| 相当なスピードでないとブガッティ・シロンの4輪をスライドさせることは難しい |
シロン・ピュアスポーツ用のタイヤは1セット450万円、ホイールは550万円
さて、ブガッティ・シロンのボディサイドには「Cライン」がデザインとして表現されていますが、今回ブガッティがシロン・ピュアスポーツ(ピュールスポール)にて路上にその「C」を描くというスタントを実施。
このシロン・ピュアスポーツは1,500馬力/1600Nmを発生する8リッターW16エンジンを積んで4輪を駆動し、しかし後輪のみにパワーを振り分けるドリフトモードを有しているわけではなく、よってこのクルマをスライドさせるには4輪を空転させる必要があり、相当な速度、そして相当なスキルが要求されることになります。
シロン・ピュアスポーツはブガッティのラインアップ上「もっとも俊敏な」クルマ
ブガッティはシロンに多数のバリエーションを追加していて、シロンスポーツ、ピュアスポーツ、スーパースポーツ、スーパースポーツ300+等様々なバリエーションがあり、シロン意外にはチェントディエチ、ディーヴォ、W16ミストラルといったクルマも。
これらについては「オールラウンダー」「サーキット特化」「最高速特化」などの性格分けがなされており、しかしいずれも究極の性能が与えられています。
そしていずれの分野においても究極の性能を与えるには妥協はできず、何かを捨てねば頂点に達することはできないという観点から、こういった特化型モデルが誕生しているわけですね。
そしてこのシロン・ピュアスポーツは、そのファミリーの中でも「もっともサーキット走行に特化した」クイックな設定を持っており、俊敏かつ性格なハンドリングを持つモデルとなっていますが、よりダイナミックなハンドリング、コーナリング性能の向上を達成するため、サスペンション(スプリング)はフロントで65%、リアで33%強化され、かつアダプティブ・ダンピング・コントロールを採用し、キャンバー値を大幅に変更(フロント:115%、リア:150%、キャンバー:-2.5度)したことが大きな特徴。
さらには全体で50kgの軽量化、大幅なダウンフォースの増強も図られています。
さらにブガッティの「Form Follows Performance(形態はパフォーマンスに従う)」という理念を体現すべく、軽量マグネシウムホイールによりバネ下重量は16kg軽量化され、ドライバー、マシン、路面という3つのつながりをさらに強化ています。
そのパフォーマンスはまさに驚異的としか言いようがなく、0-100km/h加速は2.3秒(シロンよりも0.2秒速い)、0-200km/h加速は5.9秒、そして短縮されたギア比によって(6速で)60km/hから120km/hまでをわずか4.4秒で加速。
この驚異的な加速はギア比を15%短縮することによって実現していますが、そのぶん最高速が犠牲になっており、これはもちろん取捨選択の結果ということになりますね。
ブガッティ「Cライン」はブガッティの歴史そのもの
そして今回の目的は地上に「Cライン」を描くことですが、このデザインは何十年もの間、ブガッティのエレガントなスタイルを決定づけ、サイドプロファイルビジュアルからクルマをシームレスに伸長させると同時に、静止状態でも動きのある印象を与える流麗なデザインを持ち、ヴェイロン、シロンはもちろん、初期の作品であるType 50からType 57シリーズ、ジャン・ブガッティ時代の作品にも見ることが可能です。
なお、現代におけるCラインは、ブガッティの16気筒モデルのベンチレーションを向上させる必要性から生まれたもので、パフォーマンスパラメーターを向上させるために採用されたデザイン(まさに”形態はパフォーマンスに従う”)だとされ、このCラインのエッジはアルミニウム合金によって成形された2.8mもの長さを持つ一体もののパーツなのだそう。
ブガッティによると、「ピュアスポーツは、その究極のパフォーマンスとピュアなドライビング特性により、お客様から確固たる人気を得ています。だからこそ、この意欲的なCドリフトの実現にシロン・ピュアスポーツが選ばれたのは当然のことなのです。そして、パワー、敏捷性、横方向のダイナミクス、純粋なパフォーマンスを網羅するこれらの最先端の特性を備えたシロン・ピュアスポーツは、最も極端な状況を完全に正確に、繊細に、簡単に処理するために設計、開発されたシロンなのです」。
動画を見ていると非常に楽しそうではありますが、シロン・ピュアスポーツに装着されるミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R(サイズはフロントが285/30 R20、リアで355/25 R21)の価格は450万円、ホイールの価格は(14ヶ月で交換が必要になる)550万円だというので、ブガッティ本体を除くと、なかなか(一般ユーザーだと)こういったドリフトにチャレンジする人は少ないのかもしれません。
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ブガッティ・シロンが「Cドリフト」を行う動画はこちら
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参照:Bugatti