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フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当

フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当

Image:Evoluto Automobili

| このフェラーリF355レストモッド「355 バイ エボルート」はデザイン、機能、パフォーマンスなど全てにおいてオリジナルのF355を尊重している |

ここまでのレストモッドを実現できたのはスポーツカーのデザインを生業としてきたイアン・カラムが参画したからこそであろう

さて、現在ポルシェ911のレストモッドが花盛りといった状況ですが、今回エボルート・アウトモビリ(Evoluto Automobili)よりフェラーリF355のレストモッド「355 バイ エボルート」が誕生。

なお、このエボルートには(ポルシェ911のレストモッドで高い評価を受ける)ガンサーワークスにてテクニカル ディレクターを7年間務めた人物が関わっており、この355 バイ エボルートを世に送り出すに際し以下のように語っています。

(F355の発売から)30年を経て、私たちはF355を現代のフェラーリの基準に合わせて再設計し、最新のテクノロジーと素材を活用して、生き生きと運転できるクルマを作りました。ターボチャージャー、ハイブリッド、デュアルクラッチ、電子制御ダンパーが主流の世界において、我々エボルートが持つ、アナログの最高峰哲学がこのクラシックな フェラーリF355に新たな命を吹き込み、今日では比類のない魅力的な運転体験を提供します。

エボルート アウトモビリ テクニカル ディレクター アムジャッド・アリ
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追求したのはパフォーマンスよりも「アナログ」

フェラーリF355はかのジェレミー・クラークソンをして「史上最高のスポーツカー」と言わしめたことがあり、多くのエンスージアストもそれに異論はないかもしれません。

F355が高い評価を受けるのはそのデザインのみならず、自然吸気V8エンジン、マニュアル・トランスミッションといったピュアさ、そしてそれらがもたらすドライビングエクスペリエンスであると考えてよいかと思いますが、エボルートもまたそこに着目し「とんでもない馬力や加速、サーキット走行性能を追求する」のではなく、あくまでも「運転して楽しい、アナログの最高峰」を追い求めてこのレストモッドを製作しています。※過剰な馬力やテクノロジーに対するアンチテーゼであるとも捉えることができる

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よって出力は420馬力と「控えめ」で、しかしボディパネルや車体構造にカーボンファイバーを大量に投入することで軽量化と高剛性化を実現しており(ねじり剛性が23%向上している)、車体重量はわずか1,250kgにとどまります。

ちなみに加速性能や最高速には言及されておらず、それは上述の通り「355 バイ エボルートは数字だけの性能を追い求めたクルマではないから」だと思われます。※加えて、究極のグリップを求めてアダプティブサスペンションを導入するのではなく、ある程度のテールスライドを許容し、(当時のスポーツカーがそうであったように)ドライバーがコントロールできる範囲を残していると説明されている

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エクステリア/インテリアのスタイリングを手掛けたのはジャガーやアストンマーティンで活躍したデザイナー、イアン・カラム氏ですが、同氏は自身の過去の作品を「最新の技術と素材で」レストモッドした「ヴァンキッシュ25」を発売したこともあり、レストモッドにはたいへん理解と造詣が深い人物だと考えていいのかも。

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F355の特徴の一つでもあるポップアップヘッドライトを保持し、しかし光源には最新のLEDを用いることで独特のDRLシグネチャーを実現しているほか、新しいデザインのドアミラーやフラッシュマウント構造を持つドアハンドル、各部に追加されたベントやストレーキといったディティールを持っていますが、全体的にはピニンファリーナ(マウリツィオ・コルビ)のオリジナルデザインに忠実で、しかし5本スポーク形状を持つホイール(大きくなりすぎない19インチ)、「3本」スリットなどフェラーリの過去へのオマージュが強く感じられる仕上がりです。

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Evoluto Automobili

搭載されるエンジンは英国のDRVNアドバンスド・エンジニアリングによるもので、トランスミッションとエンジンを接続するクイル シャフトのリニューアル含む、じつに200を超える新しい、そして再設計されたパーツが用いられているそうですが、これらの恩恵によって振動が軽減され、CNC加工が施されたポート ヘッド、さらに大型の吸気バルブによってエンジンの吸入効率が改善され、等長ヘッダーを備えたチタン製エキゾーストにより排気効率を向上させるとともに「快音」を確保しているのだそう(これらはまさに、オリジナルの美点を活かしながらも、現代の素材と技術によって資質を引き上げたということになる)。※このほか、カムシャフトの再設計によってプロファイルも変更されている

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フェラーリF355のレストモッド、355 バイ エボルートはこんなインテリアを持っている

インテリアはアルカンターラにカーボンファイバー、そしてアルミニウムをメインに構成され、そのアプローチはシンプルかつフェラーリの文法に則ったもの(このあたり、さすがはイアン・カラムである)。

当然ながら「ゲート式シフター」が再現され、ダイヤルによる温度調整機構をとり入れるなど、細部に至るまで「アナログ」にこだわっているようですね。

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Evoluto Automobili

なお、この355 バイ エボルートは55台のみが限定にて製作され(価格については公開されていない)、オーダーするには「ドナー」となるフェラーリF355が必要です。

エボルートがこのクルマをコンプリートカーとして「販売」しないのは、(もし販売すると)改造フェラーリによって利益を得たとして訴訟の対象となる可能性があるためで、よってあくまでも「提供するサービスは”カスタムのみ”である」という範囲に留めているわけですね。

そしてやはり、フェラーリとの不毛な争いを避けるためにフェラーリのエンブレムやバッジ類はすべて取り外され、「Evoluto」へと置き換えられています。

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この355 バイ エボルートはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにてデビューを飾り、その後は海を渡ってカリフォルニアのモントレー・カー・ウィークにて展示されるそうですが、現時点でどれくらい受注が入っているのか、あるいは残っているのか明かされておらず、しかし幸運な「受注枠獲得者」は外装はもちろん、内装ではシートやメーター類、そして素材に至るまで事細かにカスタムを行うことができるとされ、55台全てが固有の仕様を持つことになりそうですね。

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参照:EvolutoAutomobili

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