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| 今年のル・マン24時間レース参戦車において、ヴァルキリーは唯一の自然吸気V12エンジン搭載車である |
ル・マン開催直前、アストンマーティンが超限定モデル「ヴァルキリーLM」を発表
アストンマーティンがル・マン24時間レースへの復帰を目前に控え、極めて特別な限定モデル「アストンマーティン ヴァルキリーLM」を公開。
このモデルは、世界でわずか10台のみ生産される希少なハイパーカーですが、驚くべきことに、通常のヴァルキリーが誇る1,160馬力の出力ではなく、約697馬力に抑えられた仕様で登場しており、しかしこのスペックはむしろ意図的なもの。
これは「ヴァルキリーLMが、ル・マンで実際に走るヴァルキリーハイパーカーとほぼ同一仕様で設計されている」ことを意味します。
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アストンマーティン ヴァルキリーLMはWEC参戦車両に限りなく近い
ヴァルキリーLMの心臓部は、レースカーと共通のコスワース製6.5リッターV12エンジン。
レース車両と同様に、リーンバーン(希薄燃焼)チューンが施され、出力は約697馬力に”制限さ”れています。
ヴァルキリーLMの主なスペック
- エンジン:コスワース製 6.5L V12
- トランスミッション:7速シーケンシャル
- 駆動方式:後輪駆動
- サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド式トーションバースプリング、調整式ダンパー
- タイヤ:ピレリ製18インチ、鍛造アルミホイール(フロント12.5インチ、リア14インチ)
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レースカーとの違い
- FIAの「バランス・オブ・パフォーマンス(BOP)」用バラストや電子制御は搭載しない
- トルクセンサー制限がなく、オープンループトルク制御を採用
- 一般的な市販燃料が使用可能
インテリアは完全オーダーメイドで、レース仕様のカーボンバケットシート、6点式シートベルト、消火システム、レーシングステアリング(シフトライト&ディスプレイ付)を装備する、とのこと。
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ヴァルキリーLM「オーナー専用ドライバープログラム」も用意
ヴァルキリーLMはただの特別仕様車ではなく、アストンマーティンは、購入者向けに専用ドライバー育成プログラムを用意し、オーナーにプロフェッショナルなレーシングドライバーに匹敵するためのスキルを習得してもらうサポートを提供します。
プログラム内容
- プロドライバーによるマンツーマン指導
- 走行前の座学セッション
- 走行データ&車載映像の解析サポート
- 専用ドライバーキット(ヘルメット、HANS、レーシングスーツ、ブーツなど)
- F1グレードのサーキットで定期的に走行会を実施
さらに、車両の保管・メンテナンス・輸送もアストンマーティンが完全サポート。オーナーは「ヴァルキリーLMパフォーマンスクラブ」に参加し、世界中のサーキットで極上の走行体験を楽しむことができる、とのこと。
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世界に10台だけ。納車は2026年第2四半期から
ヴァルキリーLMは、2026年第2四半期に最初のトラックデイ(走行イベント)を予定しており、その後も四半期ごとに走行イベントを開催予定。※各オーナーには、専用の納車セレモニーも用意されている
「ヴァルキリーLMは、WECやIMSAで実際に走るレースカーとほぼ同一。お客様に最もリアルなハイパーカー・トラック体験を提供するモデルです」
アストンマーティン エンデュランスモータースポーツ責任者 アダム・カーター
まとめ:アストンマーティンの本気が詰まった究極のハイパーカー
近年多くの自動車メーカーが「レーシングカーとほぼ同じ」仕様を持つ市販車を発売していますが、これらは公道走行ができないばかりではなく、もちろん購入費用が高額にのぼり、かつイベント参加のための費用(輸送や整備など)も非常に高額。
しかしそれでも「これだけ多くの」車両が登場するということは「それだけ多くの」需要が存在するということになり、このアストンマーティン・ヴァルキリーLMもまた”引く手あまた”なのかもしれません。
そしてヴァルキリーLMは、単なる限定車ではなく、アストンマーティンのレーススピリットを体感できる究極の一台でもあり、「ル・マン復帰車両と同じ仕様を持つ」こと、そしておそらくはヴァルキリーのようなプロジェクトが登場しないであろうことから高い価値を誇るであろうと推測されています。
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