その選択はコストとレクサスのブランドに見合わない
次期レクサスISには、新型GRスープラ同様、3リッター直6ターボエンジンが搭載される、というウワサ。
これは例によって「ベストカー」が報じたものですが、ありそうな、いやなさそうなという感じです。
なお、ベストカーは以前にも「次期86はない」と報じ、それに対してトヨタの海外法人は「次期86は開発中」だと反論したことがありますね。
BMW製「B58」直6エンジンは非常に優秀だが
なお、新型スープラが搭載するのは(日本だと”RZ”グレードのみ)BMWの6気筒エンジン「B58」。
これは非常に優れたエンジンであり、現在だとスープラの他、BMW M340i、Z4 M40iに搭載されています。
なおベストカーでは、この3リッター直6ターボの他、新型レクサスISでは2リッターターボ、2.4リッターターボ、2.5リッター+ハイブリッドというパワートレーンを選択可能だと報じており、「IS F」ではレクサスLSに積まれるV6ツインターボエンジン搭載の可能性についても言及。
その他ボディサイズについては現行のISと近く、しかし160キロの軽量化を果たして1695キロから1539キロへのダイエットに成功する、とも。
登場時期については2021年、そして2022年モデルとしての販売になりそうですが、これらが実現すればかなり魅力的なクルマとなりそうですね。
現実的にBMWのエンジンを積む可能性はある?
ここで考えてみたいのが現実的に次期レクサスISがBMWのエンジンを積む可能性があるのかということ。
これは様々な角度から検討する必要がありますが、まずスープラに直6を積んだのは「スープラのルーツが直6にあるから」で、当時直6エンジンを持つメーカーがBMWしかなかったから(トヨタは直6を持っていない)。
よそのメーカーのエンジンを自社のクルマに積むというのはけっこう難しい作業であり、よってスープラの場合は自社の車体にBMWから供給を受けたエンジンを載せるのではなく「共同開発」という形でBMW Z4と共通の車体にBMW製エンジンを積んでいるわけですね。
もちろんこれについては「車体を共同開発したほうがコストが安い」ということもありますが、仮にエンジン供給を受けて自社の車体に装着する場合の問題は2つ。
BMWがライバルに「エンジンだけ」を供給するかどうかはわからない
ひとつは供給元がエンジンを供給してくれるのかということで、BMWが「NO」といえばこの話はパー。
これの解決策としては、次期レクサスISもBMWと共同開発し、BMWもしくはまたマグナシュタイヤーで製造するということがあるものの、まさかトヨタは「レクサスを、自分のお膝元以外でつくる」ということはしないと考えています(様々な意味で、今までの努力が無に帰す可能性も)。
自社の車体を、他社のエンジンにあわせてつくるのは難しい
そしてもう一つの問題は、そのエンジンに合わせるための設計変更。
車体はもちろんですが、トランスミッション含むドライブトレーンの変更を行う必要があり、これには相当なコストが生じます。
そして、そこまでしてBMWの直6エンジンが必要かというと、「それはどうかな」とも考えていて、BMWが急にそのエンジンの供給をやめたり、仕様を変えたりすると、トヨタはBMWに翻弄されるということになり、これもトヨタの本意ではない、と思うのですね。
そういった意味において、ぼくは「次期レクサスISにBMWのエンジンが載るというのは”ない”」と考えていますし、レクサスという、トヨタが威信をかけた、かつ妥協を許さないブランドにておいて他社のエンジンが入り込む余地はないだろう、とも考えています(そして同時に、トヨタは直6でなくとも、BMWに劣らない素晴らしいエンジンを製造できるとも信じている)。※トヨタとBMWが資本提携を行うとまた話は別ですが、それも「ない」と考えている