| これまでにもマツダ、メルセデス・ベンツ、シボレーがミドシップロータリーに挑戦したが実現できなかった |
さて、先日ちょっとした話題になった、「納車後24時間で飲酒運転車に衝突され、大破したC8コルベット」。
このオーナーに落ち度はなく、完全に巻き添えを食らったという悲劇の事故ですが、なんと今回そのコルベット買い手が付き、さらにはそれにロータリーエンジンをスワップして蘇らせるというプロジェクトが始動しています。
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捨てる神あれば拾う神あり
ざっとおさらいしておくと、このコルベットのオーナーは(当然ですが)それはそれは納車を心待ちにしていて、ディーラーにクルマが届いた段階から、カウントダウンするかのように納車までの様子を自身のFacebookへと投稿しており、しかしめでたく納車された翌日に飲酒運転で暴走してきたヒュンダイに突っ込まれた、というもの。
あまりの悲劇に多くの人がこのオーナーを励ますこととなり、このオーナー曰く「唯一の救いは、人々の心の暖かさに触れたこと」。
そして、このオーナーに手を差し伸べ、今回コルベットを買い取ることにしたのがユーチューバーのロブ・ダーム氏です。
ちなみにこのロブ・ダーム氏は「免許を取って最初に買ったクルマが中古のマツダRX-7」であり、今でもそのRX-7のカスタムをコツコツと進めている人物で、最近ではついに「世界初」の4ローターターボ+4WDという究極のRX-7改を作り上げ(まだ100%ではない)、その出力はなんと2000馬力に達しています(フロントセクションやフロアも新しく作り直され、オリジナルの車体が残っているのはリアセクションの一部くらい)。
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同氏は「ロータリーエンジンに取り憑かれた」人々の一人であるのは間違いなく、夢は「ロータリーエンジンでボンネビルに挑戦し、最高速記録を打ち立てること」。
そして今回コルベットを購入した理由も「ロータリーエンジンをC8コルベットに放り込んで”ミドシップロータリースポーツ”を実現するため」で、この人の実績や技術を見る限り、実現するのはさほど難しくはないと思われます。
おそらく今後、一連のシリーズとして改造途中の動画が公開されることになるかと思われますが、続編を楽しみに待ちたいところですね。
「ミドシップロータリースポーツ」の量産車は存在しない
そして現在に至るまで、ミドシップロータリスポーツは量産車としては存在せず、このプロジェクトが成功すればまさに「快挙」。
参考までに、唯一ロータリーエンジン車の市販に成功したマツダは、過去(1970年)にRX-500なるミドシップロータリースポーツをコンセプトカーとして発表したことも(もちろん市販されていない)。※はじめてロータリーエンジンを搭載した市販車、コスモの発売が1968年だったので、マツダは早々にミドシップロータリーを検討していたということになる
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なお、メルセデス・ベンツも「ミドシップロータリー」を考えた時期があり、様々なエンジンを搭載しつつ市販を目指して開発を進めていた「C111」の中には3ローターターボ(280馬力)、4ローターターボ(350馬力)を搭載した試作車も。
しかしながらこのC111も市販までたどり着けず、「幻」に終わったクルマです。
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そして今回の動画のタイトルにもある「Aerovette(エアロベット/エアロヴェット)」ですが、これはシボレーがコルベットをミドシップ化する段階で試作した、ロータリーエンジンを搭載した一台。
まず1973年のXP-897GTは、2ローターロータリーターボを(ポルシェ914から流用したシャシーに)ミッドマウントした試作車で、「2ローターコルベット」と呼ばれています。
さらにシボレーは4ローターエンジン(420馬力)をミッドシップマウントした「4ローターコルベット」を試作し、その後にエアロダイナミクス向上を狙った流線型ボディへと換装されたのが「エアロヴェット」。
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つまりロブ・ダーム氏は、「4ローター(ロータリー)エンジンをミドシップマウントするコルベット」、つまりエアロヴェットを現代に蘇らせようとしているわけですね。
VIA: Rob Dahm