メルセデス・ベンツがデザイン路線を変更し「今後、EVであってもガソリン車とデザインを共有する」。ライバルであるBMWと同様の方向へ

｜　メルセデス・ベンツはBMWに対しEV販売では「大敗を喫して」いる　｜

この状況を鑑みるに、今までと同じ路線で進むことは許されないであろう

さて、メルセデス・ベンツはBMW同様の「マルチパワートレーン」「EVとガソリン車とのデザイン統合」という戦略を採用すると発表していますが、後者に関しては「プラットフォームなどの車体構造」のほか、「見た目」も含まれます。

よって今後のメルセデス・ベンツは「EV」「ガソリン車」とで同じデザイン言語を採用し、同ブランドの車両群は調和の取れたデザインを持つことになり、しかしメルセデス・ベンツは、この新たなアプローチによって「何ら妥協は発生しない」とコメントすることに。

「卵型」のEQルックからの脱却

この方向性は、メルセデス・ベンツが電動版CLAコンセプトを発表した際に予想されていたもので、CLAでは（EVと）同じデザインを持つ内燃エンジン版も登場することが予告されていましたが、すでにメルセデス・ベンツの多くのガソリン車とEVとの見た目が寄せられており、たとえば従来のGクラスとエレクトリック版Gクラス（G 580 with EQ Technology）とは「ほぼ同じ」。

そして今回の発表はさらにこの路線を強化するものと考えてよく、今後のラインアップ全体において内燃エンジン車とEVの関係がさらに密接になることを示唆しています。

なお、メルセデス・ベンツがこれまでEVに専用デザインを与えてきた理由としては、「空気抵抗の低減」「ガソリン車との差別化」そして「EV専用プラットフォームを用いることでのスペース効率の追求（EVだとAピラーを前に出すことが可能となるので室内空間が広くなる）」といった要素があると認識していますが、今後はこれがガソリン車に近づくことで、これまでのツルっとした外観が徐々に消えゆくということに。

そして「ガソリン車とデザインを共有する」意図としては、構造を共有することでのコストダウン、そして何よりも「EVっぽいデザインを嫌う人」を取り込もうという意図があるものと思われ、メルセデス・ベンツはこれについても「妥協しない」とコメントしています。

「BEV（バッテリー電気自動車）と高性能の内燃エンジンモデルは、それぞれの強みを最大限に活かし、スペース、エレガンス、快適さ、効率を犠牲にすることはありません。」

昨年、メルセデス・ベンツのゼロエミッション車の販売台数は23％減少し185,100台に留まっていて、それでもこれはアウディを上回る数字であり（アウディは8％減少しEV販売が164,000台であった）、しかし一方のBMWはドイツの2大ライバルを合わせた販売台数を超える368,523台のEVを販売し、前年から11.6％増加しています。

この状況を見るに、メルセデス・ベンツが方向転換を考えるのも「やむなし」だと考えられ、今後の動向には期待がかかるところでもありますね。

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