、今回必要があり葬儀用のスーツを購入。
ぼくは冠婚葬祭専用のスーツを持たず、これまでは「差し障りのない」ブラックスーツを着用してきたものの、今回は親族の不幸ということもあって「ちゃんとした」スーツを着用せねば、と考えたわけですね。
なお、葬儀用のスーツにはかなり細かいマナー(誰が決めたんだ・・・)があり、色々見ていると、ぼくがそれまで着用していたスーツは「これにマッチしておらず」、かつ今後のこともあるので、このあたりでちゃんとしたものを選ぼう、ということに。
スーツ専門店はそれぞれに特色があった
ただ、冠婚葬祭用スーツは着用回数が少なく、さほどお金をかけたくないということ(しかしケチるつもりはない)、何より時間が無いということもあって最寄りのスーツ専門店を調べたのですが、「ONLY」「THE SUIT COMPANY」「ORIHICA」の3つが選択肢として浮上。
ざっと調べてみると、「ONLY」はもともとテーラーとして始まったというバックボーンを持っていて、基本はオーダー。
ただしプレタポルテ(既製服)もあるようです。
生地の自社開発を行っていたり、オーダースーツの場合は自社工場で縫製を行っていたり、と大変なこだわりを持つようです。
軽量でしわの寄りにくい、そして回復力の高い「トラベラー」シリーズなど、けっこう高機能な製品もラインアップ。
ウエブサイトにもこだわりが感じられ、製品の説明も丁寧です。
中心価格帯は38,000円くらい。
そしてTHE SUIT COMPANYは「洋服の青山(青山商事)」の別業態。
「ハイファッション・ハイクオリティな商品を最高の立地でリーズナブルな価格にて提供すること」をコンセプトとしていて、言うなれば青山の高級版といった感じ。
中心価格帯は28,000円くらい。
ORIHICAは「AOKI」が展開するスーツ専門店ですが、こちらは価格訴求型のようで、中心価格帯は18,000円くらい。
ウエブサイトからはあまりこだわりが感じられず、よってこの選択肢は早々にドロップです
選んだのは在庫の関係でTHE SUIT COMPANY
そんなわけでまず向かったのは「ONLY」。
ぼくはウンチク好きなので、ウンチクを述べているブランドにはヨワいのですが、そこがONLYを選んだ理由。
ただ、実際に店舗を訪れてみると、オーダーが中心のようで既製服は非常に少なく、そして「ビジネススーツ」中心という品揃えのために「既製の礼服」は在庫しておらず、そしてオーダーにて礼服を作る時間も無かったために残念ながらここでの購入は諦めることに。
しかしながら、ウエブサイト同様、お店の作りやスタッフからもこだわりが感じられ、別の機会にスーツを作ってみようと思います。
その後に訪れたのはTHE SUIT COMPANY。
実際に店舗にある製品を見てみると、日本生の生地、ロロピアーナ製の生地を使用したものもあり、縫製やシルエットを見ても「なかなか」のもの。
ONLYでもそうですが、日本人の体型にあわせたデザインを持ち、かつ「動きやすい」裁断、そしてストレッチ性をもたせたものも多く、長時間の着座や出張時のパッキングにも対応するなど、日本の「スーツの使われ方」にマッチした製品が多数見られます。
ぼくはふだんスーツを着ることはなく、しかしスーツを買うとなると欧州のブランドのものを選ぶことが多かったのですが、いくつか試着してみると、「あえて欧州ブランドのスーツを買う必要はないんじゃないか」と思えるほどです。
最終的に選んだのは日本の生地、縫製にこだわったフォーマルスーツですが、THE SUIT COMPANYによると、「英国調をベースにモダンなアレンジを加えた」とのこと。
たしかにジャケットではショルダー狭め、ウエストは高い位置から絞っており、さらにアームホールも細めで「イマっぽい」感じ。
パンツもウエストが低くスリムなシルエットを持っていて、全体的にスッキリ見えるようですね。
今回のスーツ購入に際しては「日本ブランド」のスーツを見直すことになり、やはり日本で仕事をするなら日本で考えられたスーツのほうがいいだろう、と強く感じた次第です。
葬儀用の服装にはルールがある
そして今回ぼくが葬儀用スーツ(礼服)を購入しようと考えたのが、「礼服はそもそも単なる黒いスーツではない」ということ。
今回は葬儀用について述べたいと思いますが、葬儀用スーツは「光沢や織柄NG」であり、生地については「光沢のない深い黒」。
よってTHE SUIT COMPANYやORIHICAでは、これらの生地を「スーパーブラック」「ナノブラック」「ウルトラブラック」と呼んでいるようですね。
実際に目にしても、光を吸い込むような、目の詰まった”闇のような”生地を使用しています。
デザインについては「ノーベント」が常識、そして一般には「ゆったりシルエット」「丈長め」が多いようです。
礼服は一度買うと長期間着るので(その間太ってもいいように)ちょっとゆとりのあるサイズを選ぶのが常だそうですが、「シーズンごと」に数着持つ人も少なく、よって「冬場、中に着込めるよう」に大きめサイズを選ぶといい、とも言われているようです。
実際にほとんどの人が上記のような選び方をしているようなので、「タイトな礼服」を着てゆくと、ちょっと違和感を与える場合もある模様。
そしてパンツの丈はシングルで長め(ダブルやパッツンパッツンの丈はNG)が”マナー”とのこと。
そのほかにも葬儀用の服装には多くのマナーがあり、シャツは「白シャツ」が常識ながらも、これも光沢や織柄はNGで、ノッペリした生地が正解。
襟についてもワイドスプレッドやボタンダウンは好ましくなくレギュラーカラーを選ぶべしとあり、ボタンホールやステッチにカラーはNG。
よって、オッサンが着ているような「カッターシャツ」ということになりますが、ぼくはこういったシャツを持っていないので、今回スーツと一緒に購入することに。
ちなみにTHE SUIT COMPANYではシャツにも多種多様なサイズがあり、シルエットや襟の形はもちろん、同じシルエットでも「袖の長さも選べる」という選択肢の多さ。
そして「試着用」のシャツも用意してあって、片側の袖が長く、片側の袖が短く作られており、「どちらの袖丈がいいか」を選びやすくなっているという基の配りよう。
なお、今回購入したシャツは「オッサンシャツ(カッターシャツ)」なので生地が薄いのですが、「透け防止加工」が施してあったりと「いたれりつくせり」。
そのほか、「靴とベルト以外の革製品は身に着けない(殺生を連想させるので)」「靴とベルトは光沢を避け、クロコダイルなど生き物を連想させるものは避ける」「タイピンやカフスはNG」「スウェードの靴もダメ」「ネクタイを結ぶときにディンプルを作らない」「靴は紐靴で金具なし」「大きなバックルのベルトはダメ」などという、様々な決まりがあるようです。