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衝撃!マクラーレンF1設計者、ゴードン・マレーのリリースする新型ハイパーカー”T.50”は「アルピーヌA110がベンチマーク」

2019/12/23

| アルピーヌA110が優れたクルマであることは十分理解しているが |

あの伝説のクルマ「マクラーレンF1」のデザイナー、そして現在その後継とも言える「IGM T.50」を開発中のゴードン・マレー氏。
これまでにも数々のレーシングカーを製作し、実績を出してきた人物ですが、今回新型ハイパーカー、T50のベンチマークが「アルピーヌA110」であるという衝撃の事実をカーメディアに対し語っています。

このT.50は「ハイブリッドハイパーカー」と分類することができ、パワートレインにはコスワース製の3.9L/V12エンジン(レブリミットは12,100RPM)と48ボルトISG(マイルドハイブリッド)搭載にて700馬力、トランスミッションは6速マニュアル、駆動輪は後輪のみ、車体重量は980kg。
シートレイアウトはF1よろしく、ドライバーがセンターに座り、両脇にパッセンジャーが座る「3人乗り」。
そして何よりも驚きなのは、車体後部に「フロア下のエアを吸い取って排出するファン(扇風機)」がついていることです。

本当に扇風機ついていた!車体後部に40cmのファンを装着したハイパーカー、ゴードン・マレー”T.50”の姿と機能が公開

ゴードン・マレーはまず自らがドライバーである

こんな感じで「想像を超えた」クルマを作ってくるのがゴードン・マレー氏が「鬼才」と呼ばれるゆえんですが、そんな同氏であってもクルマを開発する際にはなんらかの「ベンチマーク」を用いる模様。
たとえばマクラーレンF1(1993年)開発の際はホンダNSXをベンチマークとしており、実際に自身でNSXを日常的にドライブしたうえで「NSXを超える」クルマを作ろうと考えたわけですね。
なお、NSXについて高い評価を与えているのはドライバビリティ、エンジン、そして何よりも「乗りやすさ」であったと言われ、実際にマクラーレンF1のためにホンダへとエンジン供給を打診したことも(これについてはホンダが断ったためにBMW製V12に)。

ただ、ゴードン・マレー氏がなにかをベンチマークとするのは「リスペクト」「模倣のため」ではなく、「それを遥かに超え、そのクルマを過去のものにするため」であり、実際にマクラーレンF1では「カーボンモノコック」「センターシート」「トランクをホイールベース内に(NSXはリアオーバーハング)」といった独自の構造を採用しています。

ちなみに、ゴードン・マレー氏は完成したマクラーレンF1をして、「マクラーレンF1が10点だとすると、ホンダNSXは7点」とも述べていますね。

マクラーレンF1設計者、ゴードン・マレーが「自分以外のだれもF1のようなクルマを作れない。だから自分で後継モデルを作る」。V12、MTで1000キロ以下

そして今回、ゴードン・マレー氏が語ったのが「T.50を開発しようと考えたとき、まずはロータス・エヴォーラをベンチマークにしようと考えたが、アルピーヌA110にその対象を変更した」。

なんでも同氏いわく、ロータス・エヴォーラは「今まで実際に自分が所有してきた中ではトップリストにある」ためにT.50設計の参考にしようと考えたものの、ちょうど1年前にアルピーヌA110が納車され、「隅から隅まで2ヶ月かけて検証した結果」、これがロータス・エヴォーラを超えるクルマであると判断することになり、よってこれをベンチマークに使用することにした模様。

スポーツカーは「基本性能」がすべて

なお、同氏はアルピーヌA110について「そのドライバビリティ実現のために、何一つトリック(電子制御)を使用しておらず、ただただ基本的な設計や性能が優れる」とコメント。
ただ、これはロータスがエヴォーラにトリックを用いていたということではなく、「同じ観点(トリックなしのスポーツカー)として見たときにアルピーヌA110が優れる」ということなのだと思われ、つまり同氏は「いわゆるハイテクマシン」ではなく、「シンプルなレーシングカー」を作るためのセオリーに従ったクルマが好みなのだと思われます。

ちなみにロータスは多くのメーカーが一目をおく会社であり、いくつかの会社が「ハンドリング」についてロータスに意見を求めたり、メルセデスAMGがハイパーカー「One」を開発する際にもロータスの協力を仰いだという話も(実際どうなったのかは続報がない)。

ロータスはつい先日、「電子制御を一切搭載しない状態で」そのエレクトリックハイパーカー「エヴァイヤ」のテストを開始しましたが、これもロータスが「基本性能を見極め、まず基本性能を追求するため」にとった手法なのかもしれません。

【動画】スゴいなこのテールランプ!市販スペックのロータス・エヴァイヤが走行テストを開始。2000馬力をトラクションコントロールなしで走らせる

そのほか、ロータスは「ひとつの部品に2つ以上の機能を兼ねさせる」ことで構造のシンプル化、パーツ点数削減を行っており、フェラーリも「ポルトフィーノ」設計の際には”ロータスを参考にした”ともコメントしていますね。

フェラーリ・ポルトフィーノの設計はロータスを参考に。その結果部品点数はカリフォルニアT比で40%減

よって、ゴードン・マレー氏の考え方、そしてロータスやアルピーヌの考え方は「ハイパワーなクルマを、電子制御によってコントロールし、速く走らせる(ある意味ではポテンシャルを押さえつけているとも言える)」のではなく、「電子制御がなくとも速く走れるクルマ(ポテンシャルを開放しており、持てるもの全てを引き出すという点では効率性に優れる)」ということなのかもしれませんね。

なおアルピーヌA110については実際に運転した印象、そしてそれ以前に構造や採用されるコンポーネント、その結果達成された軽量性には驚かされ、「ポルシェ718ケイマンを購入したことを後悔させられた」1台。
実際に買い替えも検討したものの、ディーラーが遠方にしかないことで購入を見送っている(保留している)段階です。

【試乗:アルピーヌA110】ポルシェ718ケイマンのライバルではなくまったくの「別モノ」。実際に運転してわかったその真実

アルピーヌA110を見てきた!これほどまでにデザインと機能、品質をバランスさせたクルマは他に見たことがない(前編)

アルピーヌA110を見てきた!スーパーカー並みのデザインに高級車の質感を持つインテリアはスポーツカー最強クラス(後編)

ちなみに(前トップギアのパーソナリティ)ジェームズ・メイも自身でアルピーヌA110を購入し、高い評価を与えていますね。

アルピーヌA110を購入したジェームズ・メイ。「スープラは気になるクルマだ」なお残りの人生を1台の車で過ごすならBMW 320iを選ぶとコメント

なお、スバルはBRZのマイナーチェンジに際してアルピーヌA110を帯同させており、ベンチマークとして活用している様子も報じられています。

スバルBRZのマイチェン版?はたまたトヨタ86の限定モデル?謎なプロトタイプがアルピーヌA110を従えてテスト中

VIA:Car Throtttle, Gordn Murrey Design

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