
Image:Bentley
| 64年ぶりの大転換と、より洗練されたエクステリア |
CEO交代後、ベントレーの変化は「見てわかる」ように
英国のラグジュアリーカーブランドであるベントレー・モーターズは2026年6月2日、同社のフラッグシップ4ドアセダンである新型「フライングスパー(Flying Spur)」を世界初公開。
今回の全面刷新は、単なるラグジュアリーセダンの枠を超え、4世代目となる新型「コンチネンタルGT」ファミリーとデザインDNAを完全に同期させたことが最大の特徴で、ここでは「デザインがどう変わったのか」「スペックや走行性能の進化は?」という疑問に対し、クラフトマンシップ溢れるディテールから心臓部のハイブリッドシステムまで、その全貌を網羅してみたいと思います。

Image:Bentley
この記事の要約(3つのポイント)
- 伝統の革新:1962年の「S3」以来となる、ベントレーのセダンとしては64年ぶりとなる「丸型1灯フロントヘッドライト」のデザインを採用
- 過去最強の「S」モデル復活:新世代のV8プラグインハイブリッド(PHEV)を搭載し、最高出力680馬力、トルク930Nmというスーパーカー級の異次元パフォーマンスを獲得
- オーディオの頂点へ:1台2万5000ポンド(約500万円)の価値を持つ超高級音響システム「Naim for Mulliner」を惜しみなく投入した限定コレクションを展開

Image:Bentley
ベントレー 新型フライングスパー:車種概要
新型フライングスパーのハイライトは、フロントフェイスの大胆な変更にあり、ベントレーのセダンとしては1962年の名車「S3」以来、実に64年ぶりとなる「単眼(1灯)フロントヘッドライト」が再導入され、これによって4灯ライトを採用していた先代モデルから一変し、クリーンでモダン、かつ滑らかなボディサーフェス(表面処理)を手に入れています。
加えてラジエーターグリルはフロントバンパーに統合され、より低くワイドな構えを強調するとともに、フロントフェンダーのサイドベント(通気口)が廃止され、すっきりとしたフェンダーラインにブランドバッジが配される仕様へと変更されたほか、リヤセクションも流れるようなラインで再構築され、ボディ同色のナンバープレートサラウンド、そして新意匠のリヤランプが気品ある佇まいを演出することに。
Azure(アズール)およびSモデルには、足元を引き締める新しい22インチホイールフィニッシュがオプション設定されている、とアナウンスされています。

Image:Bentley
ベントレー新型「フライングスパーS」主要スペック
新型フライングスパーの生産は英国クルーにあるベントレーの聖地(本社工場)で2026年9月に開始され、早ければ2026年第4四半期(10〜12月)初頭から世界各国へのデリバリーが始まる予定なのだそう。
そして今回の発表における最大の目玉は、走りを愛するドライバーに捧げるスポーツグレード「フライングスパーS(Flying Spur S)」の復活で、そのスペックは以下の通り。

Image:Bentley
| 項目 | スペック・仕様詳細 |
| パワートレイン | ウルトラ・ハイパフォーマンス・ハイブリッド(V8ツインターボ + 電気モーター / PHEV) |
| システム最高出力 | 680 PS(671 bhp) ※先代比 +130 PS / 約20%のパワーアップ |
| システム最大トルク | 930 Nm |
| 0-100 km/h 加速 | 3.7秒(0-60 mph:3.6秒) |
| 最高速度 | 307 km/h |
| 駆動方式 | アクティブAWD(全輪駆動) + 電子制御リミテッドスリップデフ(eLSD) |
| シャシー制御 | ベントレー・パフォーマンス・アクティブシャシー(48Vアクティブスタビライザーなど) |

Image:Bentley
官能のスポーツエステティックと選べるシート
フライングスパーSのインテリアおよびエクステリアにはクロームパーツをグロスブラックに置き換える「ブラックライン仕様」が適用され、ダークティント仕上げのLEDマトリックスヘッドライトやスポーツエキゾーストのテールパイプフィニッシャーが”ただ者ではない”雰囲気を醸し出すことに。
インテリアだとベントレーの職人が1脚あたり12時間をかけて手作業で仕立てるシートが極上のウェルネス(快適性)を提供し、これはフルーテッド(縦溝)や先進的なキルティングなど計5つのスタイルから選択が可能となる、と説明されています。

Image:Bentley
新カラー「ダークティール」の追加
今回、エクステリアカラーに「ダークティール(Dark Teal)」が新色として加わっており、これは緑のニュアンスを含んだ美しいメタリックのミッドブルー、そして自然からインスピレーションを得た洗練されたカラーです。
微細なメタリックフレークがボディ表面に優雅な深みを与え、新型フライングスパーの美しい造形美をより一層引き立てることとなりますが、この「グリーン」はフェラーリにおいても復活の兆しを見せており、つい先日だとマツダからもロードスターへとグリーンを復活させたことが発表されていますね。

Image:Bentley
-
-
マツダが放つ究極の機能美。NDロードスターに初の緑系色「ジンクグリーンメタリック」が新しく設定、洗練され落ち着いた佇まいに
Image:MAZDA | さすがマツダが「ボディカラーはデザインの要素の一つである」というだけのことはある | まるで最初からNDロードスターに設定されていたかのようなフィット感 マツダファン、そし ...
続きを見る
オーディオファイル(音響狂)を唸らせる独自の贅沢
ウルトラ・ラグジュアリーセダン市場には、メルセデス・マイバッハ Sクラスや、ロールス・ロイス・ゴーストといった強力なライバルが存在し、しかし新型フライングスパーは、それらの快適性重視のショーファードリブン(お抱え運転手付きのクルマ)に対し、「ドライバー自らがステアリングを握り、スーパーカーを凌駕する走りと至高の音響を楽しむ」という独自のポジションを築いています。
500万円の音響を積む「Virtuoso Collection」の衝撃
今回ベントレーが提示した最も贅沢な提案が、特注部門マリナー(Mulliner)が手がける限定シリーズ「ヴァーチュオーソ・コレクション(Virtuoso Collection)」。
【音響の頂点:Naim for Mullinerシステム】
・開発背景:数千万円クラスの限定車「バトゥール(Batur)」のために約500万円(2万5000ポンド)の開発コストをかけて作られたシステムを移植
・スピーカー数:21個
・技術的特徴:高級オーディオ「Focal(フォーカル)」の最高峰スピーカー「グランド・ユートピア」由来の、特許取得済み「Mプロファイル」単一構造コーンを採用

Image:Bentley
このシステムは、スピーカーの3大要素である「剛性・軽量性・ダンピング(減衰性)」を完璧に融合させ、歪みを極限まで抑えた圧倒的な臨場感とディテールを再現するもので、これを装着すると室内の随所にシャンパンゴールドのディテールや専用の刺繍が施され、静かな「ソプラノ」、力強い「テナー」、深みのある「ベース」という3つのテーマをもって富裕層の五感を刺激することとなるもよう。
-
-
ベントレー・バトゥールのネイム製オーディオはオプション価格460万円。その価格はレクサスNX一台分、実力やいかに
| ベントレーの顧客に提供するモノだけに、おそらく「価格に見合う価値」があるのだろう | ブルメスターの導入以降、自動車用オーディオシステムの価格が飛躍的に高くなったように思える さて、ベントレーはコ ...
続きを見る
結論:新時代の富裕層が求める「200%の非日常」を具現化した1台
ベントレー新型フライングスパーは、自動車業界全体が電動化へとシフトする過渡期において、内燃機関の持つエモーション(V8サウンドの咆哮)、そして環境性能を高めたプラグインハイブリッドという「今とりうる最高の最適解」を見事に形にしたクルマ。
64年ぶりに復活した丸型1灯のフロントマスクは、見慣れた4灯ベントレーのイメージを新鮮に裏切り、これからのブランドの未来を示すアイコンとなる可能性を秘めています。
ショーファーカーとしての極上の安らぎ、自らステアリングホイールを握ってサーキットを攻め立てられる680馬力の機動力、そしてコンサートホールさながらの音響空間。そのすべてを妥協なく1台に詰め込んだ新型フライングスパーは、2026年後半のラグジュアリーカー市場において、他を寄せ付けない圧倒的な王者の風格を放つことになるのかもしれません。

Image:Bentley
-
-
空白だったベントレーCEOの座にポルシェにて918スパイダーを開発した高位エンジニア、フランク=ステファン・ヴァリザーが就任。ベントレーの一層のハイパフォーマンス化に期待
| フォルクスワーゲングループは他社からの人材獲得ではなく「生え抜き」を好むようである | さらにはエンジニアの経験を持つ人物を重視しているようだ さて、先代CEOであるエイドリアン・ホールマーク氏が ...
続きを見る
なお、ベントレーのCEOは(2年前に)ポルシェのGT部門から移籍してきたフランク=ステファン・ヴァリザー氏へと交代していますが、同氏の就任以降ベントレーは次々と新しい方針を打ち出しており、「V8ウルトラパフォーマンスハイブリッド」の採用やコンチネンタルGTスーパースポーツの発表など「ハイパフォーマンス路線」へと舵を切っており、これはロールス・ロイスをはじめとする競合他社とは大きく異なる動きです。
そしてこれこそが、親会社であるフォルクスワーゲングループが同氏を「ポルシェから異動させた」理由なのだと思われ、今後もこの路線が継続されるのでは、とも考えています。
-
-
【500kgの軽量化】ベントレーが重厚なGTカーを「モータースポーツ直結のスーパーカー」に変えた理由—新型コンチネンタルGTスーパースポーツの本質、そして過激な中身とは
Image:Bentley | ベントレーといえば「重厚な乗り味」で知られるが | グランドツアラーの常識を覆す「純粋な走り」への回帰 ベントレー・コンチネンタルGT(Continental GT)と ...
続きを見る
合わせて読みたい、ベントレー関連投稿
-
-
「走るコンサートホール」、文字通り究極の音を纏うベントレー誕生。限定車「ザ・ヴィルトゥオーゾ・コレクション」が定義する車内音響の頂点とは
Image:Bentley | 最近のベントレーは「走り」だけではなく高級感をも追求 | 販売実績を見る限り、顧客からも高い評価を受けているようだ さて、先日の決算発表では「販売台数は減ったが売上はほ ...
続きを見る
-
-
ベントレーがW12エンジンよりも強力な「V8ウルトラパフォーマンスハイブリッド」を公開。おそらくはランボルギーニ・ウルスSEと共通、800馬力近くを発生か
| おそらくはこれを積むベンテイガ、コンチネンタルGTは驚愕の最高速を誇ることになるだろう | ただし現時点ではスペック詳細が公開されていない さて、ベントレーは今年にも「30年近く使用した」伝統のW ...
続きを見る
-
-
ベントレーは全ラインアップを電動化へと入れ替えるかわりに「ハイブリッドを核にした緩やかな電動化」へ。「高級車市場では誰もがEVを拒否しています」
| 現在の自動車業界では普及価格帯から高級車市場に至るまで「すべての計画」を再考する必要性に迫られている | なぜか英国ブランドはいずれも「電動化」に対して熱心に取り組んでいる さて、ミニ、ロールス・ ...
続きを見る
参照:Bentley











