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| EV生産は「一粒の静電気」も許されない。英国高級車の新たな挑戦 |
ベントレーは製品だけではなく「製造現場」も改革
高級車の代名詞、ベントレーが初のバッテリー電気自動車(BEV)の年内発売に向け、製造現場の「服」まで一新したと発表。
その名も「ドリームファクトリー・ワークウェア」なるもので、一見すると洗練されたベントレーのロゴ入りユニフォームのように見えますが、実はこれ、「カーボンファイバー(炭素繊維)」を組み込んだハイテクウェアなのだそう。
なぜ、世界最高峰の職人たちにこの装備が必要なのか?そこには、EV時代の精密製造に欠かせない「静電気との戦い」があるのだと説明されています。
30秒でわかる。本記事の要約
- 静電気を完全封鎖: カーボンファイバーを採用し、EVの心臓部である精密電子機器を静電気破壊から守る
- ダイバーシティ対応: 現場の声を反映し、あらゆる体型や役割にフィットするインクルーシブなデザイン
- サステナブルの極致: 廃棄時にはリサイクルされ、埋め立てゼロを実現する循環型サイクルを構築
- ブランドの進化: 作業服に至るまでベントレーの最新デザイン言語を反映し、士気を高める

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なぜ「カーボンファイバー」の服が必要なのか?
ベントレーの本拠地、クルー工場で導入されたこのウェアは、「静電気保護区域(EPA)」での使用を前提に設計されているといい、従来の作業服では人の動きによって”微弱な静電気=ESD”が発生していたそうですが、ガソリン車の製造現場では問題にならなかったこの小さな火花が「EVの設計現場=ドリームファクトリーにおいては」高度なコンピューターユニットやバッテリーセンサーへと致命傷を与える可能性があるもよう。
よってベントレーは記事にカーボンファイバーを織り込むことで静電気が溜まる前に逃がす「導電性」を持たせ、製品のクオリティを極限まで高めているというわけですね。
新型ワークウェアのスペックと特徴
最高峰の職人が纏う「ドリームファクトリー」仕様のスペックは以下の通りです。
| 項目 | 特徴・詳細 |
| 主要素材 | カーボンファイバー(炭素繊維)配合 |
| 主な機能 | ESD(静電気放電)適合、高耐久・高柔軟性 |
| デザイン理念 | インクルーシブ(多様なサイズ展開)、共同制作 |
| 環境対応 | 責任ある調達、埋め立て廃棄ゼロ(完全リサイクル) |
| 目的 | ブランド初となるBEV生産の安全性と品質維持 |

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現場主義:職人と共に作り上げた「未来の制服」
このプロジェクトの特筆すべき点は、経営陣が押し付けたものではなく、現場のスタッフと「共同開発(Co-created)」されたこと。
- 機能美の追求: 職人の動きを妨げないシルエットと、ベントレーの最新モデルに通じるモダンなデザインを融合
- インクルーシブ設計: どんな性別や体型のスタッフでも快適に動けるよう、幅広いサイズとフィット感を用意
- 循環型社会への貢献: 役目を終えた制服は専門のスキームで回収され、新しい素材へと生まれ変わる
結論:ベントレーの「Beyond100+」は細部に宿る
ベントレーが掲げる戦略「Beyond100+」は「売るクルマのパワートレインをエレクトリックにする」だけではなく、そのクルマを作る「人」の安全を守り、作る「環境」すらクリーンにし、最高の一台を生み出すための「現場」を研ぎ澄ますことも含まれます。
カーボンファイバー製の作業服はただのユニフォームではなく、ベントレーが次世代のラグジュアリー・モビリティの旗手となるための「決意の証」とも言うべきシンボルなのかもしれません。

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【関連情報】知っておきたい新知識:「ESD」って何?
上で出てきたESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)は現代の製造業において最も恐れられている現象の一つ。
冬場にドアノブに触れて「パチッ」となるあの現象ですが、半導体などの精密部品にとっては、落雷に匹敵する衝撃となり、特にEVは「走る精密機械」もあるため、目に見えない静電気が原因で後々故障が発生する「潜在的欠陥」を防ぐことがブランドの信頼性に直結するというわけですね。
ベントレーが作業服にまでカーボンファイバーを導入したのは「目に見えないリスクをゼロにする」という究極のこだわりの現れでもあり、そして「こういったリスクがある」ということにも驚かされ、いよいよEVは「そのへんの修理工場」では扱えないシロモノということになりそうです。
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