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生産わずか2台のみ、「ビアンコ・モナコ」のブガッティEB110SSが競売へ!今までに2オーナー、最終型だけに最高額落札記録を樹立しそう

2022/10/27

生産わずか2台のみ、「ビアンコ・モナコ」のブガッティEB110SSが競売へ!今までに2オーナー、最終型だけに最高額落札記録を樹立しそう

| ブガッティEB110はヴェルサイユ宮殿にて、エットーレ・ブガッティのちょうど110歳の誕生日に発表された |

過去のブガッティへのオマージュも盛り込まれ、未来のブガッティへと続く道を作った記念碑的存在だと言える

さて、近年急速に価値を上げているブガッティEB110。

その中でもさらに希少な「スーパースポーツ」、そして2台しか製造されていない「ビアンコ・モナコ」のボディカラーを持つ個体が11月の競売に登場する予定となっています。

なお、EB110の相場が急上昇したのは、フランス拠点である現在のブガッティ・オトモビルが、ブガッティの創立110周年記念の際に送り出す限定ハイパーカー、チェントディエチのモチーフとしてEB110にスポットライトを当てたためで、それによって「イタリア資本であり、現在のブガッティとは関連性のないアウトモビリ・ブガッティ」が世に送り出したEB110が再評価されたため。

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ブガッティEB110はこういった生い立ちを持っている

もともとブガッティはフランスにて、エットーレ・ブガッティが興した自動車メーカーですが、その後様々な事情によって業績が悪化して買収され、その時点で自動車事業からは事実上撤退することとなっています。

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よって1952年以来、(EB110が登場するまでは)自動車ブランドとしてのブガッティは休眠状態であり新車も登場しなかったのですが、1980年代後半にイタリア人の実業家、ロマーノ・アルティオーリがブガッティの商標権を取得して(ブガッティを買収したわけではない)アウトモビリ・ブガッティを設立し、1987年10月にイタリアのカンポガリアーノに工場を建設。

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ロマーノ・アルティオーリ氏はパオロ・スタンツァーニ、マルチェロ・ガンディーニといった、ランボルギーニ・カウンタックを設計・デザインしたメンバーを集めてこのEB110の開発にかかり、ついに1991年9月15日、およそ40年ぶりのブガッティの新車として、パリのヴェルサイユ宮殿の前にてEB110 GTがデビューしています。

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ブガッティEB110
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なお、EB110というのは、ブガッティ創業者である「エットーレ・ブガッティの生誕110周年記念」という意味があり、9月15日はドンピシャでエットーレ・ブガッティの誕生日です。

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こういった命名からもわかるとおり、ロマーノ・アルティオーリという人物はそのブランドの歴史に対して忠実なクルマを作ろうとした人ということがわかり、後にロータスを買収した際に発売した「エリーゼ」もまた「E」ではじまるという伝統的なロータスの命名法則に則ったものであり、もちろん「軽量性がトッププライオリティ」というコンセプトもロータスのDNAそのもの。

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ちなみにですが、ロマーノ・アルティオーリはフロントにブガッティ特有の馬蹄型グリル(ホースシューグリル)を与えたいと考え、しかしデザイナーのマルチェロ・ガンディーニがこれを不要だと論じ、どうしても意見が折り合わず、結果的にロマーノ・アルティオーリがブガッティらしさを追求したため、マルチェロ・ガンディーニがプロジェクトから去るという事態に発展しています(そうまでもしてもブランドアイデンティティを守りたかった)。

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そういった強いこだわりとともにこのブガッティEB110は製造されているわけですが、そのため品質においても非常に高いレベルにあり、細部に至るまで非常にコストを掛けたクルマとなっていて、テールランプの中にはこういった立体のルーバー(ボディカラー同色)も。※たぶん、テールランプを目立たないように、そしてボディと一体化させ見せたかったのだと思う

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このダクト形状はチェントディエチにも再現された「重要なアイコン」に。

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ヘッドライトの内側にはインテークが組み込まれ、機能とデザインとを巧みに融合させていることがわかります。

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ブガッティEB110はパフォーマンスも超一級だった

このブガッティEB110は3.5リッターV12エンジン、しかも「クワッド(4)ターボ」という独特なパワーユニットを持ち、これを車体ミッドに搭載し4輪を駆動します。

この「クワッドターボ、ミドシップ、4WD」は、こののち新しくフォルクスワーゲンが設立した(全く別資本の)ブガッティ・オトモビルから発売されたシロンにも引き継がれており、つまりそれだけ完成度が高く、究極のパッケージングを持っていたということになるのかもしれません。

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ちなみにランボルギーニ・カウンタック設計時には「4WDも考慮され」、しかし当時は見送られたそうですが(技術やコスト的な問題からだと思う)、しかしこのブガッティEB110において、パオロ・スタンツァーニら元ランボルギーニの技術者たちは、「カウンタックでできなかったこと」を詰め込んだのでしょうね(たぶん開発作業は楽しかっただろうと推測)。

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そうやって「半ばコスト度外視で」作られたこのスーパーカーは、「フェラーリF40や、ランボルギーニ・ディアブロでは満足できない」コレクターの目に新鮮に映り、大きな評価を得ることになりますが、ロマーノ・アルティオーリは現状に飽き足らず、さらに高いパフォーマンスを追求し、EB110 GT登場の半年後には、その発展版としてEB110スーパースポーツを登場させることに。

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これは1992年のジュネーブ・モーターショーにて発表されていますが、ECUやインジェクターの大型化、排気システムの見直しなどにより、最高出力はEB110 GTの550psから603psにまで引き上げられ、さらにアルミパネルの一部をカーボンファイバーに変更するなど軽量化も追求されています。

これらの改良により、EB110スーパースポーツはは0-60 mph加速3.2秒、最高速度350km/hという驚異的な性能を発揮することとなったわけですね。

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しかし時はブガッティに味方せず

ただ、その直後に発生した世界同時不況によってスーパーカー市場が一気に縮小してロマーノ・アルティオーリの夢は崩れ去ることになり、1995年には工場が閉鎖され、残された資産を買い取ったヨッヘン・ダウアーによって生産が続けられたものの、生産されたのはEB110 スーパースポーツ30台を含む「わずか139台」のみにとどまっています。

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この個体のインテリアカラーは(ブラックに見えますが)実はネイビーだと紹介されており、納車されたのは1996年4月だという記録が残ります。

引き渡されたのはモナコのオーナーで、その後2012年に現在のオーナーが入手したというので「ツーオーナー」ということになりますね。

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JUN
JUN
ウインドウ昇降はくるくる回すやつ!

走行距離は24,467km、直近でブガッティ・ロンドンにて点検を受けており、マイナートラブルも解消されていると紹介されています(整備費用は8,108ポンド)。

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なお、このアウトモビリ・ブガッティが倒産した後、1998年にフォルクスワーゲングループがその商標権を買い上げ、全く別の組織と工場とともに設立したのが現在のブガッティ・オトモビル。

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参考までに、もとのアウトモビリ・ブガッティのメンバーの一部は、オラチオ・パガーニを中心としてパガーニ・アウトモビリを設立しているので、資本関係、物理的な関係は絶たれたといえど、アウトモビリ・ブガッティの魂は現在でもまだ生き続けていると考えていいのかもしれません。

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参照:RM Sotherby's

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