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ブガッティが「製品化されなかった宝石」、シロン・プロフィレを公開。本来は「大きなウイングを嫌う」顧客のために開発されたモデルだったが、開発期間中にシロンが完売したためお蔵入りに

2022/12/21

ブガッティが「製品化されなかった宝石」、シロン・プレフィレを公開。本来は「大きなウイングを嫌う」顧客のために開発されたモデルだったが、開発期間中にシロンが完売したためお蔵入りに

| このシロン・プロフィレはRMサザビーズによってオークションへとかけられ、おそらくはとんでもない価格で落札されるだろう |

そしてこのシロン・プロフィレは、もっとも美しいシロンといっても過言ではない

さて、ブガッティは「市販化に至らなかった宝石」を発表するとしてティーザーキャンペーンを行っていましたが、今回はその宝石、「ブガッティ・シロン・プロフィレ(Bugatti Chiron Profilée)」を完全公開。

これは(2020年に発表された)シロン・ピュールスポール(ピュアスポーツ)のバリエーションの一つとして考案されたものだそうですが、シロン・ピュールスポールそのものは180センチにも及ぶ大きなリアウイングを備える過激なルックスを持ち、ショート化されたギアレシオ、マグネシウムホイールなど数々のイノベーションを盛り込んだシロンファミリー中「最も過激な」モデルです。

ただ、あまりの派手な外観に「もうちょっとエレガントにできないものか・・・」という顧客の声があったのも事実だそうで、シロン・ピュールスポールのパフォーマンス、そしてベースモデルであるシロンが持つエレガンスとをバランスさせたのがこの「シロン・プロフィレ」だと紹介されています。

ブガッティ・シロン・ピュールスポール
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開発が完了した頃にはシロンの生産枠全てが無くなっていた

ブガッティ・オトモビルのCEO、クリストフ・ピオション氏によると「ピュールスポール の”過激でない”バージョンを欲しいというお客様の要望を真摯に受け止め、2020年秋に我々は "シロン プロフィレ "の設計と開発に着手しました。しかしながら、プレシリーズの車両が生産されようかという頃には、あろうことか、500台限定のシロンの枠はすべて完売していたのです」。

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補足しておくと、シロンはもともと500台限定として発売されており、シロンのバリエーション、たとえばシロンスポーツ、シロン・スーパースポーツ、シロン・スーパースポーツ300+、シロン・ピュールポールなどのバリエーションはすべてこの500台の中に含まれており、そしてシロンシリーズ全体の売れ行きが予想よりも早かったため、このシロン・プロフィレを「500台の中に潜り込ませる」ことができなかったわけですね。

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そしてクリストフ・ピオションCEOは「しかし、私たちが創り出したものは、隠しておくにはあまりに美しすぎるとわかっていました。あらゆる意味で、ブガッティの歴史の中で唯一無二の存在であり、真のコレクターズアイテムなのです。そして、ブガッティというブランドを愛する人たちに、このユニークな車を手に入れる公平なチャンスを与えたいと思い、RMサザビーズと提携してオークションに出すことにしたのです」と続けています。

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よって、このシロン・プロフィレはコンセプトカーではなく、市販を前提に開発されたものなので、市販車と同様の時間と労力が開発にかけられており、、ブガッティが全車に適用している高品質な規格をすべてクリアし、さらにはテストされたもので、ヨーロッパでの単一型式認証を取得することができると紹介されています(つまり公道を走行することができる)。

シロン・プロフィレのリアセクションは「完全なる専用設計」

そしてこのシロン・プロフィレの大きな特徴はリアセクション。

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顧客の要望通りに大きなリアウイングを廃止しており、かわりにダックテール状の固定式スポイラーが取り付けられていますが、このテールには2つの重要な機能があるといい、ひとつはリアアクスルのダウンフォースを増加させ、最高速度380km/hに達するまでの安定性とコントロール性を確保すること、そしてもうひとつは、負圧を利用して高温のカーボン製ウィングの2つの内部トンネルからエンジンルームから熱気を吸い出すこと。

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吸い出されたエアは、ダウンフォースを発生させるためにウィングの上部を流れるだけでなく、エンジンルームから空気を吸い込むためにウィングの下部にも流れる、と紹介されています。

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ブガッティ・オトモビルにてデピュティ・デザイン・ディレクターを務めるフランク・ヘイル氏によると、「お客様の要望を念頭に置き、オリジナルのシロンの優雅で時代を超えた形状を維持しつつ、シロン・プロフィレのオーナーが得られる比類ないパフォーマンスのため、空力学的および熱力学的に最適化された、エレガントな固定スイープテールを組み入れました」とのことですが、やはり大きなウイングを嫌う顧客は意外と多いのかもしれません(ぼくもリアウイングはあまり好きではない)。

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なお、このプロフィレという名称は、ジャン・ブガッティが最初に手がけたType46からインスピレーションを得たものだといい、このType46もテールにエレガントなフリックを備えるという共通性を持っています。

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ちなみにですが、この固定式リアスポイラーとその構造、台形を基本としたスポイラー、それとシンクロしたリアディフューザーの形状はウラカンEVOにも非常によく似ていて、これはブガッティとランボルギーニとが同じグループに属するという特性上、ある程度の共通性が考慮されているということを意味するのかもしれません。※フォルクスワーゲングループの各ブランドではこのほかにも各ブランド間において多数の共通性が見られる

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そして話をこのシロン・プロフィレに戻すと、シロン・プロフィレのフロントには、より幅広なエアインテークとブガッティ製ホースシューグリルが与えられ、ラジエーターにより多くの冷却空気を送り込むことができるといい、改良されたフロントスプリッターはアンダーボディと連動してダウンフォースをさらに増大させ、エアフローをも最大化させるという役割を持つことに。

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シロン・プロフィレは横方向のグリップ(コーナリングフォース)と究極の加速のために設計されたピュールスポールの純粋さをそのまま受け継いでおり、搭載されるのは8リッターW16エンジン(1,500PS)、そしてギアレシオはシロンに比較して15%も短縮され、これによってシロン・プロフィレは、0-100km/h加速2.3秒、200km/h加速5.5秒、最高速度はシロン・ピュールスポールの350km/hに対し380km/hに達するのだそう(シロン・ピュールスポールに比較してダウンフォースがやや低いのだと思われる)。

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シャシーチューニングでは、前後車軸のホイールのキャンバー角を変更し、フロントヘビーなバランスへとシフトし(つまり前傾姿勢)、そしてさらに硬めのスプリングを採用しているそうですが、このスプリングはシロンスポーツに比べて10%硬く、リアアクスルのネガティブキャンバーを50%増やし、快適性を損なうことなく、カーブでのグリップを向上させている、という解説がなされています。

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なお、シロン・プロフィレのボディカラーは、このモデルのために特別に開発された「アルジャン・アトランティック」。

ワンオフモデルなのでこのカラー以外は選べないということになるものの、このカラーに塗られたシロンもまた存在しないとのことなので、一層の特別感が感じられる色味という事になりそうですね。

なお、ボディ下部は織り目の見えるネイキッドカーボンが採用されており、このカラーはブガッティらしい「ブルー・ロイヤル・カーボン」。

ホイールもシロン・プロフィレ専用デザインを持ち、ボディ下部のカーボン色にマッチしたル・パトロンカラーにて仕上げられているほか、エレガントさを強調するためにポリッシュ仕上げのアルミニウム製エレメントがホースシューグリルなどに採用されている、とのこと。

ブガッティ・シロン・プロフィレのインテリアはこうなっている

そしてこちらはシロン・プロフィレのインテリア。

全体的なデザインはシロン・ピュールスポールと共通であるように見え、他のシロン同様にブガッティのアトリエで手作業で仕上げられ、レザー、カーボン、ソリッドアルミなど、高品質な素材を中心に構成され、各パーツは何時間もかけて手作業で磨き上げられます。

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なお、シロン・プロフィレは、ダッシュボード、ドアパネル、センターコンソールにウーブン・レザー仕上げのインテリアを装備した最初のシロンとなり(センタートンネル側面やドアパネルに使用されている)、この複雑で美しい仕上げを実現するために、合計2,500メートル以上のレザーストリップが使用されているといい、つまりは仕上げに大変な手間がかかっているということですね。

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インテリアカラーはグリ・ラファールとディープ・ブルー、コンフォートシートにはキルティングパターン「エアパレード」が施され、センターコンソールのブラックアルマイト仕上げのフレームインレイには、「Profilée」文字が入るなど、細部には特別なこだわりが反映されており、内外装どこをとっても「特別なシロン」であるのは間違いなさそう。

このブガッティ・シロン・プロフィレは、2月1日にRMサザビーズによってオークションにかけられ、その収益の一部は慈善活動に寄付される、とアナウンスされています。

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ブガッティ・シロン・プロフィレを紹介する動画はこちら

参照:Bugatti

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