| 電動化、効率化、合成燃料の導入などポルシェにとっては「F1との方向性の一致」など参戦のメリットも大きい |
ポルシェはレッドブルと、アウディはマクラーレンと組む可能性が高い
さて、ここしばらく続いた憶測やウワサを経てついにフォルクスワーゲングループが公式に「ポルシェとアウディがF1に参戦する」と発表。
これはフォルクスワーゲングループの公式Youtubeチャンネルより配信された動画にて、VWのCEOを務めるヘルベルト・ディース氏が言及したもので、具体的な内容については触れなかったものの、ポルシェのF1参戦計画のほうがアウディよりも「具体的」だとも語っています。
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なぜポルシェとアウディはF1に参戦?
そこで「なぜポルシェとアウディとがF1に参戦するのか」ということですが、その理由は「F1の人気が高まっているから」そして「2026年に導入される新しいレギュレーションによってチャンスが生じるから」。
2026年に導入される新レギュレーションによって「どのチームもふりだしに戻り、これまで築いてきた優位性の多くが失われる」ために新規参入チームにとってもチャンスが生じるということを意味していて、まずパワーユニット(PU)に関してだと、2026年に導入されるのは「エレクトリックパワーが350kWに拡大」「MGU-H(熱回生)廃止」「エンジン開発にもコストキャップが導入(エンジンそのものは1.6リッターV6ターボを継続)」という変更。
なお、MGU-Hの廃止については様々な議論がなされていたものの、MGU-Hは開発コストが大きい割に市販車への技術転用が難しく(メルセデスAMG Oneの開発難航を見てもわかる)、かつモータースポーツの技術を市販車に転用することで自動車業界における技術レベルを向上させるという目的が達成できず、さらにMGU-Hが継続採用されればポルシェやアウディはF1参戦に難色を示すだろうといった思惑が働いたことで結果的に「廃止」が決まったもよう。
そして総合的な出力低下を鑑みて車体(シャシー)にも大幅な変更が導入される可能性が高く、国際自動車連盟(FIA)は2026年以降の車体に関するレギュレーションの方向性として「効率性の向上とPUの出力特性変更を考慮しドラッグを削減」「車体サイズのコンパクト化」「車体重量削減もしくは増加抑制」「コスト削減と持続性を目的にコンポーネントの簡素化やリサイクル性向上を検討」「F1マシンの安全性向上を目的にアクティブ・コネクティッド・セーフティ・システムへ移行」を定め、(これは2023年以降ですが)ドライバーにヘルメットカメラの着用を義務付けること等を決定しています。
こういった方向性を考慮すると、ポルシェやアウディが進む方向とF1の進む方向とは大枠で一致しているように思われ、さらに今後F1で「100%持続可能な」燃料が導入されることとあわせて考えた場合、合成燃料の実用化にて内燃機関を存続させようとするポルシェの思惑ともマッチする部分が大きそう。
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なお、一時期フォルクスワーゲングループはディーゼル不正事件の影響にてモータースポーツ活動を縮小していましたが、再びこうやってその活動領域を広げ、ポルシェはWECや北米での耐久レース、そしてル・マン24時間レースへとカムバックし、アウディも様々なモータースポーツ活動へと参戦し、また参戦する意向を見せているのは嬉しい限りですね。
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具体的にどういった形で参戦?
そして気になるのは「参戦体制」。
ただしこれについてはなんら具体的な案が示されておらず、しかしポルシェはレッドブルとのタッグを組むであろうことがまことしやかに囁かれており、そうなるとこれはある意味「最強」となる組み合わせなんじゃないかと考えています(双方とも技術やノウハウが高いレベルで蓄積され、かつフレキシブルな動きができるので、レギュレーション変更直後には高い戦闘力を発揮しそう)。
そしてアウディについては、これまでにも何度か報じられたとおりにマクラーレン・レーシングを買収するのではと言われていて、ポルシェとは全くの別チームにて参入することになりそうです(アウディとポルシェは同じグループに属するため、両者が同じフィールドで戦うのは、これまでの同グループの考え方からすると「無駄」ということになりそうにも思える)。
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フォルクスワーゲングループがYoutubeチャンネルにて公開した動画はこちら
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