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| エクステリアが「キープコンセプト」なために大きく変わっていないようにも見えるが、実際には飛躍的な進歩を遂げている |
新型コンチネンタルGTスピード/GTCスピードの顧客はその「豊富なオプション」に悩まされることになりそうだ
さて、ベントレーが新型コンチネンタルGTスピード、そしてそのオープン版であるコンチネンタルGTCスピードを発表。
これら新型コンチネンタルGTは「4代目」となりますが、コンチネンタルGTは現代のベントレーの成功の礎を作った立役者であり、近代ベントレーにおける「もっとも重要なモデル」です。
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ベントレーが第4世代の新型コンチネンタルGTを予告。なお「販売するベントレーの3台に1台がコンチネンタルGT」、そして初代はベントレーの売上を10倍に
Image:Bentley | 新型コンチネンタルGTは「よりベントレーらしく」美しく高級、そしてパワフルに | 世界的に見て、ここまで支持される2ドアクーペはかなり珍しい存在である さて、ベントレー ...
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参考までに、今回の新型コンチネンタルGTよりデザイナーが交代しており、しかし(時期的なものを考えると)交代前と交代後のデザイナー双方の仕事がこの新型コンチネンタルGTに反映されているのかもしれません。
そして予告されていた通り、これは「バカラル」「バトゥール」よりインスピレーションを得た新世代のデザインを採用する「第一号」でもありますね。
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ベントレーが「ボルボのデザイナー、ロビン・ペイジを獲得した」と発表。なお同氏はもともとベントレー出身で初代コンチネンタルGTを手掛ける
| ベントレーは前デザイン責任者の辞任にあわせ、次世代モデルのデザイン言語をいったん白紙に戻す可能性もありそうだ | それにしてもベントレーのデザイナーはよく交代が報じられる さて、ベントレーが「ボル ...
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新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードはこんなクルマ
まず、この新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードの核となるのは「V8ウルトラパフォーマンスハイブリッド」パワートレーン。
4リッターV8ツインターボエンジンにPHEVパワートレーンを組み合わせた新世代のユニットで、現行のW12エンジンよりも19%のパワーアップ、11%のトルクアップを実現しています。
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ベントレーがW12エンジンよりも強力な「V8ウルトラパフォーマンスハイブリッド」を公開。おそらくはランボルギーニ・ウルスSEと共通、800馬力近くを発生か
| おそらくはこれを積むベンテイガ、コンチネンタルGTは驚愕の最高速を誇ることになるだろう | ただし現時点ではスペック詳細が公開されていない さて、ベントレーは今年にも「30年近く使用した」伝統のW ...
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このパワーユニットはシステム合計で782馬力 / 1,000Nm(奇しくも同日に発表された新型BMW M5とほぼ同じ数字である)を発生させ、ピュアエレクトリックモードでは81kmの走行が可能という環境性能を持ちわせますが、コンチネンタルGTスピードの巨体を(0-100km/hまで)わずか3.2秒で加速させ、最高速355km/hまで引っ張ることができるという高性能ユニットです。※バッテリーパックは25.9kWh、外部からの給電だと2時間45分で充電が完了
なお、これに組み合わせられるトランスミッションは8速デュアルクラッチ、そして駆動方式はもちろん4WD。
新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードの外観は従来モデルとはそれほど大きく変わっているように見えず、人によっては「どこが変わったのかわからない」くらいかもしれませんが、ベントレーによれば「68%のコンポーネントが新設計されている」。
パワートレーンに次ぐ目玉は「新しく設計された、高度なパフォーマンス・アクティブシャーシ」であり、これは全輪操舵、トルク ベクタリング、新世代の電子安定制御ソフトウェア、全輪駆動、アクティブ アンチロール システムを組み合わせたもので、さらには新しいデュアルバルブ式ダンパーシステムと高度なエアサスペンションシステムも装備されており、これは新型ポルシェ・パナメーラ同様に「大きなバッテリーを備えるPHEVという特徴を最大限に活用した」新世代の電子制御”アクティブ”シャーシだと考えて良いかと思います。
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新型ポルシェ パナメーラ ターボS Eハイブリッドには「ガソリン車には搭載できない」HVならではのサスペンションが設定されている。今後911HVにも拡大か
| 今後、こういった「ハイブリッドありき」な新世代のコンポーネントが多数登場するものと思われる | パナメーラはいつの時代も「最新」のテクノロジーをまとって登場するのが常であった さて、ポルシェは新型 ...
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なお、ベントレーはかつて「ロールス・ロイスのスポーツモデル」としてのポジションが与えられていた時期もあり、かつル・マン24時間レースには初回からエントリーを行い、さらには参戦二年目(1924年)で優勝を飾り、その後は通算で6度もの総合優勝を獲得しています。
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ベントレーが6回目のル・マン優勝から20周年、ル・マン100周年を祝いコンチネンタルGT ル・マン・コレクションを発表。100年前のル・マンでベントレーは最速ラップを記録していた
| ベントレーはル・マン24時間レースの第一回目に参戦して最速ラップを記録し、第二回目で優勝を記録している | しかし最初の参戦時に創業者は「クルマはが耐えることができない。完走は無理だ」と言ったもよ ...
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つまり、ベントレーは(現代では高級車というイメージが強いものの)モータースポーツにおける豊かな歴史を持つ自動車メーカーであり、よってベントレーにとってパフォーマンスは「快適性と同じくらい」重要な要素です。
そのため新型コンチネンタルGT/GTCスピードにおいても「加速や最高速」が全面に押し出されているわけですが、新型コンチネンタルGT/GTCスピードは単なる直線番長ではなく、重量配分を前後50:50に設定しており、ベントレーいわく「ファン・トゥ・ドライブ」。
さらにその高度な制御システムにより、いかなる状況においても車体を安定させ、オーバーステアを軽減し、車両を制御可能な状態に保つことができるとされ、一方で「ダイナミック モード」を選択するとドリフト許容の設定へと変化することになり、ESC(車両安定化)システムを完全にオフにすることもできるのだそう。※これをOFFにできるということは、それほど素性に優れるという自信の表れであると考えられる
次に新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードのスタイリングについて触れてみると、上述の通りバカラルやバトゥールから受け継がれたディティールも見られるものの、ベントレー自身は1952年型コンチネンタルRタイプが新型コンチネンタルにインスピレーションを得た」と述べており、とくにそれはシングルヘッドライトに現れているのだそう。
さらにベントレーは「静止時でも躍動感や存在感を放つよう」慎重にデザインを行い、フロントだと「サラブレッドの直立した優雅さ」にインスパイアされたと述べ(グリル上にあるセンサーがちょっと残念であるが、これは何ともできなかったのだと思われる)、リア エンドも新しいバンパー、テール ライト、テールゲートのデザインをもって再構築されることに。
さらにベントレーはアクティ スポイラーを必要とせずにリア ダウンフォースを高める新しいリアエンド形状を考案し、これによって”より調和のとれた”デザインが実現しています。※この複雑な面構成には単純に感嘆させられる
なお、テールランプは立体的になり、アウターレンズはボディから突出した形状、そしてインナーは高級クリスタルのようなダイヤモンドパターン。
ヘッドライトのインナーも同様ですね。
ちなみにこのホイールのデザインは(ベントレーによれば)大型のネコ科の動物を参考にしたといい、具体的にこのスポークは「トラの爪」にヒントを得たのだそう。
(22インチ)ホイールはブラック、シルバー、またはダーク仕上げを選ぶことができ、いずれもポリッシュ加工と組み合わせられます。
なお、サイドアンダーからば「B」を模したサイドギルがなくなって「すっきりした」印象となっていますが、これもまた新しいベントレーの進む方向のひとつなのかもしれません。
そして「新しい」という部分だボディカラーも同様で、このグリーン(トルマリングリーン)は”ベントレーグリーンの現代的解釈”だと説明されています(やはり同日に発表された新型BMW M5のイメージカラーもグリーンであるが、近年いずれの自動車メーカーもカラーパレットからグリーンを削除する傾向にあったため、逆にグリーンが新鮮に見え、復活へと向かうのかもしれない)。
新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードはこんなインテリアを持っている
次に新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードの内装を見てみると、これまでのベントレー通り、いやそれ以上に「贅沢の極み」。※ぼくはベントレーのこのインテリアだけでも車両価格を支払うだけの価値があると考えている
最新のコンチネンタルGTでは、ハイファッション業界にインスパイアされた、新しい精密なキルトパターンを誇っており、ベントレーによると「シートとドアにこの技術を適用することで、乗員が包み込まれるような環境が生まれる」。※たしかに囲まれ感や連続性が増しているようだ
さらにパワーシートは20方向に調整可能だといい、オプションのウェルネスシートパッケージを指定すれば(フロントシートに)前部座席に姿勢調整機能と空調機能を追加でき、革新的かつ”大人気の”回転ディスプレイは、30色のアンビエント ムード照明とともにこのパッケージにセットされています(標準装備化はなされていないようだ)。
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ベントレーのダッシュボードに組み込まれる「回転ディスプレイ」のオプション価格は約85万円。「それでも70%の顧客がこれを選択している」
| ベントレーのオプションは「とんでもなく高価」なことでよく知られている | そしておそらく、今後もこういったオプションは増え続けてゆくだろう さて、ベントレーの(最新の)クルマには「ローテーションデ ...
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オーディオシステムについては標準の10スピーカー/650ワットシステムのほか、オプションでは26スピーカーを備えるBang & Olufsen(1,500ワット)、さらには8つのサウンドモードとアクティブベーストランスデューサーを備えNaim製2,200ワット/18 スピーカー オーディオ システム(たぶんとんでもなく高価)が用意されています。
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参考ベントレー・バトゥールのネイム製オーディオはオプション価格460万円。その価格はレクサスNX一台分、実力やいかに
| ベントレーの顧客に提供するモノだけに、おそらく「価格に見合う価値」があるのだろう | ブルメスターの導入以降、自動車用オーディオシステムの価格が飛躍的に高くなったように思える さて、ベントレーはコ ...
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もちろん、現在ではベントレーの顧客の75%が選択するというパーソナリゼーションプログラム「マリナー」の活用も可能であり、これによって様々な「自分仕様」を実現できることとなりそうですね。
現時点では新型コンチネンタルGTスピード / コンチネンタルGTCスピードの価格は発表されていないものの、仮に車両本体価格がリリースされたとして、様々なオプションを装着したり、マリナーを活用したりすると、乗り出し価格は(車両本体価格と)かけ離れた金額になるのかもしれません。※ただしこれはベントレーに限ったことではなく、近年のプレミアムカーでは”通例”となっている
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ベントレーの顧客にとっての最重要事項は「特注素材やカラーによるカスタム性」。バトゥールに用いられた4つの仕様が公開される
| ベントレーのパーソナリゼーションプログラム「マリナー」の利用率は年々高まっている | とくに少量生産モデルは「どれだけ自分の理想を実現できるか」への挑戦を行うオーナーが多そうだ さて、ベントレーは ...
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新型ベントレー・コンチネンタルGTスピードのプロモーション動画はこちら
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参照:Bentleyley