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| すでに証明された通り、BMWは優れた戦略を採用する自動車メーカーである |
その柔軟性、超高級セグメント、プレミアムカーセグメント、スポーツセグメントにおいてライバルを圧倒する成果を収める
BMWが年次カンファレンスを開催し、そこでは2025年の販売や利益実績、現状、そして未来について明確に語ることに。
現在BMWはもっとも勢いがある自動車メーカーの一つと考えて良いかと思いますが、ここで今回のカンファレンスの内容を整理してみたいと思います。
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この記事の要約
- 2025年のグループ全体の販売台数は約246万台。利益は100億ユーロを超え、過去最高レベルの強固な経営基盤を証明
- 大注目の次世代プラットフォーム「ノイエクラッセ」第1弾、新型「iX3」の納車が欧州で開始。すでに予想を大きく上回る注文が殺到中
- 次期「i3(3シリーズの完全EV版)」がまもなく発表。さらに2027年にはサーキット走行可能な「Mモデル」の完全EVも登場予定
- 次期「X5」は内燃機関、PHEV、EVに加え、なんと2028年から「水素(FCEV)」も選択可能に
- EV一本化ではなく、エンジン車も大切にする「テクノロジー・オープンネス(技術的中立性)」戦略が多様なユーザーの心を掴んでいる
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BMWグループは2025年も大きく成長
「電気自動車(EV)へのシフトが進む中、ガソリン車の心地よいエンジン音や走りはどうなってしまうのか?」。
クルマ好きなら一度は不安に思ったことがあるのではないかと思いますが、BMWが開催した「2026年年次カンファレンス」の内容を見てみると、そんな不安を吹き飛ばすかのような未来のビジョンが語られています。

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まず、2025年のBMWグループは欧州や米国での販売を大きく伸ばし、全体では前年比0.5%増となる約246万台の販売を達成することに。
利益水準も100億ユーロ(約1.6兆円)を超えて非常に安定した経営を続けており、この強固な財務基盤をもととして、「BMWは次世代の自動車作りにおける巨大プロジェクト「ノイエクラッセ(Neue Klasse)」を本格始動させたことをこの場で改めて強調しています。
驚くべきは、このノイエクラッセの推進にもかかわらず、BMWが「すべてをEVにする」という強引な方針をとっていない点で、彼らは市場の動向とドライバーのリアルなニーズに寄り添う戦略をとっており、世界中のクルマ好きにとっても非常に共感できる内容となっているわけですね。
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BMWグループの2025年はこうだった
そして以下は今回のカンファレンスで発表されたビジネスおよび販売のハイライト。
- 驚異的な業績と販売力
- 2025年のグループ利益は100億ユーロを突破。自動車部門の利益率(EBITマージン)は5.3%(関税等の影響を除けば6.4%)と安定
- 欧州市場では販売台数が7%以上増加してコロナ禍以前以来となる100万台の大台に。米国でも5%の成長を記録
- 「M」と「MINI」の躍進
- ハイパフォーマンスを誇る「BMW M」ブランドは14年連続で販売を伸ばし、21万3,000台以上を販売して過去最高を記録(M5やX3 M50が牽引)
- MINIは新型カントリーマンの貢献により前年比約18%増。さらにMINIの販売のうち、なんと3台に1台以上(10万台超)が完全な電気自動車に

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- 環境性能での業界リード
- 電動車(EVおよびPHEV)の販売は約64万台に達して全体の26%を占めるまでに。欧州では電動化率が40%を超える
- EUのCO2排出量規制において他社と枠を共有(プーリング)することなく単独で90g/kmという驚異的な数値を達成し、法的目標を大きくクリア
- 2026年の展望
- 為替や関税、中国市場の激しい競争などの逆風を冷静に見据え、2026年の自動車部門の利益率(EBITマージン)は4〜6%になると現実的な予測を示す
モデル展開(注目モデル、そして今後登場するニューモデル)
今回の発表で最も視聴者を興奮させたのが「怒涛の新型車リリース計画」。
BMWの未来を担うプラットフォーム「ノイエクラッセ」を中心に、今後数年で展開される注目モデルのスペックや特徴をまとめると以下の通りです。
- 新型 iX3(ノイエクラッセ第1弾)
- 概要: ハンガリーのデブレツェン新工場で生産が開始され、すでに欧州ではショールームに並んでいるという状況
- 市場での反響: 予想を大幅に上回る注文が殺到しており、これまでBMWに乗ったことのない新規顧客も多く獲得しているといい、中国市場向けには専用設計のロングホイールベース版も北京モーターショーで発表される予定

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- 次期 i3(次世代3シリーズEV)
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- 次期 7シリーズ
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結論:今後のBMWはどうなる?
今回BMWが開催したカンファレンスから見えてくるのは、彼らが採用する「テクノロジー・オープンネス(技術の選択肢を狭めない姿勢)」の強さ。
現在、世界の自動車業界では「完全EV化」への移行が踊り場を迎え、失速が指摘されることもありますが、しかしBMWは優れたバッテリーEV(ノイエクラッセ)を全力で開発する一方、日常の使い勝手に優れるプラグインハイブリッド(PHEV)や、内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)、さらにはHVO100といった再生可能燃料への対応、そして次期X5への「水素エンジンの搭載」まで、すべての選択肢をユーザーに残しています。
EUの保護主義的な関税政策や規制のボラティリティに対しても「政治的な規制ではなく、イノベーションと自由貿易で競争すべきだ」と強いメッセージを発信したことがその証左でもありますが、
「お客様が望むものを、最高のクオリティで提供する」。
この自動車メーカーとしての基本を忘れず、最先端のAIと伝統の走りを融合させるのが今後のBMWということになり、次世代プラットフォーム「ノイエクラッセ」、そして怒涛の新型車ラッシュによってプレミアムセグメントの王者として自動車業界をリードし続ける姿勢には共感を覚え、大きな期待もかかります。

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なお、今回のカンファレンスでは「テクノロジー」についても焦点が当てられており、新しいBMWは走るスマートフォン以上の存在になることも改めて確認されることに。
欧米市場ではAmazonの高度な大規模言語モデル「Alexa Plus」を統合し、より賢く自然な音声対話を実現する一方、中国ではAlibaba Banmaとの提携が発表され、さらには自動運転支援(ADAS)領域ではQualcommやMomentaといった世界のトップテック企業と共同開発を行っている真っ最中。
ソフトウェアの無線アップデート(OTA)によってクルマの購入後にも「車両を進化させ続ける」ことにも注力しており、ぼくらが想像するよりもはるかに速いスピードにてBMWは走り続けているのかもしれません。
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