| このままだとあっという間に5万キロを越えそうだ |
さて、早いものでポルシェ718ケイマンの納車からはや2年。
その間に走った距離は35,000キロにも達しています。
ぼくはこの718ケイマンにほぼ毎日乗っていて、つまりは雨の日も風の日も雪の日も走っているということになり、ここで「2年、3万5000キロ」走った印象そして感想を述べてみたいと思います。
全般的な満足度は?
まずは全般的な満足度についてですが、総じて「かなり高い」。
これまでにもいろいろなクルマに乗ってきましたが、その中でもトップクラスに近い満足度を誇ります。
細かい不満を挙げてゆくとキリがないものの(それらの大半は”異音”に集約される)、それらはポルシェの魅力を損なうものではなく、目をつぶることができる範囲だということですね。
なお、この2年の維持費は、カスタムや税金、ぼくの不注意による修理費を含めると47万円という数字です。
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ちなみに任意保険の金額が(保険会社の料率改定・クラス細分化によって)3年目から倍くらいになっていて、ここはちょっとツライ部分でもありますね。※ただしこれはポルシェ718ケイマン特有の問題ではなく、スポーツカー全般が同様の悲劇に直面していると思われる
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ここでぼくが現在718ケイマンに感じている印象を順番に述べてゆきたいと思います。
1.エアロダイナミクスに優れるようだ
ポルシェはかねてよりエアロダイナミクスに注力している自動車ブランドで(911のカエル顔については”後ろ向きに走ったほうがいい”と揶揄された時期もあるようですが)、当然718ケイマンもその例に漏れず。
もっともわかりやすいのは「空気がちゃんと剥離している」であろうことで、これは雨の日に走行しても、車体のどこかでに汚れがたまる=乱気流が発生したり空気が滞留することがなく、見事に汚れが後ろに飛んでゆくことからもわかります。
多くのクルマではエアの滞留が起こり、車体サイド下部やフェンダーの後ろ側、リアバンパー上部、リヤハッチ等に汚れが付着することになり、すなわちそれが「空気が(走行中に)剥離していない」ということになるワケですが、しかしケイマンではそういった現象が発生しない、ということですね。
2.前方の視認性に優れる
これにはいくつかの要素があり、まずはダッシュボードが低くなったこと。
これは996/986や997/987に比較してとおうことであり、718ではダッシュボードが低くなったため、上り坂などで「首を伸ばして」前方を見なくてもよくなったというメリットがあります。
ちなみにフロントフェンダーの盛り上がりは車幅を把握するのにいいモノサシとなるようです。
そして次は「ドアミラーが、ドアスキンマウントとなったことで死角が小さくなった」。
987世代まではドアミラーがAピラーの付け根にあり、そのために運転席から反対側のドアミラーが死角を作ってしまうことがあったものの、981以降はドアミラーがドアスキンへと移され(空力向上が主目的)、これによって死角が小さくなっています。
3.割と頭上にスペースがある
ポルシェ718ケイマンは比較的車高が低い車で、しかしシート位置も極端に低いわけではないものの、頭上にけっこう余裕がある、という印象。
ぼくは座高が高くないので、もともとルーフの高さを気にする方ではありませんが、それでもここで挙げたのは、この「頭上の余裕」について、「ヘルメットを被ることを想定している」と聞いたことがあるから。
もちろんヘルメットを被るとそのぶん頭頂部が数センチ上に移動し、その分を考慮した余裕がなればヘルメットを着用できない、ということに。
しかしながらポルシェは「サーキット走行対応」のクルマなので、こういった点も考慮されているということですね(公道では関係のないことではありますが)。
4.シートの座り心地がいい
ポルシェは昔からシートの座り心地が良いことでも知られ、それはレカロと縁が深かったせいかもしれません。
レカロはかつてポルシェの車体を製造していたことがあり、後に車体製造部門をポルシェに売却したという過去も。
もちろんシート自体もポルシェへと納入しており、そういった過去がポルシェのクルマに採用されるシートの座り心地の良さを実現しているのだろうと思います(現在もレカロがポルシェにシートを納めているかどうかは確認が取れない)。
なお、ドイツだと「シートも車体の一部」としてかなりのコストを割くと言われていますが、ぼくの経験上、ポルシェよりも座り心地の良いシートを持っていたのはレンジローバーのみ。
参考までに、ぼくは何年か椎間板ヘルニアで苦しんだことがあるものの、どんなクルマのシートより、どんなクッションやソファよりも、ポルシェのシートがもっとも体に優しく、ポルシェ(当時は981ボクスターを所有していた)に乗るとほっとしたということを思い出します。
5.乗り心地に優れる
ポルシェの乗り心地がいいというと意外に聞こえるかもしれないものの、これは紛れもない事実であり、というのもサスペンションの初期のアタリがやわらかく、伸び側も柔らかいので接地性に優れるため。
反面、ダンピングが強くストロークが短いので、不正路が連続するような場面では車体がシェイクされるものの、通常の段差超え等においては、驚くほどしなやかという印象を持っていると思います。
なお、こういった傾向が強くなったのは997/987以降で、おそらくはタイヤ外形が大きくなったことも影響していそう。
そして992世代の911においては、タイヤを大きく太くすることでタイヤ内エアの容量を拡大し、その反面「空気圧を下げることで」乗り心地を向上させているようですね。
参考までに997/987以降については、シートと車体との取付部に弾力性をもたせることで、シートに伝わる衝撃を緩和している、ともアナウンスされていますが、996/986、997/987世代までは、道路の段差などで「来る衝撃」に備えて体をこわばらせることもあったものの、997/987以降はそういったことがなくなり、身構えることなく段差を超えてゆくことができます。
6.けっこうモノが載る
ぼくはゴルフをしないのでゴルフバッグを積むことはなく、しかしスーツケースだと(専用デザインのリモワが)2つ余裕で載るため、ぼくとしてはとくに不満を感じていない状態です。
車体後部は「ハッチ」を採用しているので(分厚くなければ)長尺モノも積むことができ、ちょっと前まで乗っていたアウディTTに比較しても遜色はない、という印象。
とくに(ミドシップならではの)フロントトランクはかなり深く、相当な容量があるようです。
7.燃費が比較的いい
35,000キロを走るにあたり、最低70回の給油記録が残っていますが、これらを平均すると11.98km/L。
以前に乗っていた981の11.16km/Lに比較しても改善されています。
「ポルシェは燃費を云々するクルマではない」という声もあるかと思われ、しかしポルシェのモットーは「燃費向上の無いパワーアップは行わない」というものなので、燃費向上はポルシェにとって必須の課題だと言えそう。
そして燃費向上のための手段には、「電動パワステ」採用にて補機類を減らし、より多くの馬力を駆動力に変換できるようにしたり、さらには各部の回転抵抗を減少させたりという「パフォーマンス向上に直結する部分もある」ため、ポルシェにとっての燃費改善とは、つまりそれだけ「機械として効率的になった」ということに置き換えることも可能だと思います。
ちなみにポルシェ創業の理由は「自分がほしいと思うクルマ、つまり小型で効率の良いスポーツカーがどこにもなかった。だから自分で作ることにした」ということなので、効率性というのはポルシェにとってもっとも重要なキーワードなのかもしれません。
なお、718へとスイッチしてからはエンジンのフィーリングが大きく変わっていて、それは「(4気筒エンジンのみ)ターボになったから」。
やはりターボラグがあるのは否定できず、そしてターボラグを最小限にするためか「アクセルオフでエンジン回転数がほとんど落ちず(エンジン回転数を維持し、すぐにタービンを回せるようにするため)」、これは今までのポルシェと大きく異る部分です。
ただ、991後期、992世代の(ターボエンジンを積む)911については、それまでの自然吸気エンジンと変わらないフィーリング、そして回転落ちを持っており、ここは718と911との大きな相違点だと考えています。※718に積まれるエンジンは(加給がかからないと)やはりトルクが細く、よってエンジン回転数を上げておく必要があったり、加給がかかる前後のギャップが大きいのだと思われる