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| ひとつの時代が幕を閉じる。ブガッティが送り出した「究極のオープンロードスター」 |
そしてまた「一つの時代が幕をあける」
自動車史に燦然と輝く金字塔、ブガッティの「W16エンジン」。
ヴェイロンからシロンへと受け継がれ、ハイパーカーの頂点に君臨し続けたこの排気量8.0リッター・4ターボがついにその歴史に完全な終止符を打つことになり、ブガッティは今回、フランス・モルサイムの由緒あるアトリエから最後の1台となる「W16ミストラル(W16 Mistral)」がロールアウトしたことを正式に発表しています。
世界限定99台のみが世に送り出されたW16ミストラルは、ブガッティ初のW16オープンロードスターであり、この伝説的パワートレインの有終の美を飾る「スワンソング(白鳥の歌=絶筆)」として開発された1台(もともとその計画は無かったが、メイト・リマック氏がブガッティを引き継いだ後、急遽開発が進められ市場投入されている)。
今回公開された最終車両は、まさに「The last of its kind(その類で最後のもの)」という言葉を体現する、あまりにも美しい1台に仕上がっています。

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【この記事の要約(3つのポイント)】
- W16エンジンの完全なる終焉:ブガッティの象徴であるW16エンジンを搭載した最後のロードゴーイングモデル「W16ミストラル」の生産が、予定された99台すべてを完了し閉幕
- 伝統と個性を凝縮した最終記念車:フランス・モルスハイムの工房からロールアウトした最終車両は、「Pearl(パール)」と「Sparkle(スパークル)」の美しい2トーンに彩られ、創設者エトーレ・ブガッティへの敬意を示す特別仕様が随所に施される
- 新時代「トゥールビヨン」へのバトンタッチ:最高速度453.91 km/hを記録し“世界最速のオープンカー”の称号を手にしたミストラルの生産終了により、ブガッティは次世代V16ハイブリッド「トゥールビヨン」の生産へと本格的に舵を切る
詳細:創設者エトーレへのオマージュを捧げた「最後の1台」
2022年の「モンタレー・カー・ウィーク」で世界初公開されて以来、日本やシンガポール、中東など世界中のコレクターを魅了してきたW16ミストラル。
2024年11月には、公式ドライバーのアンディ・ウォレス氏の手によって最高速度453.91 km/h(282 mph)という驚異的な世界記録を樹立し、「世界最速の量産オープンカー」としての地位を確固たるものにしています。
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今回アトリエを旅立った最終モデルは、ブガッティのパーソナライズプログラム「Sur Mesure(シュール・ムジュール)」によってオーナーの深いこだわりとブガッティの伝統が完璧に融合したワンオフ仕様となっており、文字通り「有終の美を飾る」にふさわしい仕様を持っているようですね(中古市場においては、「最後の一台」は非常に大きな価値を持つことになり、その枠を巡っては多くのコレクターが争ったのだと思われる)。

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芸術的ディテールと中東の象徴
この個体のエクステリアは気品あふれる「Pearl(パール)」と「Sparkle(スパークル)」の2トーンリバリーで仕上げられ、インテリアには「Magnolia(マグノリア)」と「Grey Carbon Matt(グレーカーボン・マット)」のコンビネーションを採用。
キャビン内には「The last of its kind」の文字とミストラルのシルエットが刻まれた専用デディケーションプレートが備わっているといい、さらにはオーナーの強い希望によって1909年にモルスハイムでブランドを興した創設者エトーレ・ブガッティへの敬意が随所に表現されています。
たとえばヘッドレストには彼のサインが刺繍され、ドアシルにはアルミニウム製のサイン、エンジンカバーのインナートリムにもお馴染みのBugattiロゴの代わりにエトーレのサインが配されているそうですが、フランスの高級クリスタルブランド「ラリック(Lalique)」とのコラボレーションによるアームレストプレート『Spirit of the Wind(風の精神)』が奢られているほか、シフトノブのトップにはブガッティ伝統の象徴である「象の彫刻」ではなく、オーナーの故郷である中東で深い意味を持つ「ハヤブサの頭部」がセットされ、ドアパネルにはアンスラサイトカラーにてハヤブサの刺繍が施されています。

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ブガッティ W16ミストラル「車種概要
ブガッティの歴史的アイコンである「タイプ57 ロードスター・グランド・レイド」の精神を受け継ぐW16ミストラルのスペックと特徴は以下の通り。
W16ミストラル 主要諸元・スペック
| 項目 | 詳細・仕様 |
| パワートレイン | 8.0リッター W型16気筒 4ターボエンジン(シロン・スーパースポーツ仕様) |
| 最高出力 | 1,600馬力 |
| 最大トルク | 1,600 Nm |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチ(DSG) |
| 駆動方式 | 4輪駆動(AWD) |
| 最高速度 | 453.91 km/h(世界最速オープンカー記録樹立) |
| 生産台数 | 世界限定 99台(すべて完売、生産完了) |
| デザイン特徴 | モノコック再設計による洗練されたルーフレスシルエット、3Dプリント技術を用いたテールランプ、ラリック製クリスタルを配したインテリア |

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2026年現在の生産状況と次の章
ブガッティは先日、モルスハイムの本社敷地内に新たな次世代アトリエ「La Manufacture(ラ・マニュファクチュール)」を開設したばかりです。
ここは新開発のV16自然吸気ハイブリッドエンジンを搭載する次世代ハイパーカー「トゥールビヨン(Tourbillon)」の生産拠点となる場所でもあり、つまりW16ミストラルの生産終了は、ブガッティにおける20年のW16章の完璧な幕引きであると同時に、新たな電動化ハイパーカー時代への完全な移行を意味しているというわけですね。
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ブガッティが新工場「ラ・マニュファクチュール」の可動を開始。生産能力は従来の4倍、新世代1800馬力ハイパーカー『トゥールビヨン』時代の幕が開ける
Image:Bugatti | ブガッティの新しい工場の生産能力は年間200台、これまでのほぼ4倍に相当 | ブガッティはここから積極的にニューモデルを投入することとなりそうだ 自動車の歴史において、 ...
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なお、W16ミストラルは「これにて99台全ての生産が完了した」ということになりますが、現時点ではブガッティによって公開された個体は「ごくわずか」。
つまり大半のW16ミストラルは「その仕様がまったく知られないまま」オーナーのガレージに眠っているということとなり、そしてそれらの個体のうちいくつかはいずれ中古市場に登場することになるものと考えられ、そのときになって「こんな仕様が存在したのか・・・」とぼくらははじめてそれを知るのかもしれません。

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ブガッティ W16ミストラル「最新作」はマンガ塗り風。本物の磁器を用いたワンオフモデル、「ブラン・エテルネル」が公開
Image:Bugatti | ブガッティは以前にも陶器をイメージしたグラフィックを公開したことがあるが | 今回の表現手法は今までにない「新しさ」を持っている 自動車の域を超えた「動く芸術品」を生み ...
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自動車業界の視点:ブガッティが築いた「W16」の遺産
自動車の歴史において、8.0リッターW16というレイアウトは、後にも先にもブガッティ以外に存在せず、元フォルクスワーゲングループのボスであるフェルディナント・ピエヒ氏が掲げた「最高速度400km/hを超え、その日の夜には何事もなかったかのようにオペラハウスに乗り付けられる洗練されたクルマ」という無理難題からスタートしたこのエンジンは「ハイパーカーの定義そのものを変えた存在」として知られています。
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現代の自動車業界は急速な電動化とダウンサイジングの波に洗われているという状況ではあるものの、その中でブガッティは最後の最後まで純粋な内燃機関そしてマルチシリンダーの魅力をオープンエアという最もピュアな形で顧客に提供し続けており、その情熱の結晶がこのW16ミストラル。
そして限られたオーナーのみに提供され、それぞれのオーナーの個性とストーリーを反映させるという、W16ミストラルが示した「すべての車両が異なる仕様を持つワンオフの芸術品」というアプローチは、今後のラグジュアリーカー市場における「究極のパーソナライズ」の模範であり続けることとなりそうです(それぞれの個体の価値を高めるため、ブガッティは意図的にそれぞれに固有の物語を与えたのだと思われる。なお、これはフェラーリ12チリンドリ マヌアーレにおいて、同様の目的をもって「すべてテーラーメイド経由にて製作」することを発表済み)。

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ブガッティ・ヴェイロンを誕生させたフェルディナンド K.ピエヒ、そして「F.K.P. オマージュ」との間にある「語られなかった開発秘話」「埋められた空白」が公式に明かされる
Image:Bugatti | F.K.P. オマージュは単なるヴェイロンへのオマージュにとどまらない | 物理の限界に挑んだ男、ピエヒ氏の遺産 ブガッティはワンオフモデルとして「F.K.P. オマー ...
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結論:伝説は終わり、新たな神話が始まる
ブガッティのシュール・ムジュールおよび個別化担当マネージャーを務めるヤシャ・ストラウス氏は、「このクルマで、最初のスケッチからW16ミストラルが象徴してきたすべて――W16の比類なきキャラクターに敬意を表す素晴らしいオープンロードのドライビング体験と、ブランドの豊かな遺産、特にエトーレへのオマージュを融合させることができました」と語り、生産終了への賛辞を送ることに。
99台のW16ミストラルはそれぞれがオーナーの分身として世界中のグランドツアーや特別なイベントで走り続けるものと思われ、これからV16世代へとシフトするブガッティではありますが、W16が残した「400km/hオーバーの世界」の衝撃と官能的なサウンドはこれからも永遠に色褪せることはないであろうと考えています。
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